マイクを使った高感度圧力センサーを装着した携帯電話で生体情報を測り、健康維持に役立てるモニタリングシステムの研究開発が進んでいる。具体的には、呼吸や心拍を測定し、睡眠時無呼吸症候群の早期予防につながることが想定されている。メーカーとも協力し、2、3年後の商品化を目指している。(森本昌彦)

 ◆自宅で簡単測定

 「携帯電話なら誰でも持っているし、測定したデータを医療機関などに簡単に送ることができる」。研究開発を行っている法政大学工学部の渡辺嘉二郎教授(計測制御工学)はこう語る。

 渡辺教授はドアの開閉や燃え上がる炎など、音よりも低い空気圧の変動を計測できる高感度圧力センサーを開発。平成11年からセンサーを使って睡眠時の呼吸や心拍、いびきを測定する研究を進めてきた。

 それを応用したのが、携帯電話によるモニタリングシステム。携帯に内蔵できるよう、センサーを直径4ミリ、厚さ1・5ミリというサイズにまで小型化させた。

 渡辺教授が考える携帯電話を使ったモニタリングシステムは次のようなイメージだ。(1)携帯電話に高感度圧力センサーを装着(2)センサーを作動状態にし、ポリ袋などにわずかな空気と一緒に携帯電話を入れる(3)そのポリ袋を枕の下に置く(4)寝て、起きたら携帯で測定したデータを医療機関にメールする。

 ◆健康管理の中心

 このシステムでどのようなことが可能になるのか。システムでは呼吸や心拍を測定するため、睡眠時無呼吸症候群や不整脈の早期発見につながることが想定される。渡辺教授は「このようなツールを使うことで、病院に行かずに毎日自宅で健康状態をモニタリングできる。携帯電話さえあればよいので、高品質の医療を低コストで提供できる」と話す。

 今はどの医療機関と提携して測定結果を判定してもらうかなどは未定だが、研究に興味を持ったメーカーがセンサーを内蔵した携帯電話の開発に着手。2、3年後の商品化を目指しているという。

 東京医科歯科大学の田中博教授(医療情報学)は「睡眠時無呼吸症候群の疑いがあっても病院で医師の診断を受け、(検査する)機械を借りて調べるのは大変。病院では半日、一日仕事になるため、忙しい人はなかなか行くことができない」と指摘。携帯電話を使った健康チェックなら「病院に行かずに自分で健康管理ができる。健康管理のハードルを下げていることに意義がある」と評価する。

 さらに、「携帯電話なら通勤、通学中でも使える。携帯電話は個人の健康管理の中心になっていく可能性がある」と話している。

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【用語解説】睡眠時無呼吸症候群

 睡眠中に気道が狭められ、一時的に呼吸が止まる状態が繰り返される睡眠障害の一種。眠りが浅く、睡眠不足の状態が慢性的に続き、昼間も強い眠気に襲われ、突然眠ってしまうことがある。このため、事故の原因になったり、高血圧や心筋梗塞(こうそく)、脳卒中など生活習慣病の元凶になったりすることもある。

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