りんご音楽祭

テーマ:

 

 

2016年9月24日(土)~25(日)

 

長野県松本市・アルプス公園で、りんご音楽祭。

 

りんご音楽祭というフェスに初めて行ってきた。このフェスはいいと、行ったことのある人や出たことのあるアーティストから何度か聞いたことがあったので行きたいと思っていたのだが、なるほどいい感じ。まず環境がいい。緑が多く、景色の眺めもいい。それから、いろいろといい塩梅にユルい。つまらない規制がなく、客の自主性に任せてる(信頼している)ようだ。

 

初めて行くフェスはワクワクする。が、要領がわからないだけに、多少の不安もある。どこに車をとめて、テントサイトはどこにあって、どんな塩梅で受付を済ませればいいのか、などなど。

 

初めにひとつ不満を書くと、このりんご音楽祭、そのあたりの情報・告知があまりにも少なくて不親切。初めて行く人にはかなりわかりにくい。公式サイトなどを見ても詳しく載ってないし、「ツイッターで随時情報を更新します」みたいに書いてあったけど、それを追ってみたところ新しい状況ツイートも全然してくれない。

 

まず僕らは駐車場に困ってしまった。会場近くの東入口駐車場というところが当日の朝一に埋まってしまったことは公式ツイートでも知らされたが、平瀬口駐車場というところを利用せよとの情報に沿ってそっちへ回ったところ、そこも午前10時過ぎには満車だった様子(ウチらは午後1時過ぎにそこへ行ったのだが、その時点で公式ツイートの情報更新はなされてなかった)。結局松本駅まで行って周辺のコインパーキングにとめられたのだが、グル~っとまわったのでだいぶ時間をくってしまった。そしてそこからシャトルバスで会場へ向かい、テントサイトへ。そのテントサイトもまた会場内ではなく少し離れたところにあって、そこまでシャトルバスで行く。因みにキャンプサイトの周りにコンビニなどは何もなく、水など飲み物は予め買っておかないと終演後はどうにもならない。そのあたりの説明が公式サイトだと不十分なのだ。

 

結局僕らは、テントは設営したものの、フェスをある程度楽しんだあとは松本駅近くの居酒屋に食べに行き、そのあと銭湯に行ったりお茶飲んだりしてから、遅くにまたテントまで戻って寝た。

 

結論。松本駅周辺にはホテルもたくさんあるし、関東や関西からならこのフェスは車じゃなくて電車で行き、フェス後は松本のホテルに宿泊する…というのがいいみたい。キャンプもできることはできるけど、所謂キャンプを楽しむためのフェスではない。松本駅周辺にはいい飲み屋さんがたくさんあるし、フェスをひとしきり楽しんだあとは今度はゆっくり松本の夜を楽しんでホテルに帰る…という行動パターンが一番いいようだ。まあ、それも今回行ってみてわかったこと。何事も経験しないとわからない、っちゅうことで。

 

で、りんご音楽祭。観たのは以下の通り。

 

24日(土)

KAKATO(環ROYと鎮座DOPNESS)→踊ってばかりの国→掟ポルシェ→G.RINA&Midnight Sun→THE King ALL STARS→Shingo2。

 

25日(日)

アナログフィッシュ→水曜日のカンパネラ→YOU THE ROCK★&DJ DA-15→ギターウルフ→Flying Dutchman→Polaris→LEGENDオブ伝説 a.k.a.サイプレス上野→青葉市子→DOTAMA。

 

1日目は(前から好きだったもののライブは今回初めて観ることができた)G.RINAがとてもよかった。ゲストにPUNPEE。彼、すごい人気あるんだね。THE King ALL STARSでも出てきて大いに湧かせてました。2日目はまず水曜日のカンパネラ。今年、フェスでもっとも多く観てる(行くフェス行くフェス、彼女が出てる)アーティストだが、毎回その場でしか生まれない空気を生みだし、何より彼女自身がいつも全力で楽しんでいるのがいい。MCでもそのフェスのよさと思い入れを的確に語ってくれるあたりがまたいいなと。それからDOTAMA。真面目さ故の狂気がビンビン。フリースタイルダンジョン人気で客は後ろのほうまでビッシリいて、そのことに彼自身がウルっときてたあたりにもグッときた。

 

客層的にはこのフェス、ロック好きよりもヒップホップ好きの人が多く、特にDOTAMAとかサイプレス上野とかのフリースタイルダンジョン組にたくさんの人が集まっていたのが印象的だった。

 

あ、あと、もうひとつ。このフェス、フード類は残念ながらイマイチだ。唐揚げとポテトと肉ばっか。胃の強い若者にはいいが、こちとら若くないので肉ばっか食べてられんの。なので、帰りに松本の街で食べた蕎麦と卵焼きがめちゃめちゃ美味しかったです。なにしろ二日間とも雨降らなくて(特に2日目は日に焼けるほどの秋晴れで)よかった!!

