十六歳のアメリカ ニュー・ファミリー 二三、感謝祭 71 | 六月の虫のブログ

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 ワドリー家の朝は早い。ワドリーさんは五時半には起きているようだ。ボクは六時半に起きて、風呂に入る。ワドリーさんとボクは、バスタブ派で、ワドリー夫人は、シャワー派だ。ボクは、朝には極めて弱く、起きるとバスタブにお湯を溜め、お湯に漬かって目を覚ます。風呂の後、着替えてキッチンへ向かう。ワドリーさんはもう着替えて、ベーコンをグリルしながら、スクランブルド・エッグを作っている。朝食を用意するのは、ワドリーさんの仕事らしい。ワドリー夫人は、まだパジャマの上にガウンを着ていて、紅茶をすすっている。彼女も朝には弱いらしい。スクランブルド・エッグはビート・アップした卵に牛乳を混ぜてフライパンで焼く、目玉焼きの場合はサニーサイド・アップ (sunny-side up) ではなく裏返して、両側を焼くのがワドリー式だった。ベーコンはフライパンではなく、下に油が落ちるようになっている専用のグリル板で焦げ目が付いて、パリパリになるまでグリルする。グリルした後、ベーコンをペーパータオルで押さえ、油を取って皿に載せる。シリアルの時もたまにあるが、卵を二個ずつとベーコンまたはソーセージ、天然のジャムとバターを塗ったトースト、オレンジ・ジュースまたはグレープフルーツ、そしてミルクがワドリー家の朝食だ。

 四時過ぎに学校から帰ると、まず宿題を済ませて、編み物をしているワドリー夫人と少し話しをする。彼女の作った編み物や刺繍は、老人病院のバザーで売るためのもので、収益金は老人病院に寄付される。また、週に数回病院に出向いて、患者の世話をしている。マム(スチュワート夫人)もそうだが、ワドリー夫人もボランティア活動に積極的だ。一度、彼女が毛糸の刺繍を作っていた時、ボクもその刺繍がしてみたくなり、教えてもらって、クッションを作ったことがある。

 ワドリー夫人は、ワドリーさんが五時半過ぎに帰宅した後、夕食の仕上げに取り掛かる。日中一人の時に夕食の下ごしらえは、済ましてある。後は、オーブンのスイッチを入れ、出来上がりを待つだけだ。彼女は時間を無駄に過ごさない。買い物や食事の用意にしても、できることはすべて早めに済ませ、ボランティアや趣味の時間を作る。また、彼女のボランティア活動で家事がおろそかになることは決してなかった。ボクやワドリーさんが帰宅した後、彼女が家事に追われて我々の相手ができないということもない。まさに主婦の鏡だ。


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ワドリー夫妻。蘭の展示会に行った時の写真。ワドリーさんは地下の温室でランを育てていた。