第54回グラミー賞、僕の選んだパフォーマンス・ベスト5。
テーマ:音楽一昨日行なわれた第54回グラミー賞のなかで、特によかったパフォーマンスを5位まで選んでみました。
1度観ただけだったらまた違った結果になっていたと思いますが、生放送と再放送の2回を通して観て、このような順位になりました。
1位: 「I Will Always Love You」ジェニファー・ハドソン
迷うことなく、ぶっちぎりでこれが1位ですね。
「あなたのベスト5は?」と訊いたら、かなり多くの人がこれを1位に挙げるんじゃないでしょうか。
前日のホイットニーの急死を受けて急遽組まれたトリビュートで、チャカ・カーンとジェニファー・ハドソンがその役を務めるということをツイッターで僕が知ったのは前日の(日本時間の)午後から夕方にかけてくらいでした。
当然ジェニファー・ハドソンには十分な準備の時間も心構えの時間もなかったはずです。
ホイットニーの急死に際して計り知れない動揺があったでしょうし、そのトリビュートを自らが務めるとなれば計り知れないプレッシャーもあったでしょう。
チャカ・カーンは結局出演しませんでした。
憶測で書くのはよくないけれど、やはり動揺とプレッシャーが大きすぎたのかもしれません。
しかし、ジェニファーはそうした動揺やプレッシャーや悲しみを抱えながら、ホイットニーへの想いを歌で表現してみせた。
悲しみよりも敬意や愛情を今はホイットニーに伝えたいのだという、そんな想いで歌っているようだった。
その態度に胸をうたれましたし、何より歌唱そのものが素晴らしかった。
ア・カペラで歌い始めるその瞬間から会場の空気が変わったのを感じましたね。
そしてサビへと移る前に一拍置いたとき、観客から拍手と歓声が沸き起こったのですが、ジェニファーはそれを手で制して静かにまた歌いだした。
唇は震えてましたが、泣くまいという想いが表情から伺えました。
Always Love Youというその言葉を歌っているときの手の動きは、明らかにホイットニーへと向けられていました。
で、We Love Youの言葉で歌い終わると後ろのスクリーンに映ったホイットニーに投げキス。
We。つまり私とみんなの想いをあなたに伝えたいという、その気持ちが込められた本当に美しいトリビュート・パフォーマンスだったと思います。
2位: 「Gentle On My Mind」ザ・バンド・ペリー~「Southern Nights」ブレイク・シェルトン~「Rhinestone Cowboy」グレン・キャンベル
日本だとカントリー的なものはアレなのでなかなかナニですが、これは今回のグラミーのひとつのハイライトでしょう。
功労賞が与えられたグレン・キャンベルのパフォーマンスで、グレンのお孫さんくらいの年代にあたるザ・バンド・ペリー、からのブレイク・シェルトン、からの本人登場というメドレー。
グレン・キャンベルは、1936年生まれだから76歳になるんですかね。
今回の出演者のなかだとトニー・ベネットが最年長で、その次でしょうか。
グレン・キャンベルといえば、僕なんかの年齢だとやっぱりコカ・コーラのCM曲だった「カミング・ホーム」とか、今回歌われた「ラインストーン・カウボーイ」とかを小学5年だか6年だかの頃に意識するわけでもなく聴いてたわけで、だからグレンさんの歌声を聴くと懐かしさやらなんやらの甘酸っぱいものが込み上げてもくるわけですが。
そんなベテランのグレンさんは、去年アルツハイマー型の病をわずらっていることを公表して、引退を宣言。
ラストツアーを行なっているところのようですが、華々しい大舞台に立つのはこのグラミーが最後だったわけですね。
グレンさん、とても嬉しそうに歌っておられました。
現行のシーンで大活躍する自分のお孫さんくらいの年代の歌手たちと一緒に、幸せそうにステージで動いて、歌っておられました。
サビを観客に歌わせたり、Vサイン出したり。
最後は、「なんだ~、ワタシの出番はこれで終わりか~」みたいなことを言って、そこで場面転換となりました。
もっと歌いたかったんだろな~、気持ちよかったんだろうな~、嬉しかったんだろうな~、って思いましたね。
本放送で観てたときは僕、ああ、相変わらずいい声だな、さすがベテランだな、ぐらいの感じで観てたんですが。
再放送で改めて観直したら、なんか涙が出てきちゃいましたよ。
背景に流れる若き日のグレンの映像と現在のグレンの重なりもいろいろ思わされるところがあってね。
ホント、いいステージでした。
(新人賞は残念ながら逃した)ザ・バンド・ペリーもすごくよかった。
彼女のヴォーカリストとしての実力も感じられたし、グレンの「Gentle On My Mind」がまたピッタリはまってたし。
それにミランダ・ランバートの旦那様、ブレイク・シェルトンの歌も実に大した安定感。
ブレイク・シェルトン、初めはグレンさんのステージを後ろから心配そうな表情で見てたけど、途中から、ちゃんとしっかり歌えているグレンさんに安心したみたいで嬉しそうな表情に変わった感じがまたよかったです。
因みにこのコーナーを紹介したのがテイラー・スウィフト。
で、テイラーからザ・バンド・ペリーという具合に、グレンの築いたポップ・カントリーがこうして今に継承されているというその縮図が示されているようだったのもよかったです。
あと、今回のグラミーではビーチ・ボーイズの再結成もあったわけですが、かつてブライアン・ウィルソンがビーチ・ボーイズのツアー活動から退いたときに代役を務めたのがグレン・キャンベルだったわけで、今、同じ式典に両者はどんな思いで出てるんだろとか。
