展望の話 が続くことになってしまいましたが、新宿に出かけた折のこと。


新宿で多少の空き時間が生じた場合によく立ち寄るのはコニカミノルタプラザ でありまして、

東口の駅前ですのでちょこっと覗きにというのに便利だもので。


では、西口側にいるときはどうする?てなことで、
訪ねてみたのは、東京都庁の展望室。何しろ無料ですし。


ご存知のとおり、ノートルダム寺院の見た目を意識したとかしないとか、
2本のタワーを持つ特徴的な建物は、今でもバブリーな印象を振りまいておりますが、
この2本のタワーの上層階にそれぞれ北展望室、南展望室というものがあります。


単にアプローチ経路から近かったというだけで南展望室に上がることにして、
簡単な荷物チェックを受けて、エレベーターへ。


天井が高く窓を大きくとったフロアは地上202mだそうで、
周囲を眺望するに打ってつけの感がありましたですよ。


しかしまあ、東京の街はビルだらけだあねぇと思いつつ、
東側の展望から西側へと移動していきますと、さすがに郊外へと続いている方向なだけに
東側ほどに大げさな建物ばかりではないようす。


ましてや、余り知られていないかもしれませんが、
新宿中央公園を越した先のあたりには2階建ての民家が軒を寄せ合って並ぶ姿が見える。
いわゆる十二社(じゅうにそう)、角筈(つのはず)といった辺りでしょうか。


東京都庁南展望室から眺めた東京西郊


それで思い出しましたけれど、昔、漫画家の滝田ゆうさんが出てくる何かのCMで
滝田さんがタクシーに乗り込み「角筈まで」と告げると、
ドライバーが「西新宿ね」と応えるというのがありました。


東京も昔はそれぞれに個性を持った町名に溢れていたものと思いますけれど、
区画整理を伴う町名変更が進んだ結果、○○町1丁目とか2丁目とかになってしまいました。


そうした結果のひとつでもあろう、杉並区にある西荻北、西荻南とかいうのは、
荻窪という地名があって、その西側の北半分と南半分をそれぞれ指しているものながら、
もはや地名というよりも記号のようでありますね。


先の滝田さんはドライバーが「西新宿ね」と言ったことに、
「ふう」と一息ため息を漏らすんですが、何だか分かるような気がします。

まあ、ノスタルジーってやつかもしれんですけれど…。


というふうに地名は様変わりしているんですが、改めて眺めやれば
通りに面したところにはビルが建っているものの、そのひとつ裏に入れば
昔ながらのしもたやが並んでるふうでもある。


住まうご本人たちが何を思うかに関わりなく、
新宿近接ということで極めて地価は高いものと想像しますが、
そこに住まっているのはごくごく普通の庶民なのだろうと思います。

要するに普通の暮らしがそこにあるわけですね。


高いところから見下ろすという感覚は、

ちょいと前に映画「天国と地獄」 に絡んで触れたましたけれど
「みおろす」が「みくだす」に繋がりやすい気がします。


つまりは、こんなところから庶民の生活を見下ろしていると、
一般の感覚とは遊離してしまうのではなかろうかと思ったりしますですよ。


辛うじて?東京都の知事室は7階という低層にあるそうで、
高層階にあるほどの心理的優位性に陥ったりはしないものと思いますが、
どうもそもそもからして上から目線の人を選ぶ愚を都民は続けてしまっているような。

程なく投票日になりますけれど、はてさてどんな結果になりましょうか…。