かつて某大臣が「トキを焼き鳥にして食べるようなもの」と批判して、
外側の皮一枚を保存することになった東京中央郵便局の再開発は、
JPタワー(どうしてもJ.P.モルガン の息がかりのように思えてしまう…)が完成して

すでに2年程経ちますけれど、このほど初めて建物の中に足を踏み入れてみたのですね。


JPタワー KITTE


このあたりは昔の郵便局建物の一部になりましょうか、
低層階部分が「KITTE」というショッピング・ゾーンになっていて、
吹き抜けになってるあたり開放感があります。まあ、今さら珍しくもないですが…。


その低層階部分の2階・3階(それぞれの一部)に
JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」なる施設があると知り、
覗きに立ち寄ったというのが、足を踏み入れた理由であります。


ところで、そも「インターメディアテク」とは?ですけれど、
「日本郵便株式会社と東京大学総合研究博物館が協働で運営」する施設で、
「東京大学が1877年の開学以来蓄積してきた学術標本や研究資料など」が

常設展示されるとともに、併設されている「ケ・ブランリ・トウキョウ」では、

パリのケ・ブランリ美術館のコレクションが紹介される…とまあ、そんな場所なのですね。


おいしいことに入場無料なだけあって、2階から入っても3階から入ってもOKですが、
やはりホワイエのある2階からというのが、よろしいのではないでしょうか。


一歩展示室内に入り込みますと、ここが東京駅の目の前、

再開発著しい丸の内の一角とは思われない古色蒼然さ、昔のSFを思う所から来るレトロな印象、

さらにはもっと遡ってヨーロッパの王族たちが競って珍奇なるものを集め、収めた

ヴンダーカンマーに迷い込んだとしかいいようのない空間に直面します。


動物たちの、大きいものは骨格見本、小さなものは剥製やホルマリンに浸かった標本、
貝類、昆虫、岩石の標本、そして壁面の大きな書棚には古い古い外国語の文献がぎっしり…。


ひと渡り見たというくらいでは本当に一瞥にすぎないでしょうから、
東京駅で待ち時間が生じたようなときにはちょくちょく訪ねて、

何度も楽しむといった利用法ができようかと。


ただ(懐かしげだからというわけでなく)どこかで見たような品々だなと思って見ていて、
で、どこかというのは小石川の東大研究博物館分館だと思ったものですから、
係の人(東大の学生かも?)に尋ねてみますと、

果たして「小石川から持ってきたものが多い」とのこと。


それでは、小石川分館の方はどうなったかと聞けば、建築関係の展示に代わったとの話。
これはこれで、興味をそそるではありませんか。


と、話忘れるところでしたが、「ケ・ブランリ・トウキョウ」のこと。
予想外に小さなスペースでしたけれど、アフリカの古い時代の貨幣が展示されてましたですね。


貨幣といっても、今現在ふつうに見られるコインのようなものではなくして、形状が独特。
その内のいくつかは武器そのものの形をしておりまして、

刃が付いたようすからしても確かに敵を殺傷できそうなものでしたが、
それがそのまま貨幣であったというのでありますよ。


考えて見れば、貨幣は価値の代替になりましょうから、

例えばたくさんの食べ物と交換する場合に、
食べ物を渡す代わりに得るものには相応の価値が見出せないと納得しにくいですよね。


その点、武器、それも明らかに戦いで効果的に使えそうなものであればなおのこと、
敵対勢力からの分捕品を得やすくするといった、

それなりの価値を見出しやすいものと想像します。


その場の解説では、どちらかというと

祭祀にまつわる品としての意味合いを紹介したように思いますから、
武器に対する価値の見出し方は想像でしかありませんけれど、

とにもかくにも一例でいえば、そうした想像をあれこれ巡らすのにいい場所、

それがインターメディアテクであるとも言えましょうかね。