フジロック2016。3日目を振り返って。

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2016年7月24日(土)

フジロック3日目。観たのは以下の通り。

山崎彩音(木道亭)→STEREOPHONICS(グリーン)→LEON BRIDGES(ヘブン)→ERNEST RANGLIN&FRIENDS(ヘブン)→BIM BAM BOOM(アヴァロン)→KAMASI WASHINGTON(ヘブン)→RED HOT CHILI PEPPERS(グリーン。3曲のみ)→BATTLES(ホワイト)→電気グルーヴ(グリーン。15分だけ)→blues the butcher(苗場食堂)。午前2時頃帰宿。約13時間。そして午前6時に帰宅。

最終日は木道亭に直行。山崎彩音さんでスタート。17歳にしてフジ初登場。普段は都内のライブハウスで歌っている彼女にとってフジは大舞台のはずだがしかし、緊張している様子は少しも見られず、実に堂々とした歌いっぷり&ギターの弾きっぷり。その芯のある歌声が林に広がり、緑と溶け合い、ふと見上げると葉が揺れていた。葉も歌を聴いて喜んでいる。そんな気がした。以前「ロック魔女」なんていう紹介のされ方を目にしたが、そんな雰囲気は少しもなく、僕にはとても素直でまっすぐ思いを伝える女性に感じられた。少なくともこの日聴くことができたのは、そういう歌たちだった。似ているコード進行のスロー曲が多く、まだ楽曲の幅はないようだが、自身のスタイルといったものはもう築けている。これからいろんな音楽を吸収して作曲の幅を広げていけば、今あるスケール感がさらに増すことだろう。それにしても17歳にしてフジに立つ、その気持ちはどんなだろう。歌手としてやっていこうとしている若いひとにとって、それはどれだけ素晴らしい経験であることだろう。可能性は無限大。最後に歌われた曲(新曲だと言っていた)が特によかった。

グリーンでステレオフォニックス。最高だった。迷いが1ミリもない。だだっ広いグリーンステージでこそ映える正統的なロック。僕が何度か取材させてもらっていた初期(1stアルバムと2ndアルバム)の曲もバンバンやってくれて昂った。この二日後の単独公演も観たのだが、いまの彼らは過去最高の状態にあるなと、ハッキリそう思った。

ヘブンでリオン・ブリッジズ。今回のフジで僕がもっとも楽しみにしていたひとりだが、想像のはるか上を行った。弾かれるように軽いステップを踏んで彼がステージに登場した瞬間から一気に引きこまれた。歌がソウルフルで素晴らしいのはもちろんのこと、自由で軽やかなダンスに気持ちが高まる。最高の楽しさ。まるで60年代にタイムスリップした感覚だ。といってもレトロとかそういうことではなく、リオン自身がその時代を生きて、そのままそこにいるといった感じ。モダンなのである。バンドもグッドで、わけてもサックスが効いていた。黒いワンピのコーラス女性もクール(ずっとサングラスしていたけど、最後にとったら、あら美人さん!)。曲順には物語性も感じられ、ラストに「リヴァー」を弾き語るというそこにもグッときた。ジャズクラブのような場所のほうが似合うタイプかと思っていたが、その開放的なパフォーマンスをヘブンで体感できて本当によかったと、そう思った。

そのままヘブンでアーネスト・ラングリン。80歳のラングリン爺が弾くギターの瑞々しさにもしびれたが、コートニー・パインの吹奏っぷりのスケール感にぶっとばされた。

アヴァロンでBIM BAM BOOM。初アルバムが出たばかりというグッド・タイミングでフジ初登場。全員がいつにも増して気合い入った演奏っぷり。わけてもサックスの前田サラさんとギターの岡愛子さんが前に出てきてソロをぶちかます、その攻め具合に凄まじい爆発力があって盛り上がりまくった。なんといっても彼女たちには実力と華の両方がある。ここでのライブによって一気にファンが増えたことだろう。いやホント、まったくもって最高だった。

ヘブンでカマシ・ワシントン。いろんな意味で別次元。極太の音とうねりがとてつもなく、神々しくさえあった。前衛性は思いのほか前に出てなくて、ジャズとか聴かないひとでも楽しめるあり方はちょっと意外でもあったけど、そこが素晴らしい。ちゃんと観客に寄り添いながら、でもとんでもなく凄いことをやっている。そんなことやれるひとは多くない。曲順も練られていてドラマ性があるように感じられた。「ああ、これこそフジロック。だからフジは最高なんだよ」と心底思えた時間だった。

