第3のコミュニティの必要性と課題 家庭と仕事場に加えて | 上祐史浩

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        第3のコミュニティの必要性と課題 
                家庭と仕事場に加えて   
 

 日本人のアイデンティティは、仕事と家庭であり、失業して離婚した人は、そうでない人と比較し、20倍も自殺率が高いそうです。相談相手がいなくなり、孤立化するとも。
 
 昭和の時代に、親戚がまじかに住む田舎の地域社会が、大都市への人口集中・核家族化で崩壊しました。平成になると、年功序列・終身雇用制による会社家族が、市場原理主義・非正規雇用等で崩壊しました。
 
 さらに、家庭も晩婚化・少子化・離婚(夫婦不和による家庭内別居も)で、核家族どころでさえなくなっているかもしれません。こうして、孤立の問題はひたすら激化しているかも。
 
 こうしてみると、会社と地域社会、仕事場と家庭以外の、第3のコミュニティは益々求められる時代かもしれません。
 
 とはいえ、仕事や家庭とは関係なく、趣味・関心を共有する人たちの緩やかなつながりや、ネットを通した繋がりなどは、十分とは言いがたいように思います。
 
 
 欧米で、日本よりも自殺が少ないのは、宗教がそれを厳しく禁じているからという見解があります。そして、それは、同時に第3のコミュニティを形成しているかもしれません。いわゆる、キリスト教共同体・イスラム共同体です。
 
 一方、日本の伝統宗教は形骸化していると言われています。その中で、新興宗教の教団には、コミュニティの意味があるのかもしれません。
 
 しかし、その宗教には、オウム真理教に限らず、その信仰を共有する人とそうでない人の間の壁、教団と外部社会の壁を作ってしまう問題があります。
 
 この問題をどう十分に乗り越えるか。コミュニティができる一方で、外部とのギャップ・摩擦も生じるという問題です。こうして、今後は、コミュニティ不足の問題と、宗教の問題の双方を超える必要があると思います。
 
 
 最後に、こうした中で、宗教ではなく、思想哲学の学習教室として展開する私たちのひかりの輪としても、今後、この問題はいっそう意識していくことになりそうです。