これぞ出色のフランケン
急に気温が上がって今夜は蒸し暑いぐらいである。
相も変わらず極端過ぎて昨今の季節変化にはついて行けないが、リースリングを飲むには絶好の季節である。
もちろんそんな事にはお構いなしに1年中飲んでいるので、季節感などこれっぽっちも無い身なのだが
やはり寒い日に暖かくした部屋で冷やしたリースリングを飲むよりはずっと自然だろう。
キリッと冷えたシャープな酸に、爽やかな果実味とミネラル。リースリングの魅力の一端はここにある。
一方、フランケンワインのイメージはこれとは対極に位置するのではなかろうか。
男性的なゴツゴツとした骨格の力強いフルボディな辛口、充分愉しむにはそれ相応の体力を要する、そんな感じ。
だがちょくちょくフランケンワインを飲むようになってから、この紋切り型の固定観念はかなり変化しつつある。
中でもホルスト・ザウアー のジルヴァーナやリースリングには、力強さの中にある種のエレガントさが同居する。
田舎臭い親父さんと美人の娘さんが 親子でワイン造りに携わっている、まるでそんな絵を見るかのようにである。
スクリューキャップ。色は緑がかったレモンイエロー。
香りはアプリコット、洋梨、青いバナナ、それに若干藁っぽく、燻製系のニュアンスもあり。
アタックの充実した果実味は瑞々しく、密度の濃い上質の酸は、口当たりは果実味の抜群の下支えであり
中盤から口内でそのパワーを爆発させ、アフターにスッと上品な爽やかさを演出する。仄かに甘い果実の余韻。
ミネラルは完全に酸と一体化しているのかそれのみを識別するのは難しい。
フルーティーで酸も引き締まり、それなりにちゃんとした鉱物の骨格もある、まったく見事なプロポーションである。
グラス2杯目からは濃さが目立ち、溢れるほどの果実味。
2日目はトップに高貴な白い花の香りの後、マンゴーの香り。初日よりも若干果実味が前に出ているが
夏蜜柑や桃の味わいが素晴らしい。初日と全然違うフルーツの香味が愉しめるとはなんて贅沢なんだろう。
キリッとした酸とマンゴーやココナッツ風味の見事なコンビネーション。いや素晴らしいシュペートレーゼである。
90/100
2009 Escherndorfer Lump Riesling Spaetlese trocken
Weingut Horst Sauer (Escherndorf/Franken)
A P Nr 4397-044-10,Alc 13%vol,18.80€