終戦のエンペラー | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Emperor
監督:ピーター・ウェーバー
キャスト:マシュー・フォックス/トミー・リー・ジョーンズ/初音映莉子
配給:ロードサイド・アトラクションズ/ライオンズゲート/松竹
公開:2013年7月
時間:107分




戦後70年。3世代に渡り戦争を知らない日本人には,安保法案の論議も,領有権絡みの事件も,テロ集団の所業も,まるで遠い国の事柄であるかのように関心が薄い人が目立つ。それがまさに平和ってことなんだろうし,この状況の是非について,とやかく言うつもりはないけど,せめて今の平和の礎となった自国の歴史には,正しい認識を持っておきたいと思う。

とはいえ皇室が絡む問題となるとタブー視され,内密にされてきたのも,この国の特質。ハリウッド映画があえてそこに切り込み,映画化したこと自体が,賞賛され,評価されるべきだと思うし,日本人はもちろん,世界中の1人でも多くの人に見てほしいと願う1本。

1945年8月15日,日本はポツダム宣言を受諾し,第二次世界大戦が終結する。その直後,ダグラス・マッカーサー(トミー・リー・ジョーンズ)率いるGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が上陸。日本の占領統治が始まった。さっそく戦犯の拘束に乗り出したマッカーサーは,日本の文化にも精通していたフェラーズ准将(マシュー・フォックス)に,真の戦争責任が誰にあったかを突き止めるよう命じる。しかし,日本独特のあいまいな意志決定のあり方に,知日派のフェラーズも困惑し,調査は予想以上の困難を強いられる。彼は同時に,開戦前の大学時代に知り合った元恋人の島田あや(初音映莉子)の安否を気に掛けていた…。

製作に名を連ねる奈良橋陽子といえば,1970年代後半から1980年代前半にかけて立て続けにヒット曲を出したゴダイゴのプロデューサー兼作詞家として有名。その後も,ハリウッド映画への日本人のキャスティングなど,英語圏と日本の文化の橋渡しに尽力している。実は作品中に登場する宮内省職員・関屋貞三郎は彼女の祖父。子供の頃から戦中戦後の事について祖父から聞いていて,様々な資料を調べる中で目を留めたのがボナー・フェラーズの存在という。島田あやとフェラーズの情熱的な愛のエピソードを創作として織り込むことで,それ以外のおおむね史実だろう物語を,見る者に印象づける仕上がりになっていると感じた。

西田敏行,伊武雅刀,夏八木勲,中村雅俊,火野正平,桃井かおりなど,豪華共演陣も見どころ。


映画クタ評:★★★★


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