それに比べて、グリーンに動いて観たレッチリの音のまあしょぼいこと。まずグリーンに足を踏み入れた瞬間、出音の小ささに驚いた。埋め尽くされた客の中にズンズカ踏み入ってわりと前のほうにも行ってみたけど、音の小ささは変わらず。加えてアンソニーの歌がヘロヘロで、ピッチも狂いまくり。誰かがカラオケで真似して歌ってるみたい。あまりの迫力のなさに唖然となり、3曲程度聴いて僕はホワイトに動くことを決めた。これまで僕が3~4回観たレッチリのライブはどれも音響的に満足できないものばかりで、とりわけ東京ドームで観たあれは酷かったが、今回もそれと変わらないレベル。どうして彼らはあんなにいい演奏をするバンドなのにダメなPAスタッフを使い続けているのだろう。謎だ。プリンスとかミック・ジャガーだったら即座にクビにしているだろうに。また、最後にアンソニーがモニターの調子の悪さにぶちキレてマイクを叩きつけたそうだけど、チェックを怠ってる自分も悪いのに、いい歳して何やってんだかと呆れずにいられない。SNSではその行為に対して「歳とってもロックだね」などと褒めてるひともいたけど、そんなもん全然ロックじゃないよ。新作の音がよかっただけに、ほんとガッカリした。

で、ホワイトに動いてバトルズの音を聴くと……。ほらね。こんなにカラダにビリビリくるような音がそこでは出ている。その音のよさと迫力たるや、レッチリの10倍くらい。なのでたちまち引き込まれた。音がカタマリになって響いてくる、のに、一音一音もとてもクリアでビシっビシッとくる。展開のさせ方も完璧で、ああ、これが正真正銘のライブバンドだよと、ダメだったレッチリのあとだけに尚更強くそう思えた。

グリーンに戻って電気グルーヴ。グリーンでもしっかり上等な音響。映像も凄い。そして瀧も卓球もすごく楽しそう。ずっと踊っていたかったけど、どうしても苗場食堂のblues the butcherを観たかったので、後ろ髪ひかれつつ15分ほどで移動。

blues the butcherは最高だった。佐藤タイジや山岸潤史がゲストで出た一昨年の苗場食堂も最高だったけど、ゲストなしの今回もまた最高に盛り上がった。全員揃って黒のスーツにタイというブルース・ブラザーズのような衣装もかっこよし。ホトケさんの渋い声とギターもコテツさんの高い歌とブルーズハープも、夜の苗場食堂に本当にハマる。できることなら毎年出てほしい。前夜祭を含めてフジロック4日間の、これが最後に観たアクトだったが、自分にとっては理想的な締め。心残りなし!

で、この日のベストアクトは……ステフォもカマシもBIM BAM BOOMもバトルズもblues the butcherもよかったんだけど、うん、やっぱりリオン・ブリッジズ。僕はこういう音楽が心底大好きだーと、そう思えたライブだった故。

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2016年7月23日(土)

フジロック2日目。観たのは以下の通り。

THE ALBUM LEAF(レッド)→ROVO(ヘブン)→臼井ミトン with 中條卓+沼澤尚(アヴァロン)→ザ・たこさん(カフェドパリ)→WILCO(グリーン)→BECK(グリーン)→SQUAREPUSHER(ホワイト)→KILL THE NOISE(レッド)→MOROHA(苗場食堂)→THE ILLUSIVE MAN(パレスオブミステリー)→TODD TERRY(レッド)→NST&THE SOUL SAUCE(パレステント)。午前5時頃帰宿。約14時間。

*全部の感想書くと長くなるので、印象に残ったものだけさくっと書きます。

2~3年前にレッドマーキーで観たトム・オデールが素晴らしかったので今回も絶対観ようと思っていたのだが、宿でグズグズしていて間に合わず。非常に残念。というわけで13時20分からのアルバム・リーフでこの日はスタート。ポストロック~アンビエントの核心といったような音を、溜めて溜めてじわぁ~っと聴かせる感じ。映像もよかった。これはクアトロとかリキッドあたりでもう一度落ち着いて味わいたい。

