ルパン三世/くたばれ!ノストラダムス | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:白土武
キャスト:栗田貫一/小林清志/増山江威子
配給:東宝
公開:1995年4月
時間:98分




バビロンの黄金伝説』の2年後に,OVAとしてリリース前に一部地域のみで劇場公開された『ルパン三世/風魔一族の陰謀』では声優が一新され大不評となったため,声優陣を元に戻して製作されたシリーズ5作目となる劇場版『くたばれ!ノストラダムス』を今夜は紹介。

ノストラダムスとは,16世紀ルネサンス期フランスの医師・占星術師・詩人。彼の遺した多くの詩篇は“予言”として様々に解釈され,日本でも「1999年七の月に恐怖の大王によって人類が滅亡する」という予言を題材とした書籍を中心に,1970年代から1999年まで大ブームを引き起こした。当時,素朴にこの予言を信じた若者も少なくなく,オウム真理教事件にも少なからず影響を与えたと言われている。

なお,23年半に渡りルパン三世の声を担当してきた山田康雄が製作中に脳出血で倒れ,帰らぬ人となったため,当時ルパン三世のモノマネで人気のあった栗田貫一が急遽“代役”としてルパン三世を演じた。後に栗田貫一は正式にルパンの声の継承者となる。年代設定は“恐怖の大王”の予言に合わせて,公開の4年後の1999年。監督は,多くのTVアニメを手掛けてきた白土武。

ノストラダムス教団の教祖を名乗るライズリー(小松方正)は,失われたとされているノストラダムスの予言書の一部を極秘に入手して,次々と大事件を予言しては信者を増やし,その勢力を拡大していた。だが,その裏にはクリス(大塚明夫)をリーダーとする特殊部隊の存在があり,彼らがライズリーの予言を実行していたのだった。その頃,ブラジルのリオデジャネイロで150万ドルのダイヤを手に入れたルパン三世(栗田貫一)は,銭形警部(納谷悟朗)の追跡を逃れたアトランタ行きの旅客機の中で,ダイヤを隠した人形を生意気な少女ジュリア(安達祐実)に奪われてしまう。さらにジュリアの教育係として乗り合わせた峰不二子(増山江威子)の姿を見て,不二子の本当の狙いを探る。

しかし,サッカーのブラジル代表チームも同乗する飛行機はハイジャックされ,ハイジャック犯の指示でモロッコへと向かう。ルパンの活躍で乗客は無事に脱出したが,ジュリアが誘拐されてしまうのだった。犯人クリスの狙いは,ジュリアの父ダグラス(阪脩)の財閥ビル金庫室に眠るノストラダムスの本物の予言書だったのだ。クリスはダグラスに大統領選出馬を諦めろと脅迫を受けていた。大胆にもビルのコントロールルームを占拠して脅迫するクリス。彼らを追った不二子は逆に捕らえられ,事件に巻き込まれる形となったルパンは,かつてただ1人,その金庫室に忍び込んだとされるフィリップ爺さん(八奈見乗児)にアドバイスを受けるため,仏領ギニアの“処刑島”へと潜り込むのだったが…。

中盤に登場するセルジオ(日吉孝明)とジュリアがストーリーのアクセントになっていくのだが,何だか少しキレイで,どこか『カリオストロの城』を意識した雰囲気がある。そのせいか,湾岸戦争後のアメリカの覇権を意識したり,カルト教団が予言に従って自作自演のテロを行うなどの,大人向けの構成が霞んでしまったのは残念だが,楽しさという面では満足させてくれる1本だ。


映画クタ評:★★★★


右矢印『ルパン三世』シリーズ作品まとめ