junのブログ

*問題点、分かっていたんじゃないか。
*なんで早く対処しなかったんだよ。
*おかげで、多くの日本人が迷惑被るどころか、他国にも迷惑かけてるんじゃないか!

・・・正直な印象です。
本著、2009年9月に出版されており、現在の原発事故の1年半も前に出版されていました。そして、本来の趣旨は知事個人の「国策捜査」に対する反論の書 です。しかし、元々この知事、原子力発電推進方針に、「安全性に疑問がある」として断固反対を貫いておりまして、国策捜査もそのために行われたという側面 があるようです。
したがって、本書の中でも原発の安全性に如何に問題があるか、その根拠が蕩々と語られております。この部分、原発問題が顕在化した今読むと、「おいおい、ふざけんな!」と思わされること多です。

要約すると

①原子力発電を推進していくことは国策であり、理由の如何を問わず、これを覆すことはできない
②原子力発電の結果精製される「プルトニウム」は、核廃絶を謳う日本では諸外国への説明上も、持つことは許されない
③従って、使用済核燃料の再処理工場やプルサーマル方式は、これを採用するという選択肢以外ありえず、仮に危険性が予見されていたとしても、撤退はあり得ない
④上記の見解は国としての既定路線であり、それ以外の結論は許さない。例え安全性に問題があっても。地元にどんな被害が想定されるとしても。
⑤計画を遂行するためには、国から自治体への補助金(政治家・官僚)と、地元支援という名の援助(東電など)などのカネの力に加え、政治的圧力により地方を締め上げていた。

心から怖いと感じたのは、④の部分。一度 「Go!」と決めてしまったことは、それが覆せないと言うこと。

・仮に「重大な危険性」が予見されたとしても公表しなければ発覚はしない
・「重大な危険性につながりかねない事故」が起きてもそれを隠蔽すれば「なかったことになる」

という点。
おそらく「そんなことは何十年かに一度あるかないかだよ、そんなことに怯えて自分がプロジェクトを止めてしまうと、出世にかかわるだろ」とか、「自分の在任中には、そんな事態起きないだろ」とか、そう思ってたんでしょうね。

事件の当事者による著書であることを割り引いた上でも、それでも、憤慨の気持ちしか起きないですね。
多くの人が目にする場で用いるべき表現ではないかも知れませんが、「万死に値する」、その言葉に尽きます。


グチをいっても、状況は打開されません、
そんなネガティブな感情でなく、いかにポジティブに捉えるか・・・・・。



「あり得ない」ことが次々起こるのは、「起こるべくして起きている」のと同じ


 
本著にある表現です。
この言葉を、全ての原発担当者に。
そして、全てのリスク管理担当に。




PS
「福島の前知事?あぁ、汚職で捕まった人でしょ。古いタイプの政治家なんだろうね」
正直、この程度の認識しかありませんでした。メディアの影響というのは恐ろしいものです。
(もちろん、著書の内容を盲目的に信用する訳ではないですが、それでも正論が多い気がします)