絶歌(酒鬼薔薇聖斗の本)の出版に関して            | 上祐史浩

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       絶歌(元少年A・酒鬼薔薇聖斗)の出版に関して
 


 酒鬼薔薇聖斗の本「絶歌」の出版が、批判を受けているようだ。扱わない書店も出てきたと言う。
 
 お金の問題だけではないのだろうが、気になるのが、この印税収入が被害者の賠償に当てられるかどうか。
 
 10万部印刷との情報もあるが、仮にそうならば一刷1500円だから印税は1500万円。被害者賠償に当てるという話もあるが、今のところ、使途は不透明なようだ。
 
 自分のオウム時代の反省総括本である「オウム事件17年目の告白」は、出版社(扶桑社)と話し合って、出版契約書の中に、全額賠償に充てると明記した。そして、実際に全額をそうした。

 さらに、出版社も売上から被害者賠償を出すことも検討するという話があった(実行されたかは分からないが)。

 そのために、出版を報道・応援するテレビ局・メディアも少なからずあったほどだ。また、出版前に、オウム事件の被害者団体にも問い合わせたが、出版自体に反対はなかった。
 
 「絶歌」に関しては、世間の反発で売れ行きは伸び悩むかもしれない。しかし、売れなくても、既に印刷した分は、著者に印税が入るのが通常だ。しかし、今のままだと、その中で、どのくらい賠償に充てられるのかがよくわからない。
 
 また、出版社には、著者以上の利益が入る。今年は、誰かの本もあったが、事件出版の流行だろうか。最初から商業主義が強いことは感じていたが。

 そろそろ考え直してみるべき時期かもしれない。このままだと、こうした出版はしにくくなるかもしれない。
 
 今後、出版社(大田出版)が、収益の一定部分を賠償にまわすことや、本人の印税の相当部分(理想は全額だが)賠償に充てることを出版契約書に追加して、それを社会に確約できな いのだろうか。
 
 自分も、過去の反省と共に、こうした精神病理的な犯罪の心理・原因の研究はしたいので、読みたくない本ではない。とはいえ、実際に読むとしたら、たぶん借りて読む だろうが。