2012年変革説・フォトンベルト・アセンションの嘘と本当 | 上祐史浩

上祐史浩

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 ご存じの方が多いかと思いますが、スピリチュアルの世界では、
 2012年が大変革(ないし大破局)の年である説が出回っています。

 今回は、その中の嘘と本当のそれぞれを取り上げてみたいと思います。

 まず、2012年に、世界がフォトンベルトに突入して、大変革が起こるという説。
 よくフォトンベルト・アセンションなどと呼ばれます。多くの人が裁かれる中で、
 一部の人が高次元に到達するという説もあるようです。

 このフォトンベルト説は、フォトン=光子であり、フォトンベルトとは光子の帯
 という意味ですが、よく言われるのが、地球が、26000年周期で、何かの
 周りを回転し、定期的に、このフォトンベルトの中に入るというものです。

 何の周りかというと、一つの説では、銀河の周りです。しかし、銀河系は、
 直径10万光年もあり、そのため、光速で回っても数十万年かかります。
 そして、現在の天文学の知識では、太陽系が銀河を一度回るには、
 26000年はおろか、2億5000万年かかることになっています。
 よって、銀河の回りの26000年に周回するという説は、科学的には、
 あり得ない話しと言うことになります。

 私も最初のこの銀河を回る中でフォロンベルトに入るという話を聞いたとき、
 銀河系の大きさをどう考えているのだろうと不思議に思ったことを憶え
 ています。ウキペディアでも、私が考えたのと同じように、この説は、
 非科学的だと結論されています。

 もう一つの説は、太陽が、銀河を回るだけでなく、何か別の恒星の周りを
 26000年の周期で回りながら、その恒星と共に銀河の周りを回っている
 という説です。

 確かに、地球も太陽の周りを回りながら太陽と共に銀河の周りを回っているので、
 理論的には成り立つのですが、そのためには、太陽がその周りを回る恒星には、
 非常に大きな重力がなければならず、現在の天文学の観測では、そのような
 恒星は、太陽の近くには見当たりません。

 太陽から一番近いのはケンタウルスα星などとされますが、地球から4光年
 位の距離で、太陽とだいたい同じくらいの大きさのもので、太陽が地球を
 従える如く、太陽を従える巨大天体ではありません。

 よって、この道の恒星Xの周りを太陽系が26000年周期で回るという説も
 あり得ないと言うことになります。

 また、日本の巷のスピリチュアル世界では余り良く知られていないと思いますが、
 インドの方では、26000年ではなく、24000年という周期説があるのですが、
 それは、太陽と未知の恒星が対となって、いわゆる連星のように互いの周りを
 回り合っていて、その周期が24000年というものです。

 しかし、これも残念ながら、太陽が、このような連星を構成しているという天文学的な
 観測結果は全く存在せず、近くの恒星は、先ほどケンタウルスの際にお話しした
 通りです(余談として、ケンタウルスの中には連星がありますが)。

 こうしてみると、26000年の周期として、光子のベルトの中に入るというフォトンベルト
 説を前提としたアセンションというの考えは、科学的には成立しないものだと
 考えざるを得ません。

 私は、これによって、全てのフォトンベルトやアセンションの見解を否定するつもりは
 ありません。ただし、地球が何かの周りを26000年前後の周期で回っていて、
 その回転軌道(公転軌道)に光子のベルトがあって、それに地球が突入する寸前
 であるという説は、夢はあっても、科学的に見て非常に分が悪い感じがします。
 
 しかし、この26000年という周期、全く科学的に地球と縁もゆかりもないのかというと、
 それは全く違います。地球の歳差運動と呼ばれる周期が、約25800年と、26000年
 に近いのです。よって、フォトンベルトも、何かそれに影響されてできた話なのかなと
 も思います。

 この地球の歳差運動とその周期が26000年前後であるということは、全く科学で
 認められた事実であり、この周期は、地球の自然・文明に対しても大いに影響が
 あって、特に周期的に訪れるとされる氷河期の周期を形成する要因の一つである
 (専門用語ではミランコビッチサイクルなどと言われる)とされています。

 では、地球の歳差運動とは何かというと、それは、地球が自転する中で、
 その自転の軸が、常に一定の方向を向いているのではなく、
 コマ振り運動しており、そのコマ振り運動の周期が、
 26000年であるというものです。

 これはわかりにくい運動ですが、地球の地軸の傾きが変わるのではなく、
 地軸の傾きは、皆さんがご存じの23度強前後に常に保たれながら、、
 その地軸の向いている方角が、約26000年を一周期として、
 大きく移り変わる、という長期的な周期的な運動をしている
 ということです。

 その結果、今現在、地軸の向いている方向に、天の北極と南極があって、
 北極には北極星があるのですが、時と共に、天の北極は移り変わり、
 今現在の北極星は、未来には北極星ではなくなってしまって、
 別の星が天の北極により近くなります(北極星になる)。

 そして、これは何を意味するかというと、例えば、春分の日や秋分の日に、
 太陽が昇る方向にある星・星座を見ると、それが一定で不変なのではなく、、
 26000年を一周期として、少しずつ移り変わっていくということになります。
 現在は、春分日に太陽が昇る方向にある=春分点の方向の星座は、
 魚座です。そして、これが、まもなく水瓶座になります。

 そして、精神世界・ニューエイジで盛んに言われる理想の黄金時代である
 水瓶座の到来というのは、この歳差運動による春分点の移動を背景とした
 思想です。

 とはいえ、なぜ、春分点の方向になる星座が、人類文明に影響を与え、
 その星座の名前を取った程の時代・時期と考えられるのかについては、
 当然の如く、科学的な根拠はありません。それについては、次回以降
 お話ししたいと思います。

 とりあえず、2012年大変革説、フォトンベルト・アセンションなどの嘘・本当の
 第1回はこの辺で筆を置きたいと思います。次回は、マヤ暦に基づく2012年
 の世界終焉説や、水瓶座の時代について考えてみたいと思います。