臼井ミトン with 中條卓+沼澤尚。3者の人間味、または人間力といったものが溢れた心に響く歌と演奏にうっとり。ミトンさんの音楽にはアメリカのルーツミュージックを根っこにしている故の土臭さもあるけど、決して太陽燦燦の炎天下で聴くのが似合うものではなく、涼しくて爽やかな風が吹いてる感覚もそこにあるから、ジプシーアヴァロンというステージはこの上なくピッタリだ、と聴きながら思った。ピアノ、またはギターを弾いて歌うあたたかなミトンさんの声と、中條さん&沼澤さんの力強くも安定したリズム。あまりに胸に沁みたので、終演後、並んでサインもいただき、お話もできた。因みに「内本さん、絶対好きだと思うから観てください」とミトンさんのライブを僕に勧めてくれたのは、シンガーの高宮マキさんと、フジ前日にランチしたmaaayoさん(彼女の新作『WOMAN』のプロデュースをミトンさんが手掛けている)。ふたりに感謝。

ザ・たこさん。前日の苗場食堂に続き、今回2ステージめ。キング・オブ・苗場食堂がカフェドパリという洒落た場所へと大進出。で、超満杯。万歳!。セットリストは苗場食堂のそれとは大きく変えたもので、どっちもやったのは(繋ぎのインストを別にすると)女風呂のみ。ナイスミドルやケンタッキーなど定番曲が多かったが、秋に出る新作からの新曲「あんたはギビトゥミ」も初めて聴けて大満足。とりわけ「愛の讃歌」はカフェドパリで歌われるためにこれまでライブで続けてきたんじゃないかと思えるほどのドハマリ具合。それ、楽屋でローリーさんにも褒められたそうな。

ウィルコ。派手さも仕掛けもなんもなく、ただただその演奏力・バンド力でグイグイと引き込んでいく。静かなスローにいきなり轟音ドラムがどしゃばしゃと入ってまた静かに…といった押し引きと強弱のつけ方の巧さがハンパない。恐ろしいほど見事なアンサンブル。生演奏音楽の底力。これは夕方のグリーンステージのあり方の、ひとつの理想形でもあるな、とも思った。

そしてお久しぶりのベック。錚々たるバックメンバーを従えて初期曲やりまくりのエンターテインメント・ロック・ショー。ぐるっと一回りしてベックはもっともみんなが求めているベックのあり方を引き受けたのだなと、そんな印象。歳を重ねるとみんなが自分に何を求めているかがわかるようになるのだろう。いや、わかるからこそ「それだけが僕じゃないんだ」といろんな方向に行きたくなった時期もあるわけだけど、そういう時期を経て、今は素直にそれに応えたいという気持ち、あるいはそれを自分も楽しみたいという気持ちになったのだろう、きっと。しかも昔の曲でもしっかり今のモードで鳴らされてるから、懐かしさなどは皆無。メンバー紹介タイムにはボウイの「チャイナガール」、プリンスの「1999」なんかも追悼っぽく歌ったりして、その圧倒的に開かれた行き方に盛り上がらずにはいられなかった。秋頃出る新作もこういうモードになるのかどうか。ここからのベックの動きが俄然楽しみになった。

ホワイトのスクエアプッシャーは、結論から書くとこの日のベストアクト。「どこがそんなによかったの?」と訊かれて答えるには時間を要するが、カラダの節々にまで響く暴力的な電気轟音でありながらも、巧みな映像演出で飽きさせないその展開のさせ方は考え尽くされたものなんだなと。こういうのは屋内で聴いたほうがいいだろと思いがちだが、ホワイトの100%の音響も手伝い、野外だからこその昂揚があって最高だった。このへんから自分の理性も徐々に失われ……。

スクエアプッシャーでやられた頭とカラダに、次のレッドのキル・ザ・ノイズがこれまた毒キノコのようにバッキバキに効いてヤバかった。音も映像も激しく暴力的で、ここにサブリミナルぶっこんでたら絶対やられてたなっていう。このあたりの自分はもう何がなんだかわからないけど踊ってないと死んじゃうみたいな状態に。

この日の締めはパレステントでNST&THE SOUL SAUCE。韓国の実力あるレゲエバンドで、ダブがかったレゲエもよいのだが、僕はアフロビートの曲がよりかっこよく聴こえた。翌日の昼間、メンバーにばったり会ってカセットをもらったのだが、リコ・ロドリゲスに捧げた曲とかとてもよいです。

というわけで、この日のベストアクトはやっぱスクエアプッシャーってことで。



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2016年7月22日(金)

