AMY/エイミー | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Amy
監督:アシフ・カパディア
キャスト:エイミー・ワインハウス/ミチェル・ワインハウス/マーク・ロンソン
配給:KADOKAWA
公開:2016年7月
時間:128分




今夜は,このコーナーでは珍しいドキュメンタリー映画を紹介。エイミー・ワインハウスという名を記憶している人も多いだろう。2006年発売のセカンドアルバム『Back to Black』は全世界で1200万枚以上を売り上げ,2008年の第50回グラミー賞では5部門を受賞するなど,世界で人気を集めたイギリスのソウルミュージック,ジャズ,R&Bのシンガーソングライター。

この映画は,2011年7月23日に27歳の若さで死去した彼女のドキュメンタリーで,第88回アカデミー賞では長編ドキュメンタリー賞を受賞している。監督は,F1ドライバーだったアイルトン・セナのドキュメンタリー『アイルトン・セナ ~音速の彼方へ』(2010年・東宝東和)が高く評価されたアシフ・カパディア。

オープニングの『Moon River』のカバーが,ゴシップ的に知るエイミーの記憶をクリアにしてゆく。小節内の時間を自在に操り,音の高低に緩い節をつける声の情緒。そのとてつもない才能と苦悩の人生を,真っ白な感性で見直してみようと思わせる。チャームポイントの口の左上のホクロが印象的。

2003年にデビューするや、そのパワフルな歌声が絶賛され,瞬く間にスターの階段を駆け上っていったエイミー。しかし,過激な発言などでプライベートも注目され,曲作りのプレッシャーや執拗に追い回すパパラッチの存在,そして恋人の影響などから急速にドラッグと酒に溺れていく。

そんなエイミーの姿が,家族や友人のコメントとアーカイブ映像,豊富に残されたプライベートビデオを使い,少女時代から時系列に語られてゆく。奇抜な見せ方もないし,構成もオーソドックス。メッセージもなく美化もしない。ただただ地道に“真っ直ぐ”に真実が積み重ねられてゆく。知られざる素顔とともに,数々の歌詞に込められた彼女の想いが物語となる。

2011年6月18日,ベオグラードでの約2万人を集めた野外コンサートで,開始時間を大幅に遅れ,歌えないほど泥酔して登場した後,無期限の活動停止。そして7月23日,ロンドンのカムデンにある自宅ベッドで遺体で発見された。死因はアルコール中毒。

歌い手として“非凡”で,生きることに関しては“平凡”だったエイミー。それでも歌と自分に対して“真っ直ぐ”であり続けようとした彼女の歌と姿を通して,見る者1人1人が自分の中の何と共鳴するのか? を確かめてみてほしいと思う。

《挿入歌》
Happy Birthday to You
Moon River
(There is) No Greater Love
Detachment
Stronger Than Me
I Heard Love is Blind
In My Bed
Poetic Finale
What Is It About Men
No Wow
Walk
Some Unholy War
Maria Maria
Like Smoke
Tears Dry on Their Own
Seperacao Fotos
The Name Of The Wave
Back To Black
Rehab
We're Still Friends
(Not Just) Knee Deep
You Know I'm No Good
Wake Up Alone
Love Is A Losing Game
I'm Alive
You Always Hurt The Ones You Love
Body and Soul
Baseball Field
Simmy Simmy Ko Ko Bop
Valerie


映画クタ評:★★★★


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