東京・京橋のLIXILギャラリー国立近代美術館フィルムセンター を覗きに行く際に
わりとよくランチに立ち寄る店がありまして、宮崎地鶏を売りにしているようす。
ランチメニューにはずらり鶏肉料理が並んでおりますよ。


結構どこでもやっていることながら、ポイントカードの制度でもって
5回行くと6回目にはランチ無料てなことでしたので、恩恵に預かったきたという次第。

で、ランチメニューを眺めて「これまで一度も頼んでいないもの…」と浮上したのが、
「チキン南蛮」なのでありました。


考えてみれば「チキン南蛮」とはどんなものであるかは何となあく知っていたものの、
およそ食した記憶がないような。

そも「チキン南蛮」とは、「とり南蛮」つまりは「柏南蛮」というお蕎麦屋メニューとの
微妙なネーミングの違いはなんなのだ?と思ったり。
(料理そのものの違いは明らかですけれど)


チキン南蛮定食


出てきた料理のパッと見は、要するに鶏のから揚げにタルタルソースが掛かっている代物。
ですが、南蛮のいわれはどうやらタルタルソースにあるのでは無くして、
「南蛮酢」なるものが掛かっていることにあるとのこと。


この「ネギ・唐辛子の刻みを混ぜた甘酢」(wikipediaによる)を「南蛮酢」といい、
これを揚げ物(取り分けから揚げ)に掛けた(つけたもの)を「南蛮漬け」というそうな。
ですから、何も鶏のから揚げに限った話ではないようですな。


「南蛮漬け」とは30度くらい視線を上げて遠くを眺めやるようにして記憶を掘り起こしてみれば、
たぶん昔々の給食で供された「魚の揚げ物甘酢あんかけ」の類いなのだろうと思い至るわけです。


子供向けですから唐辛子の刻みは入ってなかったかもしれませんので、
それを南蛮漬けとは言えずに「甘酢あんかけ」と称していたのやもですが。


では、そのような甘酢を「何故に南蛮酢というのか?」ですけれど、これには諸説あるようながら、
「ネギが肝心」とするもの、「唐辛子が肝心」とするものなどがあり、前者がやや優勢かと。


ですが、前者の方で「南蛮人(スペイン、ポルトガルなどからの渡来人でしょうか)がネギを好んで
よく食べていたから」という理由が挙げられてきますと、「ほんとうぉ~?」と気にもなる。


それでも唐辛子説を採りにくいのは、お蕎麦屋さんメニューとの関連でありますね。
鴨南蛮、柏南蛮と南蛮漬けの接点は偏にネギにあるものと思われますし。


ここで「鴨とネギの相性は南蛮と関係ないのではないか」と疑問も湧いてはくるものの、
それを言ってしまうとそもそも「鴨南蛮」のネーミングに疑義が生じてしまう。


ちなみに「鴨南蛮」という言葉は夏目漱石 の「吾輩は猫である」に見られたりする一方、
「鴨が葱を背負ってくる」という表現は中里介山の「大菩薩峠」にあったりするそうで、
黙っていても鴨とネギは相性がいいものながら、

鴨南蛮はあくまで鴨南蛮として人口に膾炙していた…てなことでしょうかね。


ということで「なになに南蛮」とはとにもかくにもネギを使っていることが肝心なようですが、
それに類して「チキン南蛮」とどこかしらの洋食屋が考えたものなのだろうと思ってみれば、
これが出どころはどうやら宮崎県であるという。


1543年に種子島へ漂着したポルトガル人が鉄砲を伝えて以来、
南蛮人を通じてあれこれの品々(例えばかぼちゃとか)が入ってきたようではありますが、
ことこれらの料理に関しては「南蛮由来」てなことではなさそうでありますねえ。
と、どうでもいい話ではありました(笑)。


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