毎度のことながら新宿でちいとばかし空き時間ができると立ち寄ってみるコニカミノルタプラザ
「月の神秘」展なるものが
開催中でありました。


「月の神秘」展@コニカミノルタプラザ


もっとも「月の神秘」展よりも広いスペースを使って、

「超・深海展2014」なるものも同時開催されており、
どうもそちらの方がメインのようなんですが、如何せんそっちまで見て回る時間がなく、
取り敢えずは「月の神秘」展のお話ということで。


実はこの間「宇宙×芸術」展@東京都現代美術館 を覗いた折、
「月の誕生」をCGで再現したものを見たのですね。


いくつか宇宙空間の事象の再現を見られるようになっていたのですが、
たまたま「月の誕生」を見たのも何かの縁ということになりましょうかね。
「月の神秘」展の展示の方にも、その成り立ちが解説されておりました。


昔から「月」の成り立ちとしては、
親子説、双子説、他人説といったもので説明されてきたようですね。


それぞれ簡単に言いますと(って、どれも人口に膾炙しているかもですが)、
地球が自転・公転するうちに(遠心力でしょうか)地球の一部が離れて
ぽっかり浮かぶ浮島のようになったというのが、地球を親、月を子に見立てた親子説。


そもそも地球ができるときに時を同じくして月も誕生したという双子説。
そして、地球の方へたまたま飛んできたら地球の重力に絡めとられてしまったということで、
出自の関係がないところから名付けられた他人説。


こうした説がありながら、決め手を欠いていたのはどれをとって考えても
ストンと落ちにくい(十分に説明できない)ところがあったからでありましょう。


でもって、近頃有力とされているのが、また違う説になりまして、
それをCGで再現していたというのが、東京都現代美術館でも見た説明になります。


古い地球に巨大な隕石(ともすると地球自体よりも大きいとか)が衝突し、
粉々散り散りになった部分部分が再びまとまって行く中で、地球も月もできたというもの。


まとまる過程で大きさや成分に違いができたこともあって、
地球と月は全く異なる環境となったそうな。


とまれ、そんなような成り立ちではあるようですけれど、
もし仮に(とまた詮無い仮定の話でなんですが)月が無かりせば、
地球はどうなってしまっていたか。


地球独自の成分によって、大気はできたかもしれない、海もできたかもしれないとなれば、
生命の誕生は目前ということになり、月がなくても今と何も変わらない…

とはいかないのですなぁ。


何が足りないって、潮の干満は月の引力で発生するわけですから、
月が無ければ当然に海は大きな湖のようになってしまいますですね。


実はこの潮の満ち引きというのが、生物の多様化には大きな役割を果たしているそうな。
海の中から陸地に打ち上げられることによって違う環境を得るとか、
あるいは海の側でも波によって沿岸部がかき回されることで海もまた豊かになりそうです。


と、このあたりはすでに「月の神秘」展からすっかり離れて
勝手に喋っているふうになってますので、展示に戻りますと(元々写真展スペースですから)
月を写し込んだ写真パネルが掛けられているのでして、
月を見てきれいだと思う心性は、先ほどの地球上の生物進化への関わりと根っこの深い所で
繋がっているのかもしれんなぁと思ったりしましたですよ。


だいたいからして、太陽は肉眼で見ることができないパワーが光に籠められていて、
圧倒的な存在としてこちらを見据えている感がありますけれど、
月の方は(太陽光の反射ですから、当然といえば当然かもですが)やさしい光であって、
それを眺めやる人も目を全く拒むところがない、人との親和性が感じられます。


だからこそ、人は月に馴染みを感じて
文学(特に詩歌)や絵画に数知れず登場機会を与えられてますですね。
まさに「月」は文化を培ってもきたようです。


で、これは展示を見るまで知らなかったんですが(とまた物識らずを白状すると)、
暦でひと月のお終いを「晦(つごもり)」と言い、始まりを「朔(ついたち)」と言う云われを
初めて知りましたですよ。


昔は太陰暦で暦は月の動きに連動していたからでしょうね、
「つごもり」は「つきこもり」で、月が籠ってしまう=いよいよ新月になることを示していて、
「ついたち」は「つきたち」、月が立ち出でる=新月からどんどん光の部分が増えてくることを
表しているようで。


あ、ついでにこれも受け売りですが、
「ブルー・ムーン(blue moon)」とは実際に月が青っぽく見える時があることでもありますが、
一般的には(って、欧米でのことですが)太陽暦でのひと月の間に2度満月になる、
そうしたことをブルー・ムーンと言って、「めったにないこと」の意であるとか。
やっぱり「月」は世界文化遺産でありますね。