 

 

AD

 

2016年9月23日(金)

 

TOHOシネマズ新宿で、『ハバナ・ムーン ストーンズ・ライヴ・イン・キューバ2016』。

 

ストーンズがキューバでやったフリーライブの模様を映画化した『ハバナ・ムーン ストーンズ・ライヴ・イン・キューバ2016』、その1夜限りのジャパン・プレミア上映をTOHOシネマズ新宿で観てきた。以下、帰りの蕎麦屋でしたツイートのまとめです。

 

「ストーンズのキューバ公演映画『ハバナ・ムーン』。初めに劇場版のみのインタビュー映像が数分。あんなふうに4人が並んで座ってインタビューを受けることがこの数十年であっただろうか。しかもあんなに楽しそうに。もう、その段階でグッときてましたよ、僕は。」

 

「ストーンズ『ハバナ・ムーン』。何が印象的かってキューバの客たちのいい顔、顔、顔。歴史上初めての大規模なロックコンサートに、初めて来てくれたストーンズに、みんなが熱狂し、生きてる喜びを感じているようだった。当たり前にロックコンサートが観られるわけじゃない国の人々の喜び、そりゃ格別。」

 

「ストーンズ『ハバナ・ムーン』。観客たちの幸せそうな表情もさることながら、ストーンズの4人それぞれが何度も見せる嬉しそうな笑顔もまた印象的だった。過去のストーンズ・ライブ映像作品の中で、あんなにメンバーたちの笑顔がたくさん見られるものはない。4人とも本当にいい笑顔を見せるんだよ。」

 

「ストーンズ『ハバナ・ムーン』。それにしてもキューバの観客たちはチャーリーが大好きなんだな。なんだろ、あの何度か起きてたチャーリー・コールは。それを受けてかミック、メンバー紹介のとき「チャーリー・チェ・ワッツ!」言うとりましたなw 」

 

「ストーンズ『ハバナ・ムーン』。「ミックは面倒見がいいんだ。ロニーが酒をやめられなくなっても彼は辛抱強く見守ってた」。正確じゃないけど、こんなようなことをチャーリーが言っててグッときた。あとキースのこの言葉ね。「観客がバンドを繋ぐ絆なんだ」。名言大賞! 」

 

ストーンズ『ハバナ・ムーン』。セットリストは定番メニューだったけど(もちろん演奏されて使われなかった曲もあるとはいえ)、そんななかで「アウト・オブ・コントロール」がなんか新鮮だった。すごいね、あの曲でのまさにアウト・オブ・コントロールなミックの動きは。」

 

誰かもツイートしてたけど、「あの4人、いまが一番仲がいいんじゃないか」と、そういうバンド内ムードのよさが伝わってくる作品でもありました。

 

 

 

AD

2016年9月22日(木・休)

 

東京グローブ座で、リトル・クリーチャーズ。

 

最高にかっこよかった。彼らのライブを観るのはCIRCLE、フジと続いて今年3度目だけど、昨日のライブは円形劇場であるグローブ座のあの独特の作り故に音響も素晴らしく、だから尚更各自のバカテクとバンドアンサンブルのよさが際立っていた。

 

青柳さんの「いかにたくさん弾かないか」に注力したギターと甘くて色っぽい歌声。鈴木さんの“ジミヘンの弾くギター”みたいな変態ベース。栗原さんのマシーンよりも正確でありながら温度の伝わるドラム。そしてその混ざり合い。あんなグルーヴ出せるバンド、世界広しと言えどもどこにもないなと改めて実感。

 

新作の曲群はまたどこかすっとぼけた感覚があって、それ、ケイクに通じるところもちょびっとあったりして。まあ何しろサポートメンバーもいないし映像や光の演出も何一つないし、3人の演奏だけがそこにあるというライブで。なのに約2時間が本当にあっという間だった。観客は誰一人立たなかったけど、僕は立って踊りたくてしょうがなかったです。

 

