謝罪の王様

監督：水田伸生
ｷｬｽﾄ：阿部サダヲ／井上真央／竹野内豊
配給：東宝
公開：2013年9月
時間：128分

『舞妓Haaaan!!!』『なくもんか』に続き〈脚本・宮藤官九郎×監督・水田伸生×主演・阿部サダヲ〉のトリオが４年ぶりに集結。架空の職業“謝罪師”を主人公に描く，奇想天外ナンセンス・コメディ『謝罪の王様』を今夜は紹介。いかなる難題にもありとあらゆる謝罪のテクニックを駆使して解決に導く主人公の活躍を，バラエティに富んだ豪華キャストの共演とともにオムニバス・タッチの構成で描き出す。

なお，クドカン脚本作品中では興収トップの『土竜の唄　潜入捜査官REIJI』に次ぐ21億8000万をあげた大ヒット作となっている。

東京謝罪センター所長の黒島譲（阿部サダヲ）は，ケンカのような小さなトラブルから国家存亡の危機まで，依頼人から舞い込む様々な難問を謝罪のテクニックを駆使して解決していく“謝罪のプロ”だった。

〈CASE1〉恐い人達に謝りたい！
ヤクザな男の車相手に追突事故を起こしてしまった司法書士を目指す帰国子女の倉持典子（井上真央）。欧米の習慣が災いして，上手く謝罪できず，気がつくと組事務所で内容も読まずに誓約書に判を押してしまう。それは「示談金400万円，毎月12万円の返済，利子が10日で3割，来週から大阪のデリヘルに就職」という最悪のものだった…。

〈CASE2〉セクハラを謝りたい！
下着メーカーの中堅社員・沼田卓也（岡田将生）は，開けっ広げな性格が災いし，飲み会で酔った勢いで共同プロジェクトの担当者・宇部美咲（尾野真千子）にセクハラ三昧。軽いノリで謝る沼田に対し，美咲は怒り心頭。結局，沼田はプロジェクトを外され，セクハラで訴えられてしまう…。

〈CASE3〉謝罪会見で謝りたい！
大物俳優・南部哲郎（高橋克実）の息子・英里人（鈴木伸之）が傷害事件を起こし，南部が謝罪会見を行うことに。黒島が謝罪の指南をするが，芝居じみた謝罪で糾弾され結果は裏目に。仕方なく元妻の大物女優・壇乃はる香（松雪泰子）を引っ張り出すと，自身の出演舞台の十二単の衣装で登壇，宣伝までしてしまう始末。さらに拘置所から出所した息子のTシャツには「Kill You Next Time」の文字が…。

〈CASE4〉過去の過ちを謝りたい！
一流国際弁護士・箕輪正臣（竹野内豊）は，沼田の訴訟の弁護士であり，典子の大学時代の講師でもある。コロンビア大学卒，27ヶ国で弁護士資格を取得した完璧なエリート弁護士の彼だが，離婚して離れ離れになってしまった当時３歳の娘に手を挙げてしまったことを今でも謝りたいと思っている。法律に携わる人間として自分が許せないと言うが…。

〈CASE5〉国際問題を謝りたい！
映画プロデューサー・和田耕作（荒川良々）がプロデュースした作品に，たまたまお忍びで来日していたマンタン王国・皇太子（野間口徹）がエキストラ出演していたことが発覚。マンタン王国皇族の肖像権侵害は懲役20年の重罪であることが判明し，黒島を介し謝罪に行くが，習慣や国民性の違いから誤解が生じ謝罪は失敗し，国際問題へと発展する。マンタン王国通訳・ワクバル（濱田岳）の使えない指南が災いし，ついにマンタン王国は日本との貿易停止を発表。打開策の見えない黒島は絶体絶命の窮地に追い込まれる…。

〈CASE6〉?????
謝罪師・黒島譲はなぜ，謝罪を生業とするのだろうか。なぜ謝罪にこだわるのだろうか。それは，ほんの些細な出来事が発端であった…。

ドタバタに見えて，実は綿密にリンクする構成の妙に歓喜。特に「ワキ毛ボーボー自由の女神」というフザけたフレーズの導く，まさかの展開とホロリとさせる物語に，思わず「巧い！」と叫んでしまう。