ラインガウ・ワインで有名なリューデスハイム に来て、
朝の9時過ぎという、お店も全く開いていない時間から何をするか…ですけれど、
ワインレストランが軒を連ねるドロッセル・ガッセを突き抜けてたどり着いた先はこういうところでして。


Seilbahn Rüdesheim乗り場


と、この建物の入口だけ見ても何のことやら?でありましょうから、
マークのところだけ拡大してみると、こんなふう。



「Seilbahn Rüdesheim」(ザイルバーン・リューデスハイム)と書かれています。
「ザイル」は登山用のロープなんかをそのまんまザイルと呼ぶように、言わば「綱」のことで、
「バーン」は(Autobahnが自動車専用道路、Eisenbahnが鉄道というように)「道、路」のこと。
英語にすれば直訳的に「ロープウェイ」ですかね。


リューデスハイムのゴンドラリフト


ただ日本で普通に使われている用語を当てはめるならばゴンドラリフトが近いのではないかと。
もっともそのゴンドラたるや、欧米の地域のお祭りで使われる仮設観覧車のそれのようですが、
ともかくこれに乗ってですね、ライン川を山(というか丘ですかね)の上から見下ろそうという、
そういう作戦なのでありますよ。


しかしまあ、ドイツ滞在中でこの時がいちばん寒かったとは言いましたけれど、
乗ってすぐに思ったことは「遭難してしまうかぁ?」というくらいの寒さ。
簡易な作りの二人乗りゴンドラには左右がフルオープンで、

風がびゅんびゅん吹き抜けていくのですから。


ワイドオープンな構造のゴンドラ


ですが、予め寒さ対策は考えてきておりますから

(逆に暑さ対策はほとんど考えておらず、後に困る…)、
手回しよく持参したものを重ね着してしのぐわけですね。


だんだんとライン川が見下ろせるように…


何度もいうようですが、重く垂れ込めた雲が風景にまで陰りを加えてしまっているのが残念ながら、
見晴らしはなかなかのものです。


斜面に広がるブドウ畑


手前側(南面)には一面のブドウ畑が広がる一方、ラインの向こう側(北面)は日照の関係でしょう、
いっかなブドウ畑は見られず家並みが広がっているという。
もちろん上っていく先を見上げても、やっぱりブドウ畑でありまして。


見上げてもブドウ畑


で、この見上げたところの真ん中に何やら像のようなものが立っておりましょう。
「Niederwalddenkmal」(ニーダーヴァルト記念碑)というものなのですけれど、
ゴンドラの終点はこの記念碑のちょっとばかり脇の木立の中でありました。


早速に記念碑と、そして記念碑のところからの眺めを見に行くわけですが、
この像がいやはや何ともでかいでかい。


Niederwalddenkmal


台座からてっぺんまで38m余りもあるそうなのですね。
ほぼビルの10階くらいにあたるようですよ。


余りに大きいので乗っかっている部分をクローズアップしますと、女性像であることが分かってくるのでして、
ドイツ帝国の擬人化である「ゲルマニア」の像なのだとか。


ゲルマニア像


何でも普仏戦争(1870~71)の勝利を記念して造られたとのことですけれど、
ドイツ帝国そのものでもあるゲルマニアの巨大さ、
そして高台からラインの向こう側(フランスがありますね)に向かって勝利宣言をしているようすは
軍事力を背景に台頭著しかったプロイセン王国を中心にドイツ帝国が成立した歴史に

思いを馳せてしまうところかと。


ニーダーヴァルト記念碑台座のレリーフ


後の1933年8月には、第一次大戦後に国際連盟管理下に置かれたザールラント(フランスに隣接)を
ドイツに復帰させるためのナチス の大集会がこの像の下で開催されたりもしたそうな。
良くも悪くも「強いドイツ」の象徴としての姿を見せつけているかのようですね。
今はただただなだらかな斜面をブドウ畑が埋め尽くす長閑な風景が広がるばかりなのですけれど。


記念碑前の展望台からライン川を望む


ということで、登ってきたら今度は降りるのが自然なところながら、
そのままゴンドラで下りたのでは面白くない。
では、ブドウ畑の間を縫って歩いて下ることにするか…。
ここから先の道行きに大きな「間違い」が生じたのですが、それはこの次のお話で。



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