リトクリにとってこれがデビュー25周年イヤーの区切りだそうだけど、来年はといえば結成30周年だそうで。何かを仕掛けることもせず、渋谷系の波に巻き込まれもせず、いわゆるJの音楽界とは距離を保ちながら、ヘンに目立たずいつだって自分たちの歩幅で自分たちの音楽道を歩いていく。その姿勢のかっこよさ。そういうライターで、僕もありたい。

 

AD

 

2016年9月20日(火)

 

Zeppダイバーシティ東京で、ジル・スコット。

 

台風の影響というわけでもないのだろうが、観客の入りは会場全体の3分の1もしくは4分の1くらい。ちょっとショック。やはり日本人はソウルミュージックというものにさほど興味がないのか、なんてふうにまで思ってしまう。特に90年代や2000年代に盛り上がっていたR&Bのよさというのはどっかの時点から(恐らくEDMの隆盛期を境に)あとに引き継がれなくなってしまったのだ。と、そう思わずにはいられない。

 

開演は30分ちょっと遅れた。客の入りの少なさにジルさんが機嫌を損ねたんじゃないか、ってな考えがチラっとよぎる。が、実際はそんなことはなく(って当たり前なんだけど)、彼女は最高の笑顔をたくさん見せながら歌っていた。全体的には少ない人数であっても、前のほうに集まっていた観客たちの1曲1曲に対する熱い反応が、彼女はとても嬉しかったに違いない。デビューしてから16年間1度も行ったことのなかった国にも、こんなに自分の歌を好きでいてくれて一緒に歌ってくれてるファンがいる。それは意外なことだったかもしれないし、そのことを嬉しく受け止めての好パフォーマンスだったんじゃないかと、そう思った。

 

横浜赤レンガ倉庫のSOUL CAMPのステージは思いのほかアップめの……例えばファンキーだったりギターがロッキッシュだったりの曲が多めの構成で、彼女の歌唱のパワフルな部分が特に目立っていた。で、単独公演はそこにもっとしっとりめのスローを加えての構成になるだろうと僕は読んでいた(期待していた)のだが、そういうわけではなかった。基本的にはSOUL CAMPとほぼ変わらないセットリスト。増やした部分で目立っていたのは最後、メンバー紹介を兼ねながらそれぞれのソロをフィーチャーして進めた長めのセッション的なそれで、まあそれも楽しかったんだが、僕としてはその分もっとジルさんの歌を聴きたかったというのが正直なところだ。

 

単独公演ならではの膨らみあるセットを期待していたが、正味70分程度で終わりというのはやはり短い。もうちょっと歌ってほしいよー。とは誰もが思ったことだっただろうがしかし、中身の濃さには不満なし。SOUL CAMPでは16年待っていま遂にナマでジル・スコットの歌を聴いているのだ…という興奮が先に立ってウヒャ~となりながら観てたところがあったのだが、それよりは多少冷静に聴くとなると、バンドの音含めてSOUL CAMPでは気づけなかったことに気づいたり、より深く味わうこともできた気がする。

 

バンドはドラムもよかったが、特に金管ふたり(トランペットとサックス)のよさが際立っていた。実にいい音を鳴らす上、いいとこで入ってくるんだ、これが。それとコーラスの男性3人。うまいだけじゃなくダンスもよくって、それを観てるだけでも楽しめるというのは正しいソウルショーとしてのあり方だなと。

 

ジルさんもSOUL CAMPのときとは歌い方変えてるな~という場面があったり。あと、なんといってもこの日の白眉は終盤で披露したオペラ風のあの歌唱。これだよ、これ。曲によってパワフルにも歌うし、柔らかにも歌うし、いろんな歌唱表現ができる人だけど、こんなに美しく聴かせる歌唱方も持ってるのがこの人の凄いとこ。で、まだまだこの人の歌唱表現には幅があって、今回披露しなかったような歌い方もいろいろあるはずなんだけど、出し惜しみしてるのかな。次に来ることがあったら、そのへんをもっと出してほしいものです。

 

いや、それにしてもあの声の艶とハリ。コクのあるスコット汁。しかも「どーだ」と圧倒するというよりは、観客との交歓に重きをおいてるような、そういう表現。素晴らしいね、本当に。これぞソウルって感じでしたね。

 

あ、あと、リズムがゴーゴーになるあたりの楽しさ。あれもいいよな。好きだなぁ。

 

というわけで、今回はフェス出演のための初来日であって、単独公演のセットも完全にフェス仕様だったけど、次は普通にアメリカでやってるセットそのままのショーを観てみたい。って贅沢ですがね。何しろまたそう遠くないうちに来てほしいものです。

