ｷｬｽﾄ：柄本佑／佐々木心音／風間ルミ
配給：角川映画
公開：2013年6月
時間：112分
今夜は，『ヌードの夜』(1993年・ヘラルド)や『GONIN』シリーズなどで知られる石井隆監督が，人気グラビアアイドルの佐々木心音をヒロインに迎えて贈るエロティック・ラブ・ファンタジー『フィギュアなあなた』を紹介。原作は1992年に発表された石井監督自身による短編劇画『無口なあなた』。R18＋のレイティングが付いてるのでお子様は見ちゃダメだからね！
真面目に暮らしていたが，上司の及川部長（竹中直人）の怒りを買い，いきなりリストラされた上に恋人にも逃げられたフィギュア愛好家・内山健太郎（柄本佑）。自暴自棄となって新宿でヤケ酒をあおり，ガラスバーダンサー（壇蜜）に絡んで店を追い出されたあげく，“巨乳男”ヨッちゃん（風間ルミ）に因縁をつけてしまい追い回されることに。息も絶え絶えに逃げ込んだのは歌舞伎町の廃墟ビルの一室。そこには打ち捨てられたマネキンが山のように積み重なっていた。内山はそのマネキンの山から，セーラー服を着た１体の等身大美少女フィギュア（佐々木心音）を発見する。
それは，まるで本物の人間であるかのような精巧さだった。追われていたことも忘れ，フィギュアと戯れる内山。ところがそこにヤクザが現われ，絶体絶命のピンチを迎える。その時，フィギュアが目を覚まし，ヤクザを次々と倒して内山を窮地から救ったのだ。彼はフィギュアを持ち帰ると“心音(ココネ)”と名付け，フィギュアとの奇妙な生活を始めるのだった…。
公開時には「佐々木心音オール・ヘア・ヌード」というキャッチばかりが話題になっていた作品。確かにほぼ全編，佐々木心音は下着も着けていないのだが，心音ちゃんの裸体や扇情ではなく，キチンとストーリーでドキドキさせ惹きつけるのは，さすが“鬼才”と呼ばれる石井監督。似たような設定は多いにせよ，これほどに徹底してエロスとバイオレンスとファンタジーを織り交ぜ，持ち味のメランコリックとタナトスを隠し味にしてまとめられた１本はないと思わせる。
個人的には終盤のウエディング・シーンに“盛り過ぎ”感はあるものの，最後の最後に「やっぱり！」って言葉と同時に「どこから？」と呟かせ，内山の脳内にコミットしたくなる不思議な作品だ。
ｸﾀ評：★★★★☆
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