ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男 | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Darkest Hour
監督:ジョー・ライト
キャスト:ゲイリー・オールドマン/クリスティン・スコット・トーマス/リリー・ジェームズ
配給:フォーカス・フィーチャーズ/ユニバーサル・ピクチャーズ/ビターズ・エンド/パルコ
公開:2018年3月
時間:125分




イギリスでは現在でも人気の高い政治家,ウィンストン・チャーチル。1940年から1945年にかけてイギリスの戦時内閣首相としてイギリス国民を導き,第2次世界大戦を勝利に導いた立て役者だ。2002年にBBCが行った「100名の最も偉大なイギリス人」の世論調査では1位。現在の5ポンド紙幣の裏面には,彼の肖像が使われている。また,当時の彼の手記や著書・スピーチの原稿が,2015年に“ユネスコ記憶遺産”に登録された。

イギリスがヒトラーに屈する寸前でのチャーチルの首相就任からダンケルクの戦いまでの知られざる27日間を描いたのが,今夜紹介する『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』。監督は『プライドと偏見』(2006年・UIP)『PAN/ネバーランド、夢のはじまり』(2015年・ワーナー)のジョー・ライト。原題の『Darkest Hour』とは,この戦時下を表したチャーチルの言葉で「最も暗い時」の意味。

1940年5月,第2次世界大戦初期。独裁者ヒトラー率いるナチス・ドイツの前にフランスは陥落寸前で,イギリスにも侵略の脅威が迫る中,新首相に就任した前海軍大臣のウィンストン・チャーチル(ゲイリー・オールドマン)。国民には人気があったものの,度重なる失策で,党内はもちろん国王ジョージ6世(ベン・メンデルソーン)からも信頼を得られず,弱音を吐く彼を妻のクレメンティーン(クリスティン・スコット・トーマス)は優しく叱咤する。

就任直後の演説では勝利を目指して徹底抗戦を誓うが,戦況は悪化の一途を辿っていく。やがてドイツ軍に追い込まれたイギリス軍が,ついにフランス北部のダンケルクの海岸に追い込まれ,絶体絶命の状況を迎えるのだった。イギリス本土への上陸も現実の脅威となる中,犠牲を回避するためドイツと和平交渉をすべきと主張する外相ハリファックス(スティーヴン・ディレイン)。和平か徹底抗戦か? ヨーロッパのみならず世界の命運を左右する決断に葛藤するチャーチルだったが…。

ゲイリー・オールドマンといえば,『ハリー・ポッター』シリーズのシリウス・ブラックや『ダークナイト』シリーズのゴードンなど,存在感とともに様々な表情を見せてくれる名優だが,このチャーチルはすごい。誰が見てもチャーチルだが,しかしゲイリー・オールドマンだと判るのだ。映画の仕事を引退して現代彫刻家となっていた日本人・辻一弘に,ゲイリーが直々にオファーして実現した特殊メイクは世界的に高く評価され,辻一弘は第90回アカデミー賞のメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した。また,ゲイリー・オールドマンも主演男優賞に輝いている。

同年秋に公開された『ダンケルク』と併せて見るのもお薦め。


映画クタ評:★★★★


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