 

 

2016年9月18日(日)

 

横浜赤レンガ野外特設ステージで、SOUL CAMP 2016。

 

ブルーノートジャズフェスに続いて、この日も赤レンガ倉庫。2日間でひとつのフェスのような錯覚に襲われないでもない(どちらも去年に続いて2回目の開催だし)。が、客層はガラリと変わって、ブルーノートジャズフェスに比べれば年齢も一回りから二回りくらい下となる(とはいえ若者が多いというわけでもない。今が旬と言えるアーティストはマックルモア&ライアン・ルイスくらいであった故)。

 

僕はジャングルブラザーズが始まる20分くらい前に会場に着いたのだが、その時点ではちょっと不安になるくらいの客の少なさ。興行的に大丈夫なのか、これ。…といった感じではあったが、ゆっくり来る人が多かったようで、ジル・スコットが始まる頃にはまあそこそこと言えるくらいにはなっていたか。

 

人が少ない上に天気も悪かったがしかし、ライブステージ初っ端のジャングルブラザーズは気合十分のパフォーマンスを見せてくれて、気分は一気に高まった。オールドスクールヒップホップへの敬意を当たり前に散りばめたステージは、いい塩梅のおっさん感も漂わせた彼らの見かけと相まって、かっこよくありつつもどこかニッコリさせてくれるもの。ステージの脇ではスタッフが時間を気にしながらメンバーに「あと何分」と何度も合図していたが、ふたりは気にすることなく続行。そりゃ終わりたくないよな、特に後半どんどんドライブしていい空気になっていってたから。いやもう、望外に楽しかった。

 

続いてDJステージのほうでは、ネイティヴタン繋がりでクエストのアリ・シャヒード。堅実。そしてライブステージでネリー。正直そんなに通ってきてなかったのだが、それでも「なつかしっ!」と軽あがりする曲がいくつか。「ジレンマ」がキタときはさすがにまわりの姉さんたち共々ウイーってなりました。で、DJステージは続いてピートロック。ノセ上手、ってか、こういうフェスの場でみんなが何を求めてるのかをさすがにわかってる。MJを数曲続け、そこからのプリンス数曲、さらにJBへという流れが最高でした。

 

そしていよいよ、僕のこの日の目当てであったジル・スコット。去年のディアンジェロ、今年8月のマックスウェルと、長く待っての初来日ソウルアクトがみな素晴らしいパフォーマンスを見せてくれてるわけだが、結論から書くとジル・スコットもまさに待った甲斐ありの圧倒的なソウルライブ。ホーンに加えて男性コーラスが3人も入ったバンドをバックに、安定感ありまくりの歌を聴かせてくれた。思いのほかアップめの曲を多めに繋げてパワフルに歌っていく前半ではあったが、中盤からのミディアム~スローでは引きの魅力を感じさせ…といった具合に緩急&剛柔自在。揺れる場面などまったくない。国内外問わず「歌のうまい歌手」「ソウルフルに歌える歌手」はたくさんいるが、ハッキリ言って格が違う。デビュー盤の曲もアレンジを変えていくつか歌ったりするもんだから冷静じゃいられなくなるところがこちらにあったのは確かだが、冷静に聴いてたとしてもこの人は破格だなという印象を持ったに違いないですね。欲を言えばもっとスロー曲もたくさん聴きたかったところではあったが、今夜の単独ではそのへんもきっと叶えてくれるだろう。あれは恐らくフェス用にギュッと凝縮した攻め曲主体の構成だったんだろうから。ああ、それにしても素晴らしかったな。最早「ネオ」の成分(ジャジーって意味ね)は少量で、“王道のソウルを私は堂々とやってるのよ感”がドーンと出てて。今夜のダイバーシティ単独も超楽しみだけど、その前にまず野外フェスの場で観ることができたのは本当によかったと思う。

 

美味なるスコット汁を味わったあとは、DJステージでプリモ御大(DJ PREMIER)。褒め言葉として書くけど、かっこいいというより面白い!  で、一通りのレジェンド系がどれも盛り上がって終わったところで、トリは今が旬のマックルモア&ライアン・ルイスだ。

 