フジロック1日目。観たのは以下の通り。

BOREDOMS(グリーン)→LA GOSSA SORDA(ホワイト)→金佑龍(木道亭)→LlTTLE CREATURES(ヘブン)→UA(ヘブン)→THE lNTERNET(ホワイト)→ROUTE 17 Rock'n Roll ORCHESTRA(グリーン。八代亜紀から)→JAMES BLAKE(グリーン)→The Birthday(レッド)→SIGUR ROS(グリーン)→ザ・たこさん(苗場食堂)→D.A.N.(レッド)→三宅伸治BAND(苗場食堂)→MURA MASA(レッド)→CON BRLO(パレステント)→ROLANDO BRUNO(パレステント)→LA GOSSA SORDA(パレステント)。で、午前5時頃帰宿。15時間。

ボアダムスは初っ端だけに何か派手なことやってくれるんじゃないかと期待したが、最後まで禁欲的なまでに我が道を。わかりやすい盛り上がり場面はなく、そこが「らしい」とも言えるがしかし、20周年のフジなのだからTAICO CLUBで見せたようなドラム数台でのアレみたいな特別な昂揚が欲しかったという思いも(今回はドラムは1台のみだった)。音の振動とスケール感は凄かったけど、後半もさほど変化がない様子だったので、ホワイトに移動。

そこで観たラ・ゴッサ・ソルダは99年にスペインのバレンシアで結成されたバンドで、マヌ・チャオとかに影響受けながら活動。今年で結成17年目だそうだが、今回のフジロックのステージを最後に解散するという。ロック、パンク、レゲエ、スカに、バレンシアの民謡や地中海のビートを混ぜながら攻撃的に演奏するその様に引き込まれ、僕はどんどん前のほうへ。圧倒的に力強く、歌と演奏に魂がこもっているのがビンビン伝わってくる。最後の曲が終わると、どうやら泣いてるメンバーも。ホワイトステージのあんなに大勢の観客の前で解散ライブを全力でやり通したのだ。そりゃあいろんな思いがグルグルまわってたことだろう。メンバーのひとりは「フジロック、ありがとう」と書かれた紙を観客に見せてたりも。その光景を見ながら僕も思わずもらい泣き。美しかった。グッときた。

木道亭での金佑龍くんは、弾き語りで始まり、1曲目(ナイトクルージング!)の途中からトリオで。ギターの弦が切れるなどのハプニングもあって本人は力を出しきれなかったという思いが残ったようだが、なになに、そこでの臨機応変な即興演奏はむしろタフなパフォーマーぶりを印象付けるもの。何の問題もない。すごくいいライブだった。

LlTTLE CREATURESは出たばかりの新作の曲を次々に。ただ演奏だけがそこにある、といったふう。3人だけなのにグルーヴがとてつもなくて、引き込まれまくる。ちょっとケイクを思わせるヘンテコなビート感もたまらない。このままずっと終わらないでほしいと僕は思った。

そしてそのクリーチャーズの青柳さんと鈴木さんを含むバンドがバックを務めるUAのステージ。今年、僕はCIRCLEとグリーンルームで既にUAのライブを2回観ていて、この日も恐らく同じセトリだろうと思っていたら、なんと1曲目に(CIRCLEとグリーンルームでは後半のここぞというところで歌われた)「情熱」を持ってくるという大胆な構成チェンジ。過去曲を始めに続けてやり、そこから新作の曲へと進み、ピンクレディーのカヴァー「モンスター」を挿んだりしながら展開して、最後は聴きたかった「ミルクティー」で締めた。CIRCLEのときよりもグリーンルームのときよりもUAは何やら歌う喜びが全身から溢れだしてる感じで、コーラス女性ふたりと揃ってのアフリカンダンスの様も含め、(UA自身が)実に開放的。彼女はフィールドオブヘブンというステージが大好きなんだなと思った。ヘブンとUA、確かに抜群の相性のよさだ。

できればここからコートニー・バーネットへと動きたかったところだが、彼女のステージは前回の単独で観てることもあり、潔く諦めてホワイトで初観のTHE lNTERNET。よかったはよかったが、これは屋内で観たほうがベターだったかも。

そしてグリーンに動くと、まさかの八代亜紀「舟唄」。フジでこの曲を聴く日がこようとは。次に出たチャボも「八代亜紀と友達になれたぜ、イエ~い」と喜んでましたw。で、ROUTE 17の演奏時間が終わってバンドがハケると、横のスクリーンにプリンスが映し出され、ステージ全体の照明が紫色に。「パープルレイン」が流れたのだった。そう、プリンス・トリビュート。いつかフジでプリンスを観ることができたら…とかつて僕は夢想し、それは叶わなかったわけだがしかし、短い時間でもグリーンにプリンスの曲が確かに流れたそのことは記憶に残りそうだ。

