ドイツ、バーデン=ヴュルテンベルク州の北端に位置するマンハイムは
州都シュトゥットガルトに次ぐ州内第2の都市ですけれど、
地形的にはこのような感じです。
町の南側から北へと向けてライン川が流れ、
北側を通るネッカー川(ハイデルベルク、シュトゥットガルトに通ず)がこれに流れ込む。
合流点近くは開削された運河が河川港として機能しているのでありましょうか。
水路が物流の大動脈であるヨーロッパ内陸部にあっては
こうした地の利を得たマンハイムは商工業都市として発展してきたようでありますね。
人口は30万人程とは東京の感覚からすると中野区くらいで、さほど大都市とも思われませんが、
朝のマンハイム中央駅は周辺地域からの通勤客が集まってきてごった返しているようす。
周辺都市と合わさったライン=ネッカー広域連合(関東での首都圏的な広がりかと)では
人口240万人となって、その本部の置かれる中核都市マンハイムには続々と仕事で
集まってくるということなのでしょう。
ということになってくると、ヨーロッパの町といって思い浮かべる歴史的な町並みとは
いささか縁遠い感もあり、観光要素には乏しい…ともなるわけですけれど、
そんな中でもあれこれ見に行ってみようとマンハイム探訪に繰り出すことに。
歴史的にも交通の要衝たるマンハイムですので、
まずはとにかくライン河畔を見ておこうと中央駅の地下通路を賑やかでない方(南側)へ。
北側(旧市街側)がビジネス街の様相であるのに対して、
南側のリンデンホフというエリアは一転して静かな住宅街といった面持ちですな。
傍らにあった公園の木立を抜けて行きますと、
「おお、あったあった」とシュパイヤー
以来のライン川との邂逅となりました。
(といっても、シュパイヤーに行った翌日の話ですが…)
川沿いにベンチの設けられた小道は「Rheinpromenade」と呼ばれているようで、
ここのところだけを見ると気持ちよさそうに見えるのですが、実はそうでもないような。
ひとつには景観が今ひとつ味気ないといいますか。
対岸もまたルートヴィヒスハーフェンという工業都市であったりすることもありますかねえ。
それと川原に結構ゴミが散らかされてあるのが目に止まったりするもので。
そんなの、日本の川原でもいくらでもあるじゃんと言えばそれまでですが、
以前何かしらのTV番組で、ドイツ人は自分の家やその周りには
花を飾ったりして気を使うけれど、そうでないところはお構い無しと。
「内」と「外」の意識がはっきりしていると言えなくもないものの、
後にフライブルクでも「ひでえな…」という状況を目にしたりもしましたし、
思い起こせばコペンハーゲンの駅のホームに散乱する大量のゴミを思い出し、
たぶんドイツだけの話ではないのだなと思ったりしたのでありますよ。
ということで、ラインプロムナードもほどほどに木立を別方向に分け入って
「Zentrum Schloss」(中心街 宮殿)の方向へと向かうのでありました。
マンハイム最大の観光名所である選帝侯宮殿は、普通なら中央駅を北側に出て
駅前通りを左手にまっすぐ行けば到着するんですが、ライン河畔からですと
裏側からのアプローチということになります。
で、そこに待ち構えていたのが、断続的に現われるトンネルです。
大きな敷地を持つ宮殿の裏側に当たって、観光客始め人通りからは見えにくい位置だけに
鉄道やら道路やらの立体交差が全貌をつかみ切れないくらいに連なって作られている。
そうしたトンネルに落書きがあったりするのは万国共通なのですなあ、きっと。
朝の時間帯でしたのでちらほら散歩している老人などもいて、
フランクフルト中央駅の駅前地下通路で感じたような「危険」のサインは無かったですが、
同じマンハイムでも上の地図でインネンシュタット/ユングブッシュとある辺りは
「ちとやばい…」といった話がネットで見られたりしたので、
日本にいる意識ではいけんなとは思いましたですが。
と、そんなこんなのうちにかような建物が見えてきました。
宮殿の一部かと思うわけですが、次はそのプファルツ選帝侯宮殿のお話になります。