彼らのライブは今回初めて観たんだが、非バンドの形であってもいろんなふうに趣向を凝らしててすごく面白かった。背景の映像も効果的。動きもあれこれ。1曲1曲どれもがグラミーを始めとするアウォードものでやるパフォーマンスみたいな凝り方で、“見せる”ことに力点が置かれているから、とにかく観ていて楽しいのだ。が、その一方、マックルモアはテロ問題とか人種問題とか重みのあるメッセージもズバっと言葉にしていて。それを含めてエンターテイメントに昇華するあたりが、これほどの人気の理由なんだろなと。なにしろ、何がなんでも楽しませようという意気を持った人たちはやっぱり強い。タイムテーブル観たときは、こいつらがトリかい?!  と失礼ながら思ったが、観て納得。それはもう堂々たるものでした。そういや、彼らのライブ時にはいつのまにやらたくさんの人が。これだけ観に来た人も実は少なくなかったみたいだ。

 

ということで、来年以降のこのフェスはレジェンド的なアーティストと共にどれだけ旬のアーティストを入れ込めるかにかかってるのかも。

 

 

2016年9月17日(土)

 

横浜赤レンガパーク野外特設ステージで、Blue Note JAZZ FESTIVAL。

 

去年の初開催に続いて、第2回目となるブルーノートジャズフェス。天気予報では雨だったが、予想外に快晴で、しかも暑い。夏が戻ってきたような1日だった。

 

去年の僕はA席のチケットを買い、BIRD STAGEと呼ばれるメインステージのアクトは席に座って観たものだったが、今年はスタンディング。因みにメインステージに一番近いS席の前売り料金が26000円、会場の真ん中あたりの椅子席となるA席が19000円、スタンディングが10800円と、値段にはかなり開きがある。どこを選んだかでフェス全体に対する印象はかなり変わる……ということが、去年と今年で席ありとスタンディングの両方を経験したことによってハッキリした。

 

DIZ STAGEと呼ばれる(メインステージより)小さめのステージのほうに観たいアクトが集中しているのなら、一番安いスタンディングで十分。DIZ STAGEの前のほうまで自由に行けて、かなり至近距離でアーティストを観ることができる。但し、席のあるエリアとスタンディングエリアは柵(ロープだったっけ?)で区切られて係員がチェックしているため、席ありのほうに動くことができない。よってBIRD STAGEでのアクトはかなり遠目に眺めることになる。おまけにスタンディング客のみんなが少しでも前で観ようと柵の近くに押し寄せるため、そこだけ混み合うことになる。だが、ほんの目の前のA席があるところはガラガラで、ただ無人の椅子が並んでいるだけ。場内ど真ん中のPAの後ろも誰もいない空き地のようなデッドなスペースになっている。そのすぐ後ろの狭い場所にスタンディングの客たちが大勢カタマリになって(身動きとれないような状態で)立って観ているわけだ。すぐ目の前に誰もいない空間が広がっているというのに、そこには行けないというその不自由な状態はシュールというか差別的というか、正直、あまりいい気持ちのしない作りだなぁと思わざるをえなかった。

 

座ってゆっくり観たい年配客のために椅子席のエリアを設けるのはいいことだし、それをひとつの特色として打ち出すのはブルーノートらしいとも思う。それはいいのだが、でもあんなに椅子席エリアを広々ととって、スタンディングエリアを狭くするのは、どうなのか。結局スタンディングで観る観客が一番多いのだから、いっそのことA席を丸ごと取っ払って、S席とスタンディングの2種にしちゃえば、スタンディングの人ももっとメインステージに近いところまで行けるのに…と思ったのだが、そうなると利益が出ないのだろうか。そのへんの事情はわからないけど、フェスなのにこんなにも料金によって条件~待遇の差があからさまなものはほかにないし、いい気持ちがしないという人も少なくないと思うので、こうした場内の区切り方は来年以降考えてほしいと切に願います。

 

と、長々と会場レイアウト問題について書いてしまったけれど、それを除けばこのフェスは出演者もいいし、毎年続けてほしいと思わせるものだ。去年はDIZ STAGEのほうの音響がいまひとつで出音がやけに小さかったのだが、それも今年は改善されていた。

 

まずはGOGO PENGUIN。着くのが遅れて後半20分くらいしか観れなかったのだが、個々の卓越した演奏スキルと緻密なアンサンブルに目を見張るものがあってたちまち引き込まれた。特に最後にやった曲のダイナミズムとグルーヴ感!  これはジャズクラブのような場所でまたいつか改めて聴いてみたい。

 

マーカス・ミラーをしばらくボーっと“眺めて”から、会場外にあるもうひとつのステージでThe Hot Sardines。レトロ・フューチャー感とスウィングするポップ・ジャズの楽しさ。奏者がタップを踊るなど楽しい要素もいくつかあるし、見栄え的にもよし。いい感じだったな。