バックステージではゆっくり話したのかな、どんな話をしたんだろな、とか、片や復帰~再結成、片やアルツハイマーで引退だけど、でも、生きててこうしてどちらも華やかな舞台で歌ってるんだからそれは素晴らしいことじゃないか、とか。
そういう歴史的なことやらいろんな想いやらがギュッと詰まった意義深いメドレーだったよなと、改めて思ってジンときたのでした。
3位: 「My Valentine」ポール・マッカートニー
エンディングのロックなポールもよかったけど、再放送で観直して僕がよりグッときたのは、しっとり歌われたこっちのほう。
このところ新作を気にいってよく聴いてたってこともあるけど、これは沁みました。
ストリングスと、ポールのさすがに少し枯れてきた声の合わさりがちょっと切なくていいんですよね。
特にいいのがダイアナ・クラールのピアノ。
先週のiTunesのスタジオライブを観てても思ったけど、ポールがダイアナ・クラールを迎えたのは大正解。
ジョー・ウォルシュのアコギも味わい深さがありました。
それと、ポールを映してたところから引いてって、オケを映してダイアナ・クラール、で、ジョー・ウォルシュっていうカメラ・ワークもよかったです。
4位: 「Golden Slumbers」~「Carry That Weight」~「The End」ポール・マッカートニー
エンディングを飾るに相応しかったポールのメドレー。
ここ数年のグラミー賞の終わり方のなかではもっともよかったんじゃないですか?!。
先の「My Valentine」がしっとりした行き方だっただけに、ロックなポールが観たいんじゃという人も多かったと思うけど、そうやってじらしといて最後に弾けるっていうやり方もおいしいですよね。
ボスとジョー・ウォルシュとデイヴ・グロールを迎えてのギター合戦も、そりゃ盛り上がらないわけがないっていう。
しかし、デイヴの勢い任せの弾き方はワンパターンだったな(笑)
それに比べて、ポールの冷静だったこと。
さすがでした。
5位: 「We Found Love」リアーナ
4位まではあっさり決まったんですが、あとひとつをどれにするか迷いに迷って、結局これにしました。
いや、ビーチボーイズ再結成にももちろんグッときたし、アリシア・キーズとボニー・レイットによるエタ・ジェイムス・トリビュートも沁みたし、っていうんでずいぶん迷ったんですがね。
まぁ、リアーナ大好きってことで贔屓も多分に入ってるんですが。
でも、このパフォーマンスは最高にかっこよかったでしょ。
今やリアーナ最大のヒットとなった「We Found Love」をナマだとどう歌うのかってことにすごく興味があったんだけど、おお、こういうふうにやるんだっていうね。
後半の大人数での揃いのダンスも圧巻。
リアーナ、背が高いから飛び抜けてかっこいいんだ。
「ホイットニーのために叫んで~!!」ってなシャウトにも気持ち上がりましたわ。
因みにこの曲からコールドプレイとのコラボへと続いたわけですが、それはまあ、正直、期待してたほどのものではなかったかな。
クリス・マーティンがもうちょっとしっかり歌える人だったらだいぶ違ったのになぁ……っていう。
というわけで、僕の選んだベスト5はこの順位に。
繰り返しますが、もちろんマルーン5とフォスター・ザ・ピープルが混ざってのビーチボーイズ再結成も、アリシア・キーズとボニー・レイットによるエタ・トリビュートも、相当グッときたんですよ。
ほかにも、J.B.気取ったブルーノ・マーズの華やかさとか、エクソシストみたいなノリのニッキー・ミナージュのガガをも上回るようなパフォーマンスとかね。
あと、イメージ変えてカントリー・ポップの原点に戻ったようなテイラー・スウィフトもよかったし(音程外しまくって酷評された2年前だかとは見違えるようで、ああ、成長したんだなぁと)。
フー・ファイターズ曲のマッシュアップっぷりも強烈だったデッドマウスの悪意も「うひゃひゃ」と笑えるぐらい痛快でしたしね。
因みにアデルは、あれ、きっと会場で聴くことができたら、相当感動したと思うんですよね。
ただ、復帰しての久々のステージとあって、やはり本調子ではなかった。
いや、それでも十分に素晴らしかったんですが。
あ、あと、今回パフォーマンスの要請に関して意見を通し、自分たちの曲以外の曲を歌うのは本意じゃないと出場を辞退したボン・イヴェールですが、スピーチのなかでは彼の正直な言葉がすごく胸に響きました。
今度はやはり彼のパフォーマンスもこの場所で観てみたい、と思ったりも。
それとデイヴ・グロールの、コンピュータよりも生演奏に宿るヒューマンな感覚こそが大事だというようなスピーチもよかったんですが、でもそういういいこと言ったあとにデッドマウスの「Rope」のリミックスで首ふってたのがおいおいって感じで、それはちょっと面白かったです(笑)
まぁ、でも、この日のグラミーで言葉の部分における才能とか誠実さをもっとも感じたのは、結局、司会を務めたL.L.クールJでしたね。
とりわけ始まりのときのホイットニーに関する言葉。
あれは沁みた。
彼のホイットニーに対する心からの言葉と、わずか一日の間に式の台本をあのように書き換えたスタッフの働きは称賛に値するものでしょう。
というわけで、来年もぜひまたL.L.クールJに司会をやっていただきたい。
あと、最後にもうひとつだけ。
エイミーのトリビュートがまったくなしってのはどういうこと?
そりゃないっすよ、スタッフ~~。
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