安倍氏の総裁選勝利が国内ニュースではトップですが、国際的な関心事と言えば総裁選と同日起こったタイでの軍事クーデター です。

タクシン首相への政治的不信に端を発したクーデターですが、タイ国民の尊敬を集めるプミポン国王 のお墨付き(?)もあるようで、国民生活一般にそう大きな動揺はない模様です。

民主的ではない政権転覆に対して、諸外国は多少不安の目を向けているようですが、こればかりは今後どのように事態が動いていくかある程度静観する他はなさそうです。

今回の動きにしても、TVの報道を見る限りではタイ国民もクーデターに好意的であるようですし、軍も長期にわたり軍政を敷く気はないと明言しています。

変に介入して内政干渉といわれるのも困りますしね。


 しかし、こんな時いつも判断に困ると言うか、考えてしまうことがあります。

民主国家において国民の支持があって軍事クーデターが起こった場合、「民主的」という事になるか否か、ということです。

民主主義の根本は「国民主権」に行きつきますが、主権者である国民がクーデターによる政権交代劇を支持することは概念上は非常に「民主的」ではあるものの、手続き上は「非民主的」な行為です。

「非民主的」な行為で権力を得た国民の支持を受けた(=「民主的」な政権)政府に統治された国家は民主主義国家といえるのでしょうか。

おそらく結論から言うとNoになります。

それが認められてしまうと、極端な話、かなり露骨な反対勢力弾圧を行ったとはいえ、それなりに国民の支持を得て政権を握ったヒトラー統治下の第3帝国も独裁国家ではなく民主国家になってしまいますからね。

注:ヒトラーの首相就任は、多分に政治的取引の要素が強かったが、正式に議会から大統領に要請されたものである。

  大統領への就任も、ヒンデンブルク大統領の死を受けた国民投票による結果である。


 それでも理屈としては、民意を反映している以上は「民主的な政権」になってしまいます。

「議会制民主主義」の枠からは当然はみ出しますけれどね。

なんだか自分で書いててワケが分からなくなってきました(笑)が、要は国民からNoを突きつけられたタクシン首相と、国民と国王の支持がある今回のクーデター政権、国際社会は一体どちらを正統なタイ政府と認めるのかということなんですよ。


 上記のような流れで考えると、名目と実質の一体どちらを正統とするのか各国の反応が非常に楽しみだったりしませんか?