 

会場に戻って、DIZ STAGEでMISIA×黒田卓也。まずは黒田卓也がバンドと共に自曲を2曲演奏。これがもう実にかっこよくて、しびれた。なんなら黒田さんとバンドだけを1時間観ていたいと思ったくらいだ。それから黒田さんがMISIAを呼び込み、彼女のオンステージ。MISIAは黒田さんによるジャジーなネオソウル風アレンジで「BELIEVE」を歌ったのだが、このアレンジとMISIAの歌唱がずっぱまり。そのあとのどの曲においても黒田卓也バンドとMISIAの歌の相性は予想を上回るほどによく、僕はちょっと驚いてしまった。こう言っちゃ失礼だが、MISIAがこんなに表現力のあるシンガーであることを、これによって初めて気づいたくらいだ(大昔に横浜アリーナだったかで単独公演を観たことがあったが、そのときはそういう印象を持てなかった)。デビュー・ヒット「つつみ込むように…」もアレンジ、歌唱ともに非常によかったが、最後の大バラード「オルフェンズの涙」ではなんとマーカス・ミラーがベースで飛び入り参加。直前に急遽決まったことだそうだが(実際、ステージ上で黒田さんがマーカスになにやら指示出しをしていた)、後半のマーカスのベース・ソロは聴きものだったし、その最中のMISIAと黒田さんのはしゃぎっぷりも可愛くかった。いやそれにしても黒田さん、吹奏者としてだけではなくアレンジャーとしても素晴らしいことが、この日のMISIA曲のアレンジによってまたハッキリしましたね。MISIAは黒田さんに出会って本当によかったんじゃないか。これ一度限りじゃ勿体ない。またやってくれたら僕は観に行きます。

 

続いてジョージ・ベンソン。本来しっかり観ておくべき人ではあったのだが、やはりスタンディングエリアからでは遠すぎて……。ここは割り切り、オフィシャルバーのあるエリアのベンチで休憩しながら聴くことにした。知り合いにも数人会えて話せたし、BGMとして聴く生ベンソンというのも贅沢でいいじゃないか、とか思ったり。

 

そしてこの日一番観たかったアンドラ・デイをDIZ STAGEで。真ん中近くのかなり前のほうに陣取って観た。結論から書くと、この日もっとも強烈な印象を残したのがこのアンドラ・デイだ。期待以上に素晴らしかった。群を抜いて素晴らしかった。圧倒的な歌唱力で聴かせるというよりは、雰囲気があるというかニュアンスに富んでいるというか。力を入れすぎずに世界を作っていくという意味でエイミー・ワインハウスを想起させるところがあったり、あるいはまたニーナ・シモンの成分を感じさせるところもあったり。で、途中で顔をごしごし拭いてメイクを落としちゃったりするあたりの素の私でいたいというあり方が可愛かったりもしたし。でも一方で女優的だなと感じさせるところもあったし。セクシーでもあるんだけどいやらしさはまったくなくてチャーミングっていうね。いやぁ、惚れましたよ、僕は。CDもいいけどライブのほうが遥かにいい。マイクの持ち方・使い方もいちいち絵になってて、最後のほうで倒れ込むようにして歌ったりしたあたりにも興奮させられた。この人はこれからどんどん大きくなるに違いないけど、いまこの段階で野外フェスで観ることができて本当によかったと思いました。

 

トリはアース・ウインド&ファイアー。初めのうちはスタンディングエリアからステージまでの距離がありすぎて音がバーンと響いてこず、なかなか入り込めずにいたのだが(近くまで行けないのがどうにももどかしかった)、それでも音に集中して観ているうちにその距離感にもまあ慣れてきた。で、アースのライブはこれまで何度も観てるが、何度見てもいいものはいいと実感。何せやる曲全てが名曲なのだから。いつも通りとはいえ、やはりいつもと異なる部分もあって、例えば星になったモーリスの写真をいくつもスクリーンに映しながら「暗黒への挑戦」(←あえて邦題)が始まったところなどは涙なくして観れなかったという。さらに「アフター・ザ・ラブ・ハズ・ゴーン」からの「リーズンズ」とかね。もう一瞬で僕は“あの頃のどこか”に連れていかれた気分だった。まだ10代の頃……アースの曲を聴いてこんなにメロディアスでうっとりするような音楽が外国にはあるんだなぁとしみじみ思っていたあの頃の自分に一瞬で戻れたというか。なんとも青臭い書き方になってしまうけど、音楽の力ってすごいなぁと、このとき僕は素直に思ってましたね。そうそう、もうひとついつものアースのライブと違うところがあって、それは途中でマーカス・ミラーが加わったこと。出てきてすぐにバーディン・ホワイトとステージ中央でベースソロ合戦し(そこ、両者の個性がよくわかる場面だった)、そのあとは普通にバンドの一員のように端っこで弾いていて。これもまたフェスならでは。こういう面白さがあるのだから、やはりこのジャズフェス、会場の区切りやらも改善して長く続けていってほしいものだと思ったのでした。