ジェイムス・ブレイクは言うまでもなく素晴らしかった。まず音の深度が圧倒的。そして最新作のテーマの深度に呼応してか、ヴォーカルのエモーショナル度数がさらなるものになっていた。その歌ヂカラに今回は特に震えた。とはいえ初めて名古屋のクアトロで観たときの衝撃はさすがになく…。それはまあ観ている自分がよくない意味で「慣れて」しまったからではあるのだろうけど。グリーンでも堂々たるステージではあったけど、でもやっぱり完全に暗くなった時間帯に前回同様ホワイトで観たかったというのが正直な気持ち。

久々に観たThe Birthdayは文句なく最高。特に終盤、大好きな「カレンダーガール」が聴けた上にアンコールで「涙がこぼれそう」も聴けて、僕、大興奮。チバのゴキゲンな様子は「フジは楽しいね~」といったMCからも伝わってきたし、彼は珍しく何度も笑顔を浮かべて、本当にずっと楽しそうだった。久々に単独公演にも行きたいな。

シガー・ロスは光と映像の演出にただただ圧倒された……けど、後ろのほうで座って聴いてたため、急に疲れがきてウトウト。あの音と相まって夢の中にいる感覚だった。

“キング・オブ・苗場食堂”こと我らがザ・たこさんは、今回が5度目の苗場食堂。もちろん僕は全て観てきたが、なんと今回、最後の「監獄ロック」でザ・たこさん史上初めてのモッシュが起きた。とてつもない盛り上がり。ひとも後ろのほうまでビッシリ。どーだ!  これがザ・たこさんだ! と、10年ちょっと追いかけてきた僕も誇らしい気持ちになった。

深夜のマーキーのD.A.N.は海外のバンドのようとも言える音のセンスで、映像表現もこれまたハイセンス。サポートで加わった小林うてなさん(マリンバ、スティールパン奏者)、存在感あったなー。僕、彼女ばっか観てました。

三宅伸治BANDは苗場食堂でも安定感あり。「毎日がブランニューデイ」など清志郎の曲で盛り上がったりも。「月がかっこいい」はあの場によく映えるな。

MURA MASAは音響がズンズン凄くて、ああこれは最新型のビートミュージックだなぁと思いつつ前半観てると、途中でエキゾチックな女性ヴォーカルが加わったり、はけたり、また加わったり。で、R&Bっぽくもなったりして、なんかいろいろ面白かった。また観たい。

深夜のパレスのコン・ブリオは、前夜祭で観たときよりソウルとしての深みがあった。いろんな面を持ってるなぁと感心。そしてそのままパレステントにい続け(飲み続け)、ROLANDO BRUNO、からの昼間ホワイトでも観たラ・ゴッサ・ソルダ。これが彼らの正真正銘のラストライブ。それだけに気持ちの入りようがハンパなく、とてつもないノリを巻き起こした。終わって抱き合うメンバーたち。感動。昼間に続いてまた泣いてしまったよ。

というわけで、この日のベストアクト…というか最も強く印象に残って、きっとずっと忘れないだろうと思えたのは、ラ・ゴッサ・ソルダ。あの場に立ちあえて本当によかった!

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2016年7月21日(木)

フジロック前夜祭。

会場に到着し、さあゲートをくぐろうというタイミングで、ちょうど花火がドーン。嬉しいお出迎え。そしてそのままレッドマーキーへ。MAMEZUKAのDJで既に激しく盛り上がっていた。

DJ MAMEZUKA→CON BRIO→DJ MAMEZUKA→THE AKABANE VULGARS ON STRONG BYPASS→DJ MAMEZUKA→The Illusive Man&Los lcarios High Flying Circus→DJ MAMEZUKA→NON STOP PUNK→DJ MAMEZUKA。

THE AKABANE VULGARS ON STRONG BYPASSのときに外に出て飲食した以外、僕はずっとレッドのなかにいて踊ったり騒いだり。初っ端からMAMEZUKAのツボを得たDJが最高だった。レッチリの「キブ・イット・アウェイ」をかけたりベックの「ルーザー」をかけたりと、20回目のフジの出演者の必殺曲を立て続けにスピンするもんだから、みんなが狂喜乱舞。もちろん僕も。

初登場の新星CON BRIOはファンクを基調にしながらポップさ(明快さとも言う)もたっぷり持ち合わせ、これは万人を楽しませることができるライブバンドだなーと。プリンスやJ.B.からの影響が窺える又割りなどの動きもあれば、マイケルのムーンウォークに近い動きもあって、さらにはバク宙を連続でキメたりも。なんとしなやか。かと思えば、ソウルフルに聴かせたりもするし、ベル・ビブ・デヴォーの「ポイズン」をプレイクで挿んだりもするし。とにかく楽しい。そのエンターテインメントな行き方に拍手喝采。

