峡谷の秘宝 | 若端創作文章工房

峡谷の秘宝

 雷鳴轟く中、ふらつきながら飛行するセスナ!


 そして、その翼の上には一人の若者の姿が!


 崖に接近するセスナ!


 衝突か!?


 瞬間、セスナの翼から飛び降りる青年!

 同時に壁面に激突して大爆発を起こすセスナ!


 青年の眼前には、美しい峡谷が広がる。だが、その美しさとは裏腹に、このまま落下すれば待ち構えるのは、間違いない死!!


「はっ!」

 青年の手から放たれるロープ!


 それは崖から生えていた木に絡みつく!

 そして、青年の身体は空中で弧を描いた!!



 この男の名は『宝発 堅(たからはつ けん)』。自称トレジャーハンターだ。

 彼は宝の匂いをかぎつけ、今日も危険な冒険の道を行く!



 ロープを握り締め、崖をよじ登る堅!

 瞬間、ロープが絡み付いていた木が折れた!


「くっ!」


 ロープを放し、咄嗟に岩にピッケルを打ちつけ、それを握りしめる堅!

 間一髪で危機を脱出した堅は、ピッケルを器用に使って崖を登りきる!


 崖の上は細い道だった。

「この道を行けば…近いな!」

 その時、堅の後ろから崩れ始める崖!


 堅は細い道を全力で走り出した!


 崩落する崖!


 疾走する堅!


 だが、崖の崩落が早い!


 崩落に飲み込まれると思った瞬間、思い切り飛び跳ねる堅!



 今まで走っていた道は、既に奈落の底に落ちていた。堅は崖の上からそれを眺めていたが、暫くすると宝に向かって再び足を進め始めた。


 暫く歩くと、堅の眼前に大きな岩が現れた。

「ここだ!」

 何処からとも無くドリルを取り出し、岩の真下を掘り始める堅!

 そして、堅は遂に宝箱を見つけた!


 その箱の中には、深い輝きを放つ宝珠があった!

「見つけたぞ! 秘宝『キュベレイの瞳』、遂に見つけたぞ!」


 その時、堅の後ろに、RV車に乗った女性がこう声をかけた。

「ねぇ、堅。宝の発見はおめでたいけど、ここ、車でも行けるわよ

 それを聞いた堅は、笑いながらこう返した。

「だって宝探しだろ!? 大冒険がなきゃウソだろ!!」

「だからって、わざと危険な道を行く必要性があるの!? しかもセスナ一機無駄に破壊して…」



 宝発 堅。宝探しの勘は超一流だが、安全な道があっても無駄に危険な道を行かないと気が済まない冒険野郎。

 人は彼を『マッド・トレジャーハンター』と呼ぶッ!!


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 この話は以前、熊野マキ さんが書いた『宝探し』 に出てきたマッド・トレジャーハンター宝発 堅を若端テイストで書いてみました。


 基本的に、若端の書くマッドは、明らかに能力を無駄遣いする傾向があります!(爆)


 熊野マキさん、ありがとうございました。