 

 

 

2016年9月16日(金)

 

五反田・IMAGICAで、『SUPER FOLK SONG 〜ピアノが愛した女。〜』[2017デジタル・リマスター版] 試写。

 

1992年に劇場公開されてDVDにもなっているが、僕が観るのは今回が初めて。デジタル・リマスターということで、モノクロフィルムの粒立ちに加え、ピアノの音の響きがとにかくいい。ピアニストとしての矢野顕子がどういう音を鳴らす人なのか、その特徴が今までで一番ハッキリわかった気がした。


ピアノ一音一音に対する徹底的なこだわりと妥協のなさ、その凄まじい緊迫感は、観ていて胃のあたりが痛くなるほど。満足いく演奏ができるまで食事もとらずに何度でもやり直す一心不乱さはピアノの鬼といった感じだが、こうまでしないとその曲に宿らないものが確かにあるということだ。それが何なのかわかっているのは本人だけなのだが。


演奏して音を生む矢野顕子の映画であると同時に、これはそれを録るエンジニア・吉野金次の映画でもある、というのは観終えて強く思ったこと。矢野さんがなぜ金次さんを必要とするのかがよくわかる。そしてこれを観た人はエンジニアの重要さを改めて思い知ることにもなる。


2006年に細野晴臣さんが書かれた、吉野金次さんに関する興味深い文章を見つけたので、リンクを貼っておく。「音の品格」と細野さんは書かれておられる。なるほど。http://dwww-hosono.sblo.jp/article/1199935.html


ところで、矢野さんには過去1度だけ取材したことがある。怖かった。あのときの怖さと緊張が生々しくよみがえってきて、さらにまた胃のあたりが痛くなった。


この冬、2週間限定ロードショー。あ、そうそう、四半世紀も前の作品とあって、鈴木慶一さんが実になんとも若々しかったです。

Anly、ビッケブランカ@渋谷O-nest

テーマ:

 

2016年9月11日(日)

 

渋谷O-nestで、ビッケブランカの“Natural Woman Tour”ファイナル。

 

まずはこの日の2マン相手となるAnly。バンドでの厚みあるロックサウンドと弾き語り。そのバランスや、よし。カヴァーも2曲(ガブリエル・アプリンの「Please Don't say love me」とレッド・ツェッペリンの「天国への階段」。この2曲を続けて歌ってもさほど違和感がないのが面白いところ)。前回eggmanで観たときから、夏フェス出演を経て一皮むけた印象だ。声の出が強くなり、MCのカタさもだいぶとれた。19歳だけあって吸収力が凄いね。

 

休憩挿んでビッケブランカ。超最高! あまりによすぎて、ぶっとんだ。1年前にTAKE OFF7で観たワンマンからの進化の度合が凄まじいの。のっけから彼特有の陽性のパワーが大炸裂。圧倒的に明るくて楽しくて、観ている誰もが笑顔になって、バラードではキュンときてホロっとなって(特に「TARA」は沁みたな)、そのあとはさらなる昂揚が訪れて。海外だったらMIKAとかいるけど、日本でこういうライブができる男はほかにいないんじゃないか。奏でられる全ての曲がグッドメロディである上、バンドとの一体感がグンと増していて。何よりビッケ自身の「何が何でもこのライブを最高のものにするんだ」というような思いと熱が声と動きにズバッと表れていて、汗も飛び散る飛び散る。やっぱあれだね、人の心を動かすのは熱量だね。

 

