ランゲンモルゲンとはこれ如何に | 緑家のリースリング日記 ~Probieren geht über Studieren~

ランゲンモルゲンとはこれ如何に

昨年、プファルツ・ワイン街道のヴァッヘンハイム(Wachenheim)にあるビュルクリン・ヴォルフ醸造所 を訪問した際、試飲して プルミエ・クリュ格(PC)の3種類のリースリングを買った。恥ずかしながらグラン・クリュ格はちょっと高過ぎて手が出なかったのだ。

試飲した印象ではまだ飲むには少々早いように感じたので放ったらかしにしていたのだが、pfaelzerweinさんの記事 を見ているうちに飲んでみたくなり、持ち帰って1年が過ぎたこの日開けてみた。


休日の夕暮れ時、チビチビ晩酌しているとつくづく想う。最近本当に時間の経つのが早い。変化に乏しい日々を過ごしているから余計にそう感じるのだろうが、決して時間は若い頃のような速さでは流れていない。それに引き換えこのリースリングはなんと悠長な名前なんだろう。畑名はランゲンモルゲン。簡単に字面だけを追えば、長い(ランゲ)明日(モルゲン)である。実際はモルゲン(Morgen)というのは土地面積の単位でもあり、約30アールほどの広さを意味するという。つまり「長い地所」とでもいう意味の畑名であり、なるほど地図 を見るとその通りに長細く、広さ約7ヘクタールの畑である。このビュルクリン・ヴォルフ醸造所はそのうちの0.7ヘクタールを所有しているということだ。モルゲン、つまり1日の前半(午前)に仕事出来る程度の面積を意味するとか何とか、そんな意味だと誰かに聞いたような気がするが記憶は定かではない。

それはともかくとして、雑事にかまけていたずらに齢を重ねている身にとっては、モルゲン(明日)は決して長くない。「時は人を待たず」、「時は金なり」である。ただよく考えてみると、酔うと時の流れはもっと早くなる。結局これがそもそもの原因だろうか?


淡黄緑色。トップのフローラルな香りの後、アプリコットやパイナップルなどの黄色いフルーツ、そしてスワーリングする度に鉱物的な香りが立ち上る。口に含んだ第一印象は酸が非常にマイルドで、果実味に包まれた非常に肌理の細かいミネラルの味わい。その硬さの中に豊かな桃のフレーヴァーが広がる。そしてミネラリッシュな余韻。それにしても酸の存在感が薄い。弱いのか、引っ込んでいるのか。それでも全体に重い感じがしないのは、やはり根底にしっかりとした酸が存在するせいなのだろう。おまけに何とも言えない滋味と言うか奥ゆかしさを感じさせる。そのあたりが酸が弱くても不思議と不満を覚えない所以なのだろう。造り手情報によれば、残糖3.9g/l、総酸6.2g/l。個性的なブーケは菩提樹やライラック、桃の皮、ライムなどを感じさせるという。残念ながら桃以外は感じ取れなかったが。

翌日になると酸が少し顔を覗かせる。相変わらずミネラリッシュだがそう悪くない。もう少し寝かせても楽しめそうだ。86/100


2006 Deidesheimer Langenmorgen Riesling Qualitaetswein trocken - PC -

Weingut Dr. Buerklin-Wolf (Wachenheim/Pfalz)

A P Nr 5 142 043 18 07,Alc 13%vol,Euro15.8