ハリー・ポッターと秘密の部屋 | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Harry Potter And The Chamber Of Secrets
監督:クリス・コロンバス
キャスト:ダニエル・ラドクリフ/ルパート・グリント/エマ・ワトソン
配給:ワーナー・ブラザース映画
公開:2002年11月
時間:161分




ファンタジー発祥の国イギリスで生まれた『ハリー・ポッター』原作シリーズが世界的ベストセラーとなった最大の理由は,英米人に多いファンタジーファンの好む要素をふんだんに盛り込んだ設定にある。様々な年代の読者層をくすぐる「魔法」「ゴースト」「アイテム」「キャラクター」「現実と隣り合わせの異次元」「いじめや差別」「学園モノ」といった,現代社会を背景にしつつ,古くからなじみのある物語を踏襲し,融合させた妙味。流行に弱い日本人は,取っ付き易く良くできた映画版『賢者の石』で見事に魔法にかかり,あちこちに首をひねりたくなる翻訳版小説さえも特有な世界観だと思い込んだ。続編と映画化の相乗効果は,さらにこの魔法の力を強め,広まっていった。

その後は,消費社会・情報社会に乗っかった話題作りや売り出し方,映画化とグッズなど,周辺をまきこんでのビジネスとしての巧みさが目立ったが,このシリーズが,世界中にファンタジーブームを巻き起こし,ファンタジー作品を1冊も読んだことのない若者や大人にまで本を開かせたことは,間違いなく大きな功績であると言えるし,それが後発の『ナルニア国ものがたり』や『ライラの冒険』など,ファンタジー文学の映画化にも影響を与えている。

さて…『秘密の部屋』のストーリー。

ホグワーツでの最初の1年を終え,夏休みをダーズリー家で過ごしていたハリー(ダニエル・ラドクリフ)。相変わらず意地悪な一家に嫌気がさしていたある日,突然“屋敷しもべ妖精”のドビー(声:トビー・ジョーンズ)が現れる。ドビーはホグワーツ魔法魔術学校に帰ってはいけないと忠告するが,ハリーはドビーが親友からの手紙を隠していたと知って激怒。空飛ぶ車で助けに来たロン(ルパート・グリント)たちと共に残りの夏休みを過ごすことに。新学期になり,ホグワーツに向かう列車に乗り込もうとするハリーとロンだったが,ホームへの入り口が何者かによって突然閉ざされてしまった。仕方なく空飛ぶ車でホグワーツへ向かったハリーたちは着地に失敗し,スネイプ先生(アラン・リックマン)から退学を命じられてしまう。ダンブルドア校長(リチャード・ハリス)のお陰で退学は免れたが,重罰を課せられ,ハリーとロンの新学年のスタートは散々なものになってしまった。

そんな中,ホグワーツの校内の壁に血で書かれた不気味なメッセージが出現。時を同じくしてマグル(=人間)出身の生徒が石になって発見される事件が続発する。ヘビの言葉を操る“スリザリンの承継者”の手で“秘密の部屋”の扉が開かれたのが原因らしいのだが,ヘビ語を話すことができるハリーは犯人として疑われることになる。ハリーの疑いを晴らすために,ハーマイオニー(エマ・ワトソン)は校内のトイレに住む幽霊“嘆きのマートル(シャーリー・ヘンダーソン)”の力を借りて独自に調査を開始する。一方ハリーは,トム・リドル(クリスチャン・コールソン)という生徒の50年前の日記を手に入れ,秘密の部屋の真実を知るのだが…。

この作品では,ドビーの演技力と存在感と魅力が,主役たちを食っちゃった感がある。リアルに映像化され一段とパワーを得たこのキャラの,正直者だがとても要領が悪く,丁寧だがとても大胆な行動には,何だか妙に期待をさせられる。原作ではもっと活躍するんだけど,映画での登場は『秘密の部屋』と『死の秘宝 PART1』だけなのが残念。

クリス・コロンバスはこの作品で監督を退くことになる。また,ダンブルドア校長を演じてきたリチャード・ハリスは,2002年にホジキンリンパ腫で死去し,この作品が遺作となった。


映画クタ評:★★★★★


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