彼は和製MIKAなんて言われることもあって、「ファビュラス」なんかはまさにそうだけど、この日披露された新曲はMIKAを越えてファレルかジャスティン・ティンバーレイクかってなグルーヴとポップ性があった。因みに「ファビュラス」は本編ラスト。その多幸感たるや。まさに“人生、ファビュラス”。ビッケは歌い終えて思わず「みんな幸せになってくださいっ!!」と叫んでいたけど、その言葉を心の底からああやって本気で叫べる男がほかにいるかって話。それが彼の100%の思いだってことは観ていた全員がわかったはずだ。あと、そういえばライブ半ばではミュージカルっぽい作りを取り入れてたところもあって、それもよかった。そうやって1本のライブにストーリー性を持たせたりもしているわけだ。やりたいこと、描いたビジョンを、確実に形にしていってるんだな、いまのビッケは。いやー、やっぱ逸材。間もなくの新作もめちゃめちゃ楽しみです! (ベタ褒め)

 

*写真はメジャー第1弾作品のジャケ。インパクトあるなー。

 

ウソツキ@新代田FEVER

テーマ:

 

2016年9月10日(土)

 

新代田FEVERでウソツキ。

 

いくつかの夏フェス出演を経て自信をつけたのだろう、ダイナミックなバンドサウンドを実に堂々と鳴らし、竹田君の歌は以前よりも伸びやかに。それに全員、演奏時の表情がまたすごくよくなった。あと、男性客も増えてきたようだな。よき傾向。関わったバンドがすくすく成長していくのを見るのはいいもんですねぇ。

 

オフィシャルサイト用に後日ライブレポ書きます。

『ディアスポリス-DIRTY YELLOW BOYS-』

テーマ:

 

2016年9月10日(土)

 

渋谷TOEIで、『ディアスポリス-DIRTY YELLOW BOYS-』。

 

土曜の渋谷の午後にも関わらず、客は6~7人。あれれ?   そういや先週始まったばかりなのに、そんなに評判になってないし、これはもしかして……と嫌な予感抱きつつ観たら。結論から書くと、見事に大外れ。完全に期待を裏切られた感。『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』によく似た症状で、つまりテンポ悪いし、無駄に暗いし、無駄に長いし、何を伝えたいのかもよくわらないっていう。スカッとする場面がひとつもなくて、ただただどんより。途中退席しようかと思いつつ、でも我慢しながら最後まで観たんだが、終わり方がまたどうしようもなくて。こりゃあ、客入ってないはずだわ。

 

ドラマ版がけっこう好きだったから僕は楽しみに観に行ったわけですよ。ところがそのドラマ版にあったよさが何もかもすっかり失われててね。まず(異邦警察という)設定の面白さが1ミリも活かされてないし。そもそもその設定についての説明は始まりの1~2分くらいで終わらせて、あとは知らんぷりだし(ドラマ版観てなかったら、なんのこっちゃわからんよ、あれじゃ)。出てくる全員の行動が非論理的だし。誰彼構わず殺しまくるアジア人コンビに関してはとってつけたような幼少時代のダークな背景描写を挿入して理由づけしてくるあたりがまたイラッとさせられるし。何より主役の松田翔太が躍動する場面があまりに少なすぎるし(つまり活劇としての面白さを監督は初めから放棄している)。ドラマ版でかなりいい味出してた柳沢慎吾と康芳夫はほとんど出てもこないし(このふたりの活躍場面を発展させずに映画化する意味がどこにあるんだ?!)。映画化にあたって新たに安藤サクラという名女優を起用しておきながら、話の主軸にまるで関わらない捨て駒みたいな扱いにしかできてないし。いやもう挙げたらキリがないんだけど、要するに脚本家にも監督にもドラマ版に対する愛情や敬意、またはドラマ版のよさの上に立って発展させようという意欲がこれっぽっちもないってことがよくわかるんだな。因みに監督は熊切和嘉。『青春☆金属バット』とか『私の男』とかけっこう好きだったんだけど、今回この『ディアスポリス』でもう僕の中の評価ガタ落ちっすわ。

 

まあよかったことと言えば、須藤健太とかOMSBとか、あっち側のキャスティングと演技がよかったってことぐらいかな。主役の松田翔太に関しては、僕はドラマ版を観ながら久々に適役がキタな、しばらく龍平の株ばっかあがってたけどこれによって彼のかっこよさが見直されるなと喜んでたんだけど、この映画版はただただ勿体ない。脚本と監督がちゃんとさえしてればもっと活かされて再評価されたはずなのに……。

 

しかしあんなに面白い素材を使いながらどうしてこんな仕上がりになっちゃったんかねぇ。ドラマ版のエンディングに使われてたチャンラン・ポ・ランタンのあの素晴らしい曲「月」が映画には使われないと知ったときにはガッカリしたんだけど、観たあとに思いましたわ。こんな駄作にあの名曲が使われなくてよかったとね。