通りすがりに垣間見た飯舘村
では除染作業が進められつつも、
周囲の外観にはあまり大きな震災の傷跡を見るに至りませんでした。
が、浪江町の沿岸部、請戸(うけど)の漁港として知られた町のようすには言葉を失うといいますか。
津波でなぎ倒された橋の橋脚は倒れたままに残されて、
その周囲で重機が精を出しているのはフレコンバッグの詰め込み作業の方ですな。
近くにある請戸小学校には津波の通り過ぎた爪あとが残され、
倉庫の扉を見ただけでも「相当の衝撃でないと、こうは捻じ曲がらんだろう…」と。
震災後5年余が経つもこうした状態で置きざられているのは
浪江町は全町避難で人がいない、だから急ぐ必要もない…ということなのですかね。
辛うじて立っている家も一階部分はごっそり中抜けに流されてますから、
使い物にならならいのに壊すでなく打ち捨てたままのようです。
で、その手前に黄色い花が乱れ咲きとも言える状況にあるのですが、
ともすると「きれいなお花畑」にも見えてしまうところながら、
花は全てセイタカアワダチソウなのだとか。
内陸側を振り返れば、そこには民家が点在し、また農業が行われていた場所でもあろうに、
ここもまた一面にセイタカアワダチソウの大群落となっているという。
一度は潮に浸かった土地ですが、セイタカアワダチソウは塩気に強いとも聞きました。
また、種と地下茎とで繁殖力が強いばかりでなく、
他の植物の生育を邪魔する成分を分泌したりということの結果、
セイタカアワダチソウの大群落ができると。
東日本の沿岸部でこんな状況で放置されている土地がどれほどあるんでしょう。
いざ土地利用となっても、いざ駆除しようとするとやっかいなのがセイタカアワダチソウとか。
もっとも、それ以前に瓦礫の片付けも終わっていないのですけれど。
ちなみに請戸地区は福島第一原発から北へ5kmほどの場所。
セイタカアワダチソウの群落と瓦礫処分場ごしに南を眺めやれば、遠くに見える鉄塔。
これが福島第一原子力発電所の一部であるという。
これが無ければ…とは考えても詮無い話ですけれど、
こと震災からの復旧という点だけに絞ってみれば、原発が無かったなら
他の地域と同じようなペースで復旧への道を進めることができただろう、
少なくとも見渡す限りの黄色い草原が出現することはなかったろう…と思ってしまうのありました。