値下げしての原点回帰 | 緑家のリースリング日記 ~Probieren geht über Studieren~

値下げしての原点回帰

今日は午前中に霙が降ったかと思えば、夕暮れ時分からはグッと冷え込んで
まぁ寒いのは天気のせいばかりじゃないけれども、まったく身も心も凍えんばかりである。

こんな日は(こんな日でなくとも)飲むに限る訳で、ちょっとした用事が済んだらササッと書斎に向かい
積んであるダンボール箱の中から目的のボトルを1本抜き出して来てコルクを抜く。
2013年産のマキシミン・グリュンホイザー・ピノブラン。今日は朝からコイツを開けることに決めていたのだ。


それにしてもこの新しいエティケットの黄色い縦縞模様の背景図柄。
何だか映画「ロッキー」に出て来るチャンピオン(アポロだったっけ?)のトランクスを思い出させるような安っぽさ。
んー、もうちょっとどうにかならなかったのかしらん?
ちなみに真ん中に描かれているのは1870年頃の醸造所で、当時のオーナーがフランスの作曲家を招いた際に
その滞在の御礼にと作曲して貰ったワルツのカバーにこの図柄が飾られていたという由緒ある物なのだそうな。
(現オーナー、シューベルトさんの曾曾祖父が醸造所を買い取ったのはこの後の1882年のこと)

それはさて置き、肝心の中身はどうだろう。色は緑がかった明るいレモンイエロー。
注ぐと泡の様な細かい気泡が液縁を中心にシュワッと立ち、グラス壁にはそれより若干大粒の気泡が付着する。
トップノーズは蜜蝋。やや閉じているがスワーリングすると青リンゴや洋梨、青いバナナの香りが顔を覗かせる。
口当たりはフワッと柔らかな果実味。酸に不足は感じないが、バランス的にはもちろん果実味が若干優勢。
ミネラル感には乏しい。マッタリとほろ甘苦い果実味の余韻に、非リースリング性を感じる。
シンプルながらフルーティーで親しみ易い味わい。

翌日は仄かにナッティーなニュアンスも感じられて、味わいはまろやかさの度を増してかなりイケている。
ほんわかと人懐っこいヴァイスブルグンダーって、変に新樽を効かせなくても充分美味いし
食事にも寄り添ってくれるワインだと改めて実感。ここの2013年産では一番感心したワインかもしれない。85/100


初めてリリースされた2008年産以来、200920102011と自家産オークで造った新樽をウリにしていたのだが
あまり評判が良くなかったのか、或いはちょっと割高なため売れなかったのだろうか。(2011年産は13.80€)
何故か2012年産は未だにリリースされずに、いきなり2013年産のコレが「ヴァイスブルグンダー」ではなく
「ピノ・ブラン」というネーミングで、しかも3割近くも安い価格設定で出て来たのには驚いた。

まぁ事情はともかく、モーゼルによくある「酸が苦手な顧客向けの品種」という位置付けでありながら
スッキリとフルーティーで澄んだ味わいは決して悪くない。この品種にしては意外に酸があるのも驚きで
むしろそういう凡百のモーゼル産ヴァイスブルグンダーとしては、完成度が高くコスパも悪くないと思う。
グリュンハウスのヴァイスブルグンダー、最初からこの路線でも良かったのではないか。新樽使うと高くなるし。

それにしても2012年産のヴァイスブルグンダーはどうなっているんだろう?
バリックで1年半くらい寝かせているのだと思うが、また意表を衝く形で新アイテムとして出して来るに違いない。
ガッツリ樽を効かせたヤツか、或いは他の品種とブレンドでもして来るか、ひょっとして泡でも造って来るのか?
それはそれで結構楽しみではある。

2013 Maximin Gruenhaeuser Pinot Blanc Qualitaetswein
Schlosskellerei C. von Schubert (Mertesdorf/Ruwer)

A P Nr 3 536 014 10 14,Alc 11.5%vol,9.90€