看過出来ない齟齬
まだ7月なのに連日の猛暑日、まるでお盆頃の暑さ厳しさである。これがあと1ヶ月も続けば酷い夏バテは必至。
毎日大量の汗をかいて電解質の喪失も少なくないだろうから、このへんでちょっくら補給でもしておくとするか。
かと言ってあんまり重々しいのも受け止め兼ねるので、フレッシュなクリストマン でも開けてみることにする。
お気に入り醸造所の2009年産の出来を占う1本は、グーツリースリングの辛口。
淡黄色。香りは熟したリンゴやアプリコット、洋梨、そしてどことなく埃っぽいような木質の香りがする。
かなり残糖は抑えられているのか、果実味豊かながらもサッパリとした飲み口である。酸はさほど伸びないが
凝縮感と力感は充分。桃と土臭さ、燻製っぽさを感じさせる味わい。このへんが天然酵母による醸造の所以か。
ミネラル味は肌理が細かく砥石を思わせるようなイメージ。濃さは充分だが、やけに単調で飲み飽きしなくもない。
ただこのクラスにしては濃厚過ぎるので合わせる食事を選ぶ。翌日はちょっと硬い味わいに終始。83/100
1996年産で初めてこの造り手に出会い、1999年産でその力強いリースリングの魅力に開眼し、2002年産で
その魅力の虜となった。以降はカテゴリーの上下を問わず、開ける度にその期待を決して裏切る事のなかった
クリストマン醸造所のリースリングではあるが、期待と現実の乖離を感じるようになったのはいつ頃からだろうか。
確かに開ける時期にもよるのだろうが、2006年産ぐらいからだろうか。個人的にはどうもパッとしない気がする。
それがビオディナミをより前面に出すようになってからの事なのか、あるいは若旦那のシュテフェン氏がVDPの
会長になった事と何らかの関係があるのかは分からない。ただどうもこの数年、諸手を挙げて称賛出来ない
愛好家がここに居る事は紛れもない事実である。個人の嗜好なんてものは流動的なのは百も承知しているが
ワインの質もまた流動的なのかもしれないなと、当たり前のことを今更ながらに実感するのである。
2009 Riesling Qualitaetswein trocken
Weingut A. Christmann (Gimmeldingen/Pfalz)
A P Nr 5 173 021 002 10,Alc 12%vol,11.30€