先に「MMK1
」を訪ねたところで、
フランクフルト現代アートの深みにはまるのはこれから…てなことを言ったわりには
シルン美術館
でのダグ・エイトキン展は穏健な部類であったと思われるのではなかろうかと。
個人的にも油断を誘われた感がありまして、コンテンポラリーおかわり!とばかり、
続いてフランクフルト芸術協会(Frankfurter Kunstverein)の展覧会を覗きに行って
「うおお!」ということに立ち至ったのでありますよ。
開催中であったのはトーマス・フォイヤーシュタイン(Thomas Feuerstein)展でありまして、
Wikipedia(ドイツ語ページの翻訳)によりますと
「芸術と科学の間の絡み合いを追跡」しているアーティストということだそうで。
地上階入口を例のバッヂ
を通り抜ける際に、階上が展示室と言われたですが、
そもそも階段のところからして展示は始まっていたのですな。
一見して「何、これ?」と思った後が続きません。
黒い玉が粒々した塊の上には何かしらの実験器具と思しきガラス容器が乗せられ、
繋げられた管は他のパーツに導かれたかと思うや、そのパーツからも別の管が伸び、
あたり一面が管だらけになっている。
しかも、そこだけで完結するには至らずに管は階段をも這い登って
階上にあるこれまた怪しげな装置に繋がっているのですなあ。
別室に足を運んでみますと、
いにしえの化学工場かと思われる装置と管との絡みあいは一層大変なことになっており、
しかもここではバリウムに薄く抹茶を混ぜたかとも思われる微妙な色合いのどろどろした液体が
通っていることにも気付かされるという。
どうもこうしたぬめぬめ具合は「生理的に無理!」と言ってしまうまであと一歩のところかもです。
それだけに、同じくレトロな器具に管が渦巻いていても電気のコーナー?の方がまだ落ち着く。
以前見たLIXILギャラリーでの展示
や先日訪ねた東京理科大学近代科学資料館
で
古い実験器具の類いを見かけましたけれど、それに類するものも展示されていて、
このコーナーに来てようやっとあの階下にあった黒玉つぶつぶは
分子模型でもあったろうかと気が付いたのでありますよ。
コンテンポラリーアートの展示でも、さまざな作家のいろんな作品が並ぶような中では
「こりゃ、面白い!」と(作者の意図を理解してかどうかはともかくも)思うものが必ずあるですが、
さすがに個展状態でその作品傾向に「うむむ…」となったときは厳しいものがあるなと
改めて思ったですよ。「これも…アートか…」と(否定まではしませんけれど)。
「Museumsuferfest」でたくさんの博物館・美術館を廻ったですが、
最後の最後に(個人的な印象では)結構ディープなものに遭遇したなぁと思いつつ、
ホテルへ戻るのに地下鉄に乗り込もうとしたところ、やってきた車両が何ともレトロ。
同じレトロなら先ほどの展示よりもこちらのレトロ感の方が断然馴染むな…
てなことを思ったですが、乗り込んでみればなおのこと、
扉の感じもレトロなこの車両、冷房の設備が無いようで。
まあ、こちらの夏は日本とは違うだろうし…と
普段どおりのフランクフルトの夏であれば言えるのでしょうが、
この日の天気予報で最高気温は37度!
実際どれだけであったかは不明ながら、
夏のヨーロッパに来てこれほど暑い思いはついぞしたことがないくらいに暑かったのですよ。
地下鉄の車両自体、熱を持ってしまっていましたし。
で、ホテルでひと休みした後も
日が沈もうが暗くなろうが外の熱気はとれんなあというあたかも日本の熱帯夜にも似た中、「Museumsuferfest」博物館河岸祭の最後を飾るイベントに臨むべく
マイン河畔へと出かけていったのでありました。
去年は去年でアルスター湖祭り@ハンブルク
の終わりに花火を見ましたですが、
やっぱり祭りの最後を飾るのは花火なのですなあ。
前々日金曜の午後から日曜の夜までのおよそ3日、
フェストの期間ならではのフランクフルトを堪能したのでありました。


