日本の銀行も危ない | JTT海外展開のブログ

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JTTは鉄鋼製品や機械を輸出する商社です。また海外進出する企業を支援する事業も行っています。社長の相田和宏は25年以上にわたり、中国、ベトナム、韓国、インド、ミャンマー等の企業と人と関わってきました。その異文化交流のエピソードや苦労話や最新情報をお伝えします。

2年前から続く欧州金融危機によって、体力の消耗戦が続く銀行業界。

さらにLIBOR不正操作の問題で、米国では次々に訴訟をおこされている。LIBOR不正操作はどこまで銀行の足を引っ張るのか現段階では分からない。

LOBOR申告銀行の中には、三菱東京UFJとみずほコーポレート銀行の2行が入っている。米国での訴訟では農林中金も入っていた。


現在、世界最強の銀行といわれるJPモルガン・チェース銀も、デリバティブ取引で40億ドル以上の損失を出し、米国で「ボルカー・ルール」による投資規制を推進しようという勢力の押されている。

全ての有力外銀は混乱を極めている。


日本のメガバンク3行は、特に海外で何もしていなかったことが幸いして、健全な財務体質を保ち、円高による日本企業のM&A活発化でさらに儲けている。

最近は外銀が資産売却に走っているので、その良い物件を格安で仕入れることもできている。まさに天佑である。


国内でも、メガバンクは金融円滑化法終了前に、将来性ある企業の債権もすらも、債権回収会社に売却している。法律を遵守して再生させることは、中小企業には必要なしという姿勢である。


現在は体力あるので、今年の9月までに、どんどん不良債権として償却しようとしている。このやり方には批判はあるが、見方を変えると、地方銀行と違い資金的余裕があるので、出来ることである。

老い先短い民主党政権には見切りをつけ、顔色を伺うことなく、非情に徹している。


この2年間で彼らは数万社の将来日本のためになる企業を殺している。また5年前の円安対策ディバティの商品の販売でも、中小企業2万社近くの会社をおかしくした。まさに中小零細企業殺人マシーンと化している。


「都銀11行」といわれた時代は、まだ数行で新興企業を支えることができたが、現在は3行しかないので、企業創業を助けようという志はない。これは政府の役目と割り切っている。

メガバンクは融資先を育て、経営への助言するコンサル能力をなくし、単なる金貸しになってしまっている。メインバンクという意識もない。これを変えようと、銀行の企業への出資規制を緩和するが、体質が単なる金貸しになっているので、難しいと思う。

支店の7割近い社員が20代の若手では、経営者に助言などできない。


日本のメガバンクの問題は、その収益性にある。日本の上場企業の6割は実質無借金で、付き合い程度の借入である。

メガバンクは中小零細は、もともと見捨てているので問題外。従業員数300-1000人程度の中堅企業との融資で儲けを出している。


しかし、お客様からの預貯金の6割程度しか融資できていない。まあ欧米も、最近は7割程度であるため、極端に低いとはいえない。

経済成長が止まっているので、資金需要がない。日米欧はゼロ%の政策金利なので、ほとんど融資では儲からなくなっている。


そこでメガバンクは相変わらず、日本国債に膨大な投資をしている。薄いサヤでも国債は安全だからだ。

しかし、最近は外国政府や外銀が日本国債の保有率を大幅に増やしている。

ドイツのように財政が健全であれば問題ないが、日本は世界一の債権国であり、かつ債務国である。

国内金融機関や個人資金で、国債を消化しているうちは問題はないが、今回の欧州金融危機の件が劇的に日本国債の所有者を変えている。外国の投資家が20%強を占めていて、どんどん増えている。


もし日本が平成25年度予算編成で、23-24年度のように、予算の半分以上を国債でまかなうような、狂気の予算を作れば、来年は日本国債の格付けも2段階以上下げられる。

格付けを下げられれば、外銀に売りの攻勢をかけられてしまう。


IMF報告でも、この点を指摘されている。国債が売りに転じれば、各行数兆円を抱えるメガバンク3行は、破綻する。その場合、国有化するしかないが、東電の無理押しの国有化で、国民の不信を買っている政府では、実行は不可能である。日銀も国債で傷ついているので、助けることはできない。

ゆうちょ銀は国債保有が異常に高いので、銀行として存続すらできなくなるかもしれない。


好調な天佑も裏を返せば、実体はこのようなものである。メガバンクは自己努力で現在の地位を築いたものではない。7年以上も法人税を納付免除され、危ないものに手を出さずにいたら、気がついたら、周りがコケていたという感じだろう。


日本の銀行も実は極めて危ない存在なのである。