The Illusive Man&Los lcarios High Flying Circusは、パレスで連日やってた家族のマジック団と、同じくパレスの「MAGIC」というハコ(赤鬼が描かれてたあれ)でやってた男性手品師がお披露目的に続けて出しものの代表的なやつを見せるというもの。特にLos lcarios High Flying Circusの少年(アキラくん!)がお兄ちゃんの足でくるくる回転するアレが凄くて、これまた拍手喝采。やんややんや。

そしてライブのトリを飾るのはNON STOP PUNK。聞いたことのないバンド名だと思ったら、これがなんとルースターズの池畑・花田・井上やヤマジカズヒデらをバックに、民生、ベンジー、ヒロトが交代で出てきて、クラッシュやストレイキャッツやストゥージズの曲を歌うというもの。つまりフジ20回目を祝うこの日限りのスペシャルバンドであって、少し前にその情報を入手していた僕は初めは前のほうでかぶりついて観てたんだが、興奮して前に押し寄せ暴れまわる客たちによって後方へと押し出されるハメに。このメンツだもの、そりゃあ興奮するのは無理なきこと。最後は全員でラモーンズをカヴァー。凄かった。

さらに締めのMAMEZUKAがその興奮状態に油を注いでRCの「上を向いて歩こう」をかけたりも(永六輔追悼の意味も込みですね)。MAMEZUKAあってのフジロック前夜祭。一旦終わるがアンコールの拍手がおき、最後に今度はRCの「雨あがりの夜空に」。で、そこにいる全員、シンガロング。清志郎トリビュートの思いも込めて。ああ、なんて最高。こうして前夜祭は幕を閉じ、しばらく飲んで宿へ……。


石橋凌@赤坂BLITZ

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2016年7月20日(水)

赤坂ブリッツで、石橋凌の還暦バースデイ・ライブ「SOULFUL CARNIVAL」。

多数のゲストを迎え、実に4時間に及んだ濃厚な夜。以下は翌朝にした感想ツイートのまとめ。

「石橋凌「SOULFUL CARNIVAL」。池畑、井上、チバ、ベンジー、チャボ、司会のスマイリーまで、フジロック組も多数出演してて、うっわぁ、フジの前々夜祭みたいだなともチラと思ったが、でもそれにしちゃ濃厚すぎ。何しろその4時間はある意味で日本のロック史の縮図のようでもあった故。」

「石橋凌「SOULFUL CARNIVAL」。それにしても苗場でも大忙しの身でありながら一旦赤坂に戻ってきて4時間ドラム叩きっぱなし(司会のスマイリー曰く「全40曲。リハを含めると80曲!」)という池畑さんの凄さたるや。「漢」だねぇ。」

「石橋凌「SOULFUL CARNIVAL」。錚々たるゲスト陣はそれぞれのスタイルで個性と凌さんへの敬意を表していたけど、アクの強い人ばかりのなかで個人的には土屋公平の落ち着きと味わい深いプレイ&存在感がとても印象に残った。「ワイルドローティンガール」のあの感じ、めちゃよかったな。」

「石橋凌「SOULFUL CARNIVAL」。驚いたのは凌さんの娘さんである優河さんと凌さんの親子デュエットで、これは初のこと。僕は初めて優河さんの歌声を聴いたのだが、ほどよくハスキーめながらも包み込む感覚があり、同時に声量もあって、その豊かな味わいにグッときた。今度ライブ行こう。」

「石橋凌「SOULFUL CARNIVAL」。それにしても菊さんの毒々しくも圧倒的な存在感には、やはり登場した瞬間から「うおっ」となる。あれだけアクの強い人が多い中にあっても、一際異彩を放っておる。しかも最高齢。すげぇ69歳だなぁとまたしても思いました。犯罪レベル。」

何せ名場面が多すぎて簡単にまとめるのは到底無理。久々に聴けた「Boys&Girls」にはやはり血が躍ったし(しかもバックはルースターズ!)、チバが歌った「飲まずにいられない」もすごくよかったし…。いやぁ、濃かった。新譜の制作も発表されたが、それもとても楽しみだ。



2016年7月18日(月・祝)

