資金の流れの変化 | JTT海外展開のブログ

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JTTは鉄鋼製品や機械を輸出する商社です。また海外進出する企業を支援する事業も行っています。社長の相田和宏は25年以上にわたり、中国、ベトナム、韓国、インド、ミャンマー等の企業と人と関わってきました。その異文化交流のエピソードや苦労話や最新情報をお伝えします。

中国で短期金利が13%を超す状況が続いている。この現象は他の報道も同じくコメントしているが、中国人民銀行(中央銀行)が、市場から資金を引き上げているためである。


私のブログでも数年前に書いているが、これは中央銀行が「シャドーバンキング」を取り締まるために行っている。中国は正規の銀行経由の貸し出しよりも、数倍高利の融資を、融資平台等が行っている。


中央政府がついにこの分野に、メスを入れ始めたのだ。だがうまくコントロールしないと、実態経済に大きな問題をおこす。


日本もバブル崩壊期に、日銀の「平成の鬼平」こと故三重野総裁が、不動産バブル退治に乗り出し、資金の引き上げを図った。これにより日本は金融機関とノンバンク、住専の資金繰りが悪化して、経済が崩壊してしまった。住専はもとより、リース業最大手だった日本リースも倒産した。処方箋を誤ると経済を破壊するきっかけになるのが、金融引き締めである。米国もFRBがこのタイミングを計っている。


バルブ経済については、多くの専門家が分析しているが、一番の問題は不動産価格の暴騰である。一般の人が購入できない価格まで、高騰していまう異常事態が起こることだ。


この状態は、中国では数年前から起きている。また今年に入ってからも不動産価格が上昇していたので、中国中央政府が融資平台等を問題視したのであろう。


韓国と台湾の報道機関は既に報じているが、中国が当時の日銀のように資金引き上げを急激に行うと、中国経済は不良債権が山積みになり、民間企業の資金がショートして倒産が増加する。中国経済が崩壊すると、それに大幅に依存している韓国と台湾も破たんする。バブル崩壊の負の連鎖が中国と関係深い国に波及するのである。


中国は増値税等の営業税からの歳入がほとんどである。個人所得税は全体の3%でしかない。そのため企業活動を鈍ると、税収が大幅に減ることになる。海外に投資した資源等も失敗が多く、海外資産も大きく目減りしている。中国中央政府は、金融機関の不良債権を補てんする資金に問題はない。シャドーーバンキングの不良債権を含めてもである。


しかし、地方政府は税収が減ると、大きな死活問題になるので、外資系企業から様々な名目で税金を取りだすはずだ。やることはやくざと変わらない。いわゆるボッタクリが始まる。


ベトナムでは、数年前から警察が警備代を勝手に外資系企業から徴収している。中国がやらないとは言えない。電気水道等のインフラだけでなく、人頭税や道路使用税等も取られるかもしれない。


地方政府の幹部は、5年後の中央幹部交代入りを目指して激しく競争している。自分の管轄地域の税収が鈍ると出世に響く。死にもの狂いで行動してくるはずである。法治国家でなく人治の中国は地方幹部は何でもできる。地方の王様なのである。


韓国は既にゴルフ会員権の相場が暴落して、土日2万円もしたプレー代も半値以下に下がっている。中国だけでなく、世界で米国FRBの金融引き締めの時期に関心が集まり、ファンドが韓国、インド、ロシア、ベトナム、ブラジルから資金を引き揚げている。


08年のリーマンショックの影響で、世界にあふれる資金は、リーマン前の10倍近くになっている。この水ぶくれの状態から徐々にダイエットをして、もとのスリムな金融市場に戻すことは必要なことである。だがその反作用で、新興国の1-2ヵ国はIMF管理になるかもしれない。何も起きない訳がない。


新興国の国債が組み込まれている投資信託を購入した人は要注意である。