第35章:黄龍の神殿跡を踏破する者⑤ | ツマミはポークル

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酒樽ドワーフ冒険譚


「なんだか存在感の薄い奴がいるぞ、レッド」


「それお化けやん、眼ぇあわせたらあかん」



火の罠をくぐり、マッチョの亜人2体をアーストレマーとたこわさで粉砕した後、先に進むと待っていたのはお化けだった。


「・・・そっとしとこうか、祟られちゃかなわんし」


「そうじゃな・・・トレマーも効きそうにないしな」


ワシは炙りゲソを促し、幽霊をスルーした。

気のせいか、こっちを見ているような気もするが、無視無視。


どうやら自縛霊らしく、動けないようだからほっとこう。


すまんな、お化け、今度は僧侶が通るのを待ってくれ。

きっと成仏させてくれるに違いない。


・・・あ、ワシも僧侶だった、ガハハ!


幽霊の先には決戦場があった。

先ほどと同じく、途中にあった石板絡みの問いが発せられ、入場を許可された。


「炙りゲソよ・・・。今度はデコイ投げた後は様子見て魔法撃つんだぞ」


Vサインの炙りゲソ。


うん、多分これわかってないな。


二人で水晶に手を重ねる。

グニャリ、と空間がゆらぐとワシらは決戦場内に降り立っていた。



決戦場内にいたのは、ワシらの背丈ほどある大刀を両手に二本振りかざした・・・そう、名付けてケツ(アングリーフェイスというらしい)と弓を構えた小型の亜人が2体いた。


ワシはすぐさまデコイを放り、敵の注意をそらす。

と、同時に突っ込む炙りゲソ。


あ、アホー!!!


デコイには耐久力がある。

ある一定以上のダメージを受けると消えてしまうのだ。


炙りゲソが近づく前に、ケツに殴られ消えゆくデコイ。

そうとは知らずに、「トレマートレマー」と、往年のブルーハーツの名曲みたいに口ずさみながら突っ込む炙りゲソ。




「アぁーストレマぁー!!」


炙りゲソのトレマーが決まる。

移動速度低下を受け、一瞬動きが鈍るケツであったが、無慈悲な一撃を炙りゲソに振り下ろした。


「げふぅっ!!」


血飛沫を上げて吹き飛ぶ炙りゲソ。


傷は治せるがあいつの頭は治せんわい。


炙りゲソを仕留めたと思ったのか、ワシに向き直るケツ。


同時に弓から矢が放たれる。


盾で矢を弾くと、ワシはディアインアーマーの詠唱を始めた。

光が身体に降り注ぎ、行動の自由を保障する。


次に向かってくるケツはほっといて、ヒールを詠唱する。

ギリギリ届く間合いだ。


恐らくこれで炙りゲソは大丈夫なハズ。

問題はワシの方じゃな!


大刀の一撃をバックステップでかわす。

と、左の大刀も振り下ろされ、危うく盾で受け止める。


お、重い!

一発で左腕が馬鹿になっちまったぞ、おい!


接近するケツに、とっておきのスタンスマッシュを喰らわせる。

動きが止まるケツ。


背後には立ち上がる炙りゲソの姿。


「ストぉーンアロぉー!!」


ケツの背後に直撃する飛礫。


「フンハッフンハッ!!」


たこわさの追加攻撃。

ケツは地響きを立てて、大地に沈んだ。

ふぅ。


「!!?」


しまった、油断した、弓矢の存在を忘れておったわい。

腹に生えた2本の矢を引き抜き、自らにヒールを詠唱する。


少し離れた場所では2体の亜人が弓矢を構え、ワシにさらなる攻撃を仕掛けようとするのが見えたが、どうしようもないわい。


弓が引かれる・・・と同時に2体の中央に現れた炙りゲソ。


「アーストレマぁー!!」


ドドドン、と地震攻撃が2体を吹き飛ばす。


驚いた2体が弓矢をつがえ直し、炙りゲソに攻撃を放とうとする。

すかさず走りこみ、1体の脳天にたこわさの一撃を振り下ろすワシ。


ふぅ・・・このスイカを割るような手ごたえがワシに鈍器を捨てさせんのぅ・・・。


ワシの接近に驚き、逃げようとするもう一体の亜人。

だがトレマーの効果で移動速度は落ちている。


「駄目じゃぞ・・・仲間があの世で待っとるわい」


ワシはもう一度たこわさを振り下ろし、第2決戦場の戦いに幕を下ろした。




「今のは中々いい連携だったな!」


得意そうに言う炙りゲソ。


「・・・おまゆう」


最初にぶっ殺されかかったことを忘れてやがる・・・。


魔法のダメージは強烈だが、なんとかに刃物といったカンジじゃな・・・。


決戦場を出て先に進むと、また亜人。




ここは亜人ランドか・・・。


デコイを使い、無駄な殺生は避け、進んだ先にあった転送ポールから飛ぶ。


飛んだ先には2体のケツ。

これはやらずには進めない。


ワシがデコイを放る。

集まるケツ。


『アーストレマー!!』


二人同時のアーストレマーで体力を削り、アローとたこわさで倒していく。

幸い、デコイが消える前に倒すことができた。


しかしこれ・・・。

デコイ取ってきてホントによかったのう・・・。

炙りゲソが持ってりゃ、もっと楽だったんじゃがのう・・・。

会計くんには覚えてもらおう!


ケツの先、左手の壁の隙間から先へ進めるようだ。

近くまで行くと、何物かが動く音が聞こえる。


「・・・炙りゲソ、ワシがデコイを放って突っ込むから、様子を見て魔法で援護を頼む」


「おk、わかったわい」


自分にバフをかけ、戦闘準備は完了。

デコイを壁の隙間から先に放り込み、ワシ自身も裂け目に突っ込んだ。



ねえ、地獄なのここは・・・。


「レッドのアホー!!どうすんじゃこんなにー!!」


・・・頑張ろうか、それしかないわい・・・。


続く


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まあ・・・やるしかないのぅ・・・。

頑張るぞい、炙りゲソ!(´∀`)