医学部図書館罰金制度とは…。
本をなくしたら代金か現物で弁償。
そこはふつうだと思うのだが、
罰金は学生たちの恐怖のマトであった。
1冊につき、
1日返却が遅れると、
10円が課金されていくのだ。
10円くらいたいしたことないじゃん、
と思うところだが…
たくさんの本を、長期間返さないほど料金がかさんでいく。
レンタルビデオ店みたいなものですわ。
先輩研修医はうっかり借りた本を複数
ロッカーに長期間放置し、
6000円ほどの罰金を徴収されていた。
過去には、
2万円ほど徴収された迷惑なツワモノもいたという
ウワサ。
どれだけの本を、どんだけ借りたのだいっ!
借りた本は、きっちり返却日に返すのがあたりまえ。
それは利用者がしっかりしておくべきマナー。
しかし…私もやってしまったのである。
大学の夏休みは、長い。
ヘタすると二ヶ月くらいあった。
バカンスだと遊ぶのもよいが、私は家庭の特殊事情もあって、
夏休み中は自分の意志による外出が許されず、
ほぼ軟禁状態であった…。
カーナビにも山と川しか映らないようなすごい田舎家で、
町内には駅も書店もなく一番近い店は2km先、
バスは朝夜一日二本、民家もまばらな山奥だったので
運転免許のない私には外出自体が困難だった。
落ちこぼれないために私は夏休み中も勉強したい私には、
実家に帰り医学情報と隔離されるのは苦痛だった。
医学部図書館の本は、
通常ひとり2週間まで借りることが出来る。
延長申請をすれば、
2週間×2=1ヶ月は合法的に借りられる。
そこで、
休みで実家に連れ帰られる
(アパート前まで親が車で迎えに来る)前、
図書館で限度めいっぱい、勉強する予定の医学書を
たんまり借りていくのが常であった。
夏休み明け、休み中読んでいた本を返しに行った私。
さあ久しぶりの図書館だ!!新しい本を読むぞー!
ウキウキの私に、司書さんは…
カウンターでおごそかに告げたのである。
「遅延金、690円になります」
…えっ!! あの、でも、
電話して貸し出し延長するってお願いしましたけれど…
確かに図書館に電話はしたのだ、
だからこそ無料で返却できた本があるのに、
なぜか一部だけ延長処理が出来てなかったのだ…
釈然としないけれど、
これからもお世話になる図書館なので
スゴスゴと罰金を払った…
うぬ~、
690円もあったら大戸屋の定食が一食くえたのにぃ!
とビンボー学生の私は身悶えてしまうのだった。
それ以来、延長処理も抜け目なく行って、
罰金をさらに払ったことはない。
だが、あのときの強烈な衝撃ゆえか、
病院を辞めた後もいまだにロッカーに
返していない本が眠っていて、
罰金が数万円にふくれあがった悪夢
を見てうなされちゃうのだった…。
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