渋谷シネマクイントで、『シング・ストリート 未来へのうた』。

ようやく昨晩観てきました、相当評判のいい『シング・ストリート 未来へのうた』。いやぁ、たまらんかったですね。淀長さんじゃないけど「映画って本当にいいもんですねぇ」と素直に口にしたくなる。換言するなら映画という表現の醍醐味が感じられる作品。文字じゃダメで、映像だからこその嬉しさや切なさが溢れ出している。この映画にノレないひとがいるとしたらよっぽど偏屈じゃないかな。と思えるくらい誰でも(20代も30代も40代も50代も)どっかに共感したりグッときたりできる映画だと思うけど、とりわけ80年代に高校時代を過ごしたという…つまり映画の中のあのコたちと同世代の人たち…僕がまさにそうなんだけど、その世代からしたらもう思い当たるフシがありまくり(ファッションもね。最初のMV撮影のときに女のコが着てたビニール生地のロングコートとか僕もよく着てたもんなー)。

やんごとなき事情で転校したらそこは極めて文化的偏差値の低いとこで全然馴染めなくて、いじめられるし、先生にも理解されないし、あーもうってなって、でもなんとか自分が存在してることを確かめたくて、そんで化粧して登校して……。ああ、コナーくんのその心理はまるで仙八先生における本田恭章じゃないかと。で、それはすなわち、あの頃の僕でもあったわけで。オレかよ?!っていうね。ホント、ああいう年頃でああいう状態になると自分でも考えられないような初期衝動パワーみたいなもんが生まれるもんで。コナーくんはそれで楽器できそなコを誘いに行ってバンドを作るわけだけど、あの頃の僕はといえばバンドじゃなくてそこで文芸同好会っつうのを立ち上げて文集や詩集やミニコミみたいなの作って配ったりして、そこに気に入らない学校の文句とかも吐きだしたりしてたんだけど、それにノッて加入してくれたのは僕と同じようになんともさえないクラスのはみ出しもんばっかで、彼らはみんなシングストリートのあのコたちの持つ雰囲気に通じるものを持っていて…。てなふうに思わず自分語りをしたくなっちゃうほど共感度数の高い映画だったってことを言いたいわけなんですが。

デュランデュランからニューロマに憧れ、キュアーを知って歌詞の深みに気づき、ホール&オーツに行ってソウル的な何かのステキさがわかり…っていう流れも文脈的には理解しづらいかもしれないけど、リアルタイムであの当時に洋楽聴いてた人なら「そうそうそう」っていうね。誰かから聞いたわけじゃなく、監督自身がその時代にそうやって音楽の興味を広げてってたことがよくわかるし、だから信用できるんだよなジョン・カーニー監督は、と、改めてそう思った次第。

それと、自分が通ってきた「音楽」だけじゃなくて、通ってきた「映画」への愛と敬意もところどころでオマージュっぽく表現してるのがこの監督らしいというか、そうしないではいられないんだろうなと。とりわけラストシーンは70年代ニューシネマみたいで素晴らしいですね。ハッピーエンドと見る人も多いだろうけど、ロンドン行っても前途多難で挫折して帰ってくる…その暗示が彼らの志向した音楽性の移行からも既に見て取れてたわけで…。ああ、なんて“あまくてほろにがい”映画なんでしょう。

キュアーによってハッピーサッドの心を知るというあのシーンとか、ジャムのレコードかけてるときの昂揚感とか。あと、a-haの「テイク・オン・ミー」がスローになってインストで流れるシーンとかもね。泣くよね。泣くでしょう。なんかいろいろ生き辛かったけど、あの時代がまさしく僕の青春時代でもあったんだなあと、いまさらながら肯定できた気にもなったなぁ。うん。だから、「ありがとう、ジョン・カーニー」っていう。そういう映画。最高。


広沢タダシ@渋谷7TH FLOOR

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2016年7月17日(日)

渋谷7TH FLOORで、広沢タダシ。

デビュー15周年記念ツアーの締め括り。メジャー・デビュー盤の1曲目を飾ってた「ルームサービス」で始まり、これまでの重要曲と今月出たばかりの新作『真夜中の散歩』の曲を混ぜながらの全20曲(+ダブルアンコールでセッション1曲)。ピアノ、ドラム、エレクトリックギター、ベースが加わったバンドセットのライブだが、中盤ではピアノの扇谷研人さんとふたりだけのアコースティック・セットによる2曲も。

15周年記念公演とはいえ、集大成というよりはあくまでも現在の「いい状態」をそのまま伝えてくるあり方だった。とりわけ総立ちとなった後半などは、ある種の若々しさが前に出ていた。そういう意味で、熟成だけでなくフレッシュな感覚をこのタイミングで味わうことができたのがよかったところだ。換言するなら「ここから」という意思の強く表れたライブだったようにも思う。

