元党幹部の「世紀末気分」 | 戦車兵のブログ

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戦車兵のブログ 「元党幹部の「世紀末気分」

石平氏のコラムから。

中国共産党は経済の崩壊と共に一気に・・・。

以下産経ニュースより転載



 中国に周瑞金という共産党幹部出身の政治評論家がいる。人民日報の副編集長を務めた論客で、在任中からトウ小平改革の熱心な吹聴者として知られていた。

 周氏は最近、トウ小平の「南巡講話」20周年を記念する論文を自分のブログに掲載した。1992年春節(旧正月)期間中に行われた「南巡講話」が「天安門事件」後の閉塞(へいそく)した政治状況を打破して中国の経済発展に活力を入れた、と絶賛する内容だが、国内で注目を集めたのはむしろ、論文の後半部分に示した厳しい現状認識である。


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 論文はまず、「南巡講話」以来20年、市場経済の発展と釣り合うような政治改革の推進を怠った結果、今の中国は「共同裕福」を目指したトウ小平改革の理想とは正反対の社会状況となっていると指摘し、その嘆かわしい社会現状をこう描いているのである。

 曰(いわ)く、貧富の格差、官民の格差が広がる中で、階層の分化が固定化されて次世代へと受け継がれている。つまり官の二世がそのまま官となり、金持ちの二世がそのまま金持ちとなる一方、平民の子は相変わらず平民で貧困者の子が相変わらずの貧困者なのである。

 固定化が進む各階層の状況を見てみると、貧困層は深刻化するインフレの中で苦しみ、中産階級の人々は不動産価格の暴騰などによって生活を奪われつつあり、裕福層の人々はひたすら外国への移民を考えている。唯一、官と財界との結託から生まれた「特殊利益集団」が富の収奪の「ラストチャンス」に乗じてすべてを奪い取る狂気のゲームを楽しんでいる最中であるという。


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 そこで周氏は流行の「2012年地球破滅のマヤ文明予言」を引き合いに出して、「今、中国の民衆に充満しているのは、まさに『2012年気分』ともいうべき世紀末の気分である。草の根の民たちは社会的不公正を変えられない無力感の中で、この世の破滅と一緒に滅んでしまおうと『集団的焦燥感』に駆り立てられているのだ」と論じたのである。


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「共産主義の輝かしい未来」を標榜(ひょうぼう)して今の中国をつくったはずの共産党の元幹部がこの国の「世紀末」を語り始めたとは、まさに壮大なる歴史の皮肉である。「階層固定化」の中で底辺の人々が上昇するチャンスを失う一方「狂気」に陥っている一握りの「特殊利益集団」以外のすべての社会階層の人々が生活を圧迫され希望を失っている中国の現状は、やはり「世紀末」という言葉で表現すべき絶望的なものであろう。
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 あるいはそれは、当の共産党が「革命」を起こした前夜の、「旧中国」の混沌(こんとん)とした社会状況の再現であろうともいえる。

 いずれにしても、今の中国社会が深刻な危機に陥っていることは火を見るより明らかだ。こうなったことの原因について、前出の周氏論文が「改革の停滞」としているのに対し、トウ小平流の改革が行き過ぎたからこそ社会の危機が拡大していると主張する声も国内で広がっている。


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 現代中国を大きく変貌させたトウ小平の改革が始まってから三十数年、中国の政治と社会はふたたび方向性を失って混迷を深めている。ちょうど周氏論文が掲載された今月、南京や廈門や済南などの大都会でバブルの崩壊による不動産業者の夜逃げ事件が相次ぐ一方、「黒社会撲滅」の英雄だった重慶市の前公安局長・副市長が米国領事館に逃げ込んで亡命を求めるショッキングな事件も起きた。

 ますます「世紀末」の様相を強めているこの巨大国が「運命」の2012年をいかに乗り越えるのか、まさにこれからの「見どころ」なのである。


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プロフィル石平

 せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

(産経ニュース)



共産党の幹部も逃げたす権力闘争、中国の崩壊の足音が聞こえてきそうだ。