「なんだか存在感の薄い奴がいるぞ、レッド」
「それお化けやん、眼ぇあわせたらあかん」
火の罠をくぐり、マッチョの亜人2体をアーストレマーとたこわさで粉砕した後、先に進むと待っていたのはお化けだった。
「・・・そっとしとこうか、祟られちゃかなわんし」
「そうじゃな・・・トレマーも効きそうにないしな」
ワシは炙りゲソを促し、幽霊をスルーした。
気のせいか、こっちを見ているような気もするが、無視無視。
どうやら自縛霊らしく、動けないようだからほっとこう。
すまんな、お化け、今度は僧侶が通るのを待ってくれ。
きっと成仏させてくれるに違いない。
・・・あ、ワシも僧侶だった、ガハハ!
幽霊の先には決戦場があった。
先ほどと同じく、途中にあった石板絡みの問いが発せられ、入場を許可された。
「炙りゲソよ・・・。今度はデコイ投げた後は様子見て魔法撃つんだぞ」
Vサインの炙りゲソ。
うん、多分これわかってないな。
二人で水晶に手を重ねる。
グニャリ、と空間がゆらぐとワシらは決戦場内に降り立っていた。
決戦場内にいたのは、ワシらの背丈ほどある大刀を両手に二本振りかざした・・・そう、名付けてケツ(アングリーフェイスというらしい)と弓を構えた小型の亜人が2体いた。
ワシはすぐさまデコイを放り、敵の注意をそらす。
と、同時に突っ込む炙りゲソ。
あ、アホー!!!
デコイには耐久力がある。
ある一定以上のダメージを受けると消えてしまうのだ。
炙りゲソが近づく前に、ケツに殴られ消えゆくデコイ。
そうとは知らずに、「トレマートレマー」と、往年のブルーハーツの名曲みたいに口ずさみながら突っ込む炙りゲソ。
「アぁーストレマぁー!!」
炙りゲソのトレマーが決まる。
移動速度低下を受け、一瞬動きが鈍るケツであったが、無慈悲な一撃を炙りゲソに振り下ろした。
「げふぅっ!!」
血飛沫を上げて吹き飛ぶ炙りゲソ。
傷は治せるがあいつの頭は治せんわい。
炙りゲソを仕留めたと思ったのか、ワシに向き直るケツ。
同時に弓から矢が放たれる。
盾で矢を弾くと、ワシはディアインアーマーの詠唱を始めた。
光が身体に降り注ぎ、行動の自由を保障する。
次に向かってくるケツはほっといて、ヒールを詠唱する。
ギリギリ届く間合いだ。
恐らくこれで炙りゲソは大丈夫なハズ。
問題はワシの方じゃな!
大刀の一撃をバックステップでかわす。
と、左の大刀も振り下ろされ、危うく盾で受け止める。
お、重い!
一発で左腕が馬鹿になっちまったぞ、おい!
接近するケツに、とっておきのスタンスマッシュを喰らわせる。
動きが止まるケツ。
背後には立ち上がる炙りゲソの姿。
「ストぉーンアロぉー!!」
ケツの背後に直撃する飛礫。
「フンハッフンハッ!!」
たこわさの追加攻撃。
ケツは地響きを立てて、大地に沈んだ。
ふぅ。
「!!?」
しまった、油断した、弓矢の存在を忘れておったわい。
腹に生えた2本の矢を引き抜き、自らにヒールを詠唱する。
少し離れた場所では2体の亜人が弓矢を構え、ワシにさらなる攻撃を仕掛けようとするのが見えたが、どうしようもないわい。
弓が引かれる・・・と同時に2体の中央に現れた炙りゲソ。
「アーストレマぁー!!」
ドドドン、と地震攻撃が2体を吹き飛ばす。
驚いた2体が弓矢をつがえ直し、炙りゲソに攻撃を放とうとする。
すかさず走りこみ、1体の脳天にたこわさの一撃を振り下ろすワシ。
ふぅ・・・このスイカを割るような手ごたえがワシに鈍器を捨てさせんのぅ・・・。
ワシの接近に驚き、逃げようとするもう一体の亜人。
だがトレマーの効果で移動速度は落ちている。
「駄目じゃぞ・・・仲間があの世で待っとるわい」
ワシはもう一度たこわさを振り下ろし、第2決戦場の戦いに幕を下ろした。
「今のは中々いい連携だったな!」
得意そうに言う炙りゲソ。
「・・・おまゆう」
最初にぶっ殺されかかったことを忘れてやがる・・・。
魔法のダメージは強烈だが、なんとかに刃物といったカンジじゃな・・・。
決戦場を出て先に進むと、また亜人。
ここは亜人ランドか・・・。
デコイを使い、無駄な殺生は避け、進んだ先にあった転送ポールから飛ぶ。
飛んだ先には2体のケツ。
これはやらずには進めない。
ワシがデコイを放る。
集まるケツ。
『アーストレマー!!』
二人同時のアーストレマーで体力を削り、アローとたこわさで倒していく。
幸い、デコイが消える前に倒すことができた。
しかしこれ・・・。
デコイ取ってきてホントによかったのう・・・。
炙りゲソが持ってりゃ、もっと楽だったんじゃがのう・・・。
会計くんには覚えてもらおう!
ケツの先、左手の壁の隙間から先へ進めるようだ。
近くまで行くと、何物かが動く音が聞こえる。
「・・・炙りゲソ、ワシがデコイを放って突っ込むから、様子を見て魔法で援護を頼む」
「おk、わかったわい」
自分にバフをかけ、戦闘準備は完了。
デコイを壁の隙間から先に放り込み、ワシ自身も裂け目に突っ込んだ。
ねえ、地獄なのここは・・・。
「レッドのアホー!!どうすんじゃこんなにー!!」
・・・頑張ろうか、それしかないわい・・・。
続く
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まあ・・・やるしかないのぅ・・・。
頑張るぞい、炙りゲソ!(´∀`)