19世紀に書かれた『タイムマシン』 | 六月の虫のブログ

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1890年代にH.G.ウェルズが書いたSF小説、『タイムマシン』。主人公のTTは、自らが発明したタイムマシンに乗って80万年後の未来に行きます。人類は地上で暮らすエロイと地下に暮らすモーロックの二種類に分かれています。


産業革命から人類が労働者と支配者に二極化していく、それが未来の人類が二種類に分かれた原因であると、TTは分析します。まさに格差社会が生んだ人類の二分化です。19世紀に既にウェルズは予想していたのです。


地上に住むエロイは争いもせず、子供の心を持ったまま、子供のような表情をして、集団で暮らしています。争い事がないので武器は存在しないのです。みんな同じようなチュニックを着ていて、同じものを食べて、大きな建物の中で暮らしています。寝るときも集団で寝ます。ただ、エロイたちは地下に住むモーロックのことを相当恐れています。その理由は…


80万年後の世界には火をおこす道具がありません。電気もなく、夜は真っ暗になるのです。エロイたちは主にフルーツしか食べません。モーロックが食べるのは生肉です。調理に火は必要ないのです。そこで重要な役割を果たすのが、TTが19世紀から持ち込んだマッチです。ライターも懐中電灯もない世界ですから…


小説の中で、TTがタイムマシンの可能性について説明するところが印象に残っています。


一次元、線は目に見えません(幅があれば二次元になるので)。二次元、平面も厚さがないので目に見えません(厚さがあれば三次元になるので)。また、三次元、立体も目に見えないのです。時間という四つ目の軸がないと一瞬で消えてしまうからです。立体が我々に見えるのは、時間軸で見るからです。一次元から三次元はコントロールできる。だから、四つ目の次元、時間もコントロールできるはずだというのがTTの理論です。


ところで、以前にも人類が二極化するというストーリーを読んだことがあります。それは、遺伝子を操作して誕生するデザイナーベイビーの未来についてでした。金持ちのカップルは、遺伝子を操作して自分たちの理想の子供をつくる。例えば、音楽家にしたいなら音楽の才能を持った受精卵を使って子供を産むのです。とにかく、優秀な遺伝子を持った受精卵だけを使うわけです。


デザイナーベイビー同士が結婚して、またデザイナーベイビーを産む。それを繰り返しているうちに、デザイナーベイビーたちは進化して、通常の人間とは違う種になってしまうのです(サルと人間のように、デザイナーベイビーと通常の人間との間で子供はできなくなるのです)。もちろん、住む場所も生活様式も全く違ったものになります。


タイムマシンができるかどうかは別として、人類が枝分かれして進化する可能性はあるような気がします。


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アメリカの高校時代、英語の授業でH.G.ウェルズの『透明人間』を読んだことがあります。内容はよく覚えていないのでまた読んでみようと思いました。