群馬音楽センター
から旧高崎城
三の丸の堀沿いに北へ向かい、やがて西へ折れて
もはや市街も外れかと思うあたりで出くわしたのがこの看板。
「旧中山道」とはあるもののガードレールも何もない狭い道でして、
所は高崎市常磐町の交差点でありますが、この後はしばし旧中山道の探訪ということで。
まずは交差点からすぐ近くに老舗の醤油屋さんがあるとのことでしたので、立ち寄ってみたのでありますよ。
暖簾には「岡醤油醸造株式会社」とありまして、
明治30年(1897年)開業当時の店舗そのままの姿であるという。
店の裏側に煉瓦煙突が見えているものの、
今現在はここで独自に醤油造りはしておらないようで、
天明七年(1787年)に上州大間々(現みどり市)で創業した本家である岡直三郎商店の
支店として、「日本一しょうゆ」ブランドの製品を扱っているのだとか。
せっかく立ち寄りましたので、人気ナンバー1の「にほんいち醤油《二段仕込》」と
ナンバー3の「とうがらし醤油」(パスタに打ってつけらしい)を購ってまいりました。
岡醤油の斜向かいにもまたレトロな感じで和洋折衷風の分厚い煉瓦塀が見えておりまして、
掲げられた高崎市のプレートによりますと「財団法人山田文庫」とある。
京大助教授で後に高崎倉庫の社長となった山田勝次郎という人が、
自邸を私設図書館として開放している(誰でも借りられる)のだそうですよ。
と、ここから旧中山道沿いにぶらりと駅方面へ歩いてみるわけですが、
(上のマップでいいますと、左上からしばし右へ、やがて直角に折れて下方向へ)
なんとはなし街道沿いだなと思しき家並みもちらほらありますね。
ほどなくして右手に恵徳寺、左手に長松寺という二つのお寺さんが見えてきます。
恵徳寺のことは「その名の由来編
」で触れましたのでここでは端折りまして、長松寺の方。
ですがいささか故あって(その理由のほども含めて)後ほど触れることにいたします。
さらに少々進みますとこれまで歩いてきた道とは違って、
真っ直ぐ広い、バスも通るという具合に旧中山道は大きく姿を変えました。
高崎市本町と言われる一帯ですけれど、そも井伊直政が高崎城を築城するにあたり、
移転を余儀なくされた人たちが移り住んだ地域であるそうな。
越後へ抜ける三国街道の分岐にもあたることから、往時は旅籠や大店が軒を連ね、
伊能忠敬
や小林一茶が宿泊した宿もあったのだそうでありますよ。
道が広くなった分、区画整理が行われたのか、古い建物は少なくなりましたですが、
昔ながらの佇まいにふいと出くわすことも。
明治15年頃に建てられた、元は漆器屋さんを営んでいたのだとか。
2階の観音開き窓が厳しさを強調してますけれど、もはや「ちいさいおうち」状態のような。
こちらは古さを残しつつも、新しさを盛ってしまってあるようす。
天保七年(1836年)創業以来、寝具ひと筋(?)180年というお店とのことですが、
今も商売を続けていくには、古い店のままとはなかなか行かない現実があるのでしょうね。
と、旧中山道はこの店の角で南に直角に折れて駅の方へと近付いていきますけれど、
しばし進むも最早あまり名残りの感じられるものもないかと思ったところで、
(というのも、古い建物があればそれらしいと想像する旅人の勝手な思いですが)
喫茶店を探してコーヒーブレイク。
実はこのまま駅方向に戻ってはいけないのでして。
何となれば、先ほど後で触れるといった長松寺まで戻らんといけんものですから。
ま、その理由は後ほどじっくり。