十六歳のアメリカ ニュー・ファミリー 二三、感謝祭 70 | 六月の虫のブログ

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 夕食の時間がきた。ボクはスチュワート家にいた時同様、夕食時にはミルクを飲むことにした。ワドリー家では食事の前に、お祈りをする。全員がテーブルに付くと、うつむいてワドリーさんのお祈りを聞き、各々が「アーメン」と言ってから食べ始める。ワドリー家でも夕食には、肉料理、ポテトまたはライス、調理された野菜とサラダ、そしてデザートが出る。ワドリー夫人は、ボクがどのくらい食べるのか判らないらしく、食事の後、食べ物が十分だったのかをボクに尋ねた。ボクは十分だったので、そう答えたが、彼女は信じていなかったようだ。次の日の夕食の量は、前日の二割から三割増しだった。この時から、ボクにはテーブルの上の食べ物は残さず、片付けるという宿命を背負わされた。とにかく、ポーク・チョップやスイス・ステーキが二切れ残っていても、最後は二切れ共ボクの皿に載せられ、ボクが始末する役目を命ぜられた。 ”You´re a growing boy.” というのがワドリー夫人の口癖だった。また、ボクがすべての物を食べるのを見て、彼女の喜ぶ顔を見ると、全部食べないわけにはいかなかった。ほぼ毎日、ボクは食べ過ぎて吐きそうになっていた。それでもボクはデザートまで食べた。ワドリー夫人の期待に応えるため、二杯飲むミルクを一杯にした。また、普通、サラダは最初の方に食べてしまうが、そうすると後が苦しいので、サラダを最後に食べるようにした。これで何とかワドリー夫人の言う ”a growing boy” の面目を保つことができた。ただ、こんなに毎晩限界まで食べたにもかかわらず、太ることはなかった。間食なしの規則正しい生活を送っていれば、そう太るものではないということを身を以って証明した。

 夕食の後は、ワドリーさんが皿洗いをする。ボクは初日から洗ったお皿を拭く仕事をかって出た。この仕事は通常ワドリー夫人がするらしいが、この日からボクの仕事になった。




ワドリー家では、ヴィール(仔牛肉)のスイス・ステーキが定番だった。美味しいけど、いつも食べすぎて吐きそうだった。