リースリングとジルヴァーナ | 緑家のリースリング日記 ~Probieren geht über Studieren~

リースリングとジルヴァーナ

朝、いつもの散歩コースを歩いていると、池のほとりの歩道に小さな亀が転がっているのに出くわした。

仰向けにひっくり返って甲羅に閉じ籠っている、500円硬貨よりも小さなゼニガメ。

およそ野生からはかけ離れた、まるで自然界から落伍してしまったようなその様を見ていると

そのまま池に放してやってもまた同じような形で、今度こそ歩行者に踏み潰されてしまいそうな気がして

家に連れて帰ることにした。子供の頃よく小亀を飼っていたので、こういうのに滅法弱いのである...。


新・緑家のリースリング日記


さて甲羅の形という訳ではないが、今夜はフランケンの新着ボックスボイテル瓶を2本並べて開けてみた。

ホルスト・ザウアー醸造所 の2011年産フュルステンベルクのジルヴァーナーと、ルンプのリースリング。

いずれもカビネットのトロッケンである。スクリューキャップを捻ってまずはブラインドで。


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色はともに緑がかったライムイエロー。注ぐとグラスにシュワシュワっと気泡が付着する。


まず一方はフレッシュな青リンゴの香り。加えて洋梨に青バナナなど、青い果実がいっぱい。

片やもう一方は、リンゴの香りを主体に田舎臭いニュアンス。燻製っぽく、土臭い、若干酵母?な香りも。

飲んでみると、前者はスマートな果実味で、酒躯も細く都会的な洗練されたイメージ。

酸はマイルドながら柑橘の皮的な苦味、もしくはミネラル味。

これに対して後者は、マッタリとした青い果実味。酸はこれまたマイルドでアフターに僅かな苦味を感じる。


先に飲んだのがリースリングで、後のがジルヴァーナーだろう。と、エチケットを確認してみると...

ガーン!逆であった。リースリングとジルヴァーナーの区別も出来ないとは、我ながら呆れて物も言えない。


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さて、改めてフュルステンベルクのジルヴァーナーを吟味してみる。

シンプルな味筋だが透明感があって、ジルヴァーナーっぽいアフターの嫌味は全く感じられない。

なるほど、標高の高い畑の軽めの土壌感が良く伝わって来る味筋である。

翌日も相変わらず青い果実の澄んだ香味が素晴らしい。

酸は一貫して穏やかで、果実味主体のマッタリとしたやや平面的な味。確かにジルヴァーナーである。


そして改めてルンプのリースリングを。野趣溢れる、青い果実の香味がしっかりと存在する。

開けてすぐはそうでもなかったが、果実味の中に桃的な要素があって、徐々にアプリコットや黄桃が香る。

相対的に緩い果実味主体の味筋で、青から黄色へと果実の香味が移り変わる。一貫して軽い燻製香。

果実の旨味に溢れており、相対的にルンプ畑の方が粘土質の多い果実味の乗る土壌らしいのが窺える。

翌々日になってようやく、穏やかな中にも酸に少しそれらしい伸びを感じる。


...とまぁ、後からなら何とでも並べ立てられる訳なのだが。

それにしてもこうやって比較しながら飲んでみると、確かにルンプの方に畑の優位性は感じるものの

2011年という酸のマイルドなヴィンテージの故か、品種の個性は意外なほど際立たない。

間違えたのをヴィンテージのせいにするなんて、所詮このレベルの飲み手に過ぎないのであった。(;^ω^A


2011 Escherndorfer Fuerstenberg Silvaner Kabinett trocken

Weingut Horst Sauer (Escherndorf/Franken)

A P Nr 4397-002-12,Alc 12%vol,7.70€,84/100


2011 Escherndorfer Lump Riesling Kabinett trocken

Weingut Horst Sauer (Escherndorf/Franken)

A P Nr 4397-019-12,Alc 12.5%vol,9.30€,85/100