地に足つけて、地道に一歩一歩。そのように歩いてきた15年の年月が、ミディアム~スローの曲の深み、優しさ、説得力となって、じわっと沁み入るように伝わってきた…気がした。生まれて、いろんな出来事があって、そうして曲自体もまた今というときを生きているのだな…なんてふうにも僕は思った。とりわけ「光」に胸を打たれた。

あたたかだったり優しかったりのミディアム~スロー曲もどれもよかったけど、総立ちとなった後半のあのノリは、息の合ったバンドの力も手伝ってグルーヴィーで最高だった。わけても「雷鳴」。あれは本当にかっこよかった! そして、そのあとみんなでシンガロングした「旅に出ようぜ」。広沢さんの20年目に向けての旅がここから始まったような気がしたし、ファンたちはきっとそこに同行しようという思いを持ったに違いない、そんな本編の締め括りだった。それぞれがそれぞれの旅をして、またいつかその何人かが同じ会場に集って同じ歌を味わう。それはとてもステキなことだ。だから…旅に出ようぜ。そんな思いを僕も持った。

この場に立ち会うことができてよかった。新作『真夜中の散歩』、あとでじっくり聴こう。

『AMY エイミー』極上音響上映

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2016年7月16日(土)

映画『AMY エイミー』公開初日。極上音響を体感すべく、立川シネマシティへ。さすがに素晴らしい音響効果。爆音ではなく、実にバランスのよい、まさに極上音響。これからご覧になられる方で、時間に余裕があるならば、立川まで行かれることをオススメする。

試写でも観てるのに、やっぱり最後は辛くて、悲しくて、立てなくなってしまった。そして改めて観なおして感じたのは、監督の構成及び編集の見事さ。そこには愛がある。エイミーのことをよく知らないひとにも、ファンだったというひとにも、ぜひ観てほしい作品だ。

尚、劇場用プログラムに寄稿させていただいたので、読んでいただけると幸いです。また、サントラ盤のライナーノーツも書いているので、そちらもぜひ(サントラ盤のライナーにはエイミーにインタビューしたときのやりとりも書きました)。

『A2 完全版』

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2016年7月15日(金)

渋谷ユーロスペースで、『A2 完全版』。

冷酷なのも人間。あたたかいのもまた人間。その境界線について考えさせられた。

思いのほか笑える場面が多い。一定の深刻さを越えると人と人とのやりとりは面白く(ときに滑稽に)見えるものだ。そして思いのほか映画的名シーンが多い。完全版で遂に加えられた、アーチャリーが「My name is Rika Matsumoto」と自己紹介する場面とそのときの夕暮れが、とても印象に残った。

そしてまた、多勢が正義の名のもとに少数を裁くという病理は、この時代から顕著になっていったんだなぁと。その意味で(森監督の)新作『FAKE』にも繋がっている。

『葛城事件』

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2016年7月12日(火)

新宿バルト9で『葛城事件』。

日本映画が凄い段階に来ている!  と、そう思わせる凄まじい作品だ。

観ている間ずっと嫌~な気分が続く。どんどん滅入ってくる。救いであるとかホッとできる場面が1箇所でもあればと願うが、そんなものは最後までありゃしない。見事に絶望だけが残る。が、これが映画の持つ力であり、ある意味においては役割だ。

とにもかくにも三浦友和が凄い。激しくリアル。こういう男、いるよなぁ、と。こういう男とはつまり、自分はやるべきことをちゃんとやって家族のために働いてきたのにオマエらはなんだ、なんでオレの正しさがわからないのだ、オレは何も間違っていない、悪いのは全部オマエたちだ、といった感じで、ひとの気持ちをまったく理解しようとしない男。まあそういう意味じゃ、田中麗奈の「ひとの気持ちを理解しようとしない」正しさの押し売り度数も相当のものなのだが。

観ていて何が嫌な感じかって、食べ物の咀嚼音。くちゃくちゃ。べちゃべちゃ。ずるずる。あれがたまらなく嫌だ。耳に残る。何かを食べてるシーンがこれでもかと何度も出てくるのだが、ただのひとつも美味しそうに思えない。食欲が失せていく。コンビニメシは恐ろしい。かくも人間の感情や、やる気を奪い取っていく。僕はとっくにコンビニメシなんて食べられないカラダになっているが、頼まれても二度と食べるものか。改めてそう思った。