お世話になった社長さんが3年前に禁煙に成功した方法


社長の話
死んだ親父の動脈は木炭だった


俺の親爺は4年前に心筋梗塞で72歳の生涯を閉じたんだが
15歳から丁稚奉公で他人の飯を食い、親と離れて商売根性を叩き上げた人だった
兄弟子たちを真似てたばこを覚え、亡くなる1年前までたばこから離れなかった人だ


心筋梗塞で亡くなる半年前に入院し、冠状動脈のバイパス手術が3ヶ月後と決まって
病院で発作が起きるとニトログリセリン錠を飲んで、手術を心待ちにしていた親父が
手術を受けることなく病院のベッドで発作に襲われ、一人で息を引き取った


病院から死体解剖の打診があり、俺が署名した遺体解剖の結果は腹部の動脈が真っ黒で
硬い木炭のような血管だった。  


血流はおそらく点滴ぐらいだったろうと説明され、これでよく生きてこれたものだと医師も首をかしげていたよ
動脈の炭化状態は、15歳から71歳まで吸い続けた、たばこが大きな要因だろうとのことだった


摘出した親父の木炭のような動脈を見て、おれは心底たばこを止めようと心に決めたよ
しかし、心は決まっているのに、どうしても止められなかった

医師にも相談したが「それはあなたのせいじゃなくニコチンの力によるものです」
「ニコチンがニコチンを体内に取り込めと、あなたの体に命じているんです」
「それがニコチン依存症のメカニズムなんです」と慰められ、アドバイスをもらった


ニコチン依存から脱出するための医師のアドバイス


1)たばこを吸うのを止めると、ニコチンがあなたに囁くことばがある
  「たばこも吸えない人生なんて、実に詰まらないものだよ」
  「仕事の後の一服は、精神を安定させ、疲れをほぐし、次の活力を与えてくれるよ」
  「吸う量を減らせば、それほど害になることはないんだよ」
  「たばこを吸う人が、みんな癌になっているわけじゃないだろう」
  「たばこ代なんて、テレビや冷蔵庫、子供の学資、妻の化粧品代よりずっと安いだろ」
  「家族のために頑張っているんだから、たばこぐらい家族は認めているよ、当然だろ」
  「たばこ税を納めて国に貢献しているんだから、胸を張って吸えばいいんだよ」  

 ・・・こんな囁きのどれもが、尤もだとあなたはうなずくはずです
    いや、うなずいているのは、あなたじゃなくあなたの体なんです
    それが、ニコチン依存症という病気に犯されたあなたの体だと認めることです
    体が認めなくても、あなたが先ず認めること、それが禁煙のスタートラインです
    いいですか? スタートラインにあなたが立たなければ、ニコチン依存症からの
    脱出はないのです


2)スタートラインに立ったら、あなたは記録更新を繰り返し目指すこと
  ●たばこを止めるんじゃなく、先ず、1日禁煙の目標を持ち、その記録を達成すること
  ●失敗したら、翌日か2日後に再挑戦すること
  ●1日を達成できたら、そのまま目標を更に1日伸ばして頑張ること
  ●2日に失敗したら、数日後に再び1日禁煙の目標から再挑戦です
  ●再挑戦で2日を達成したら、そのまま3日に目標延長して頑張ること
  ●その時いつも「3日に失敗したら、また1日から頑張らなければならないぞ」と
   自分に言い聞かせながら頑張ること
  ●4日目になると「せっかくここまで続いたのだから、もったいない、もう一日」と
   自分に言い聞かせて頑張ることです
  ●3日が一つの難関、それを超えると7日間が第2の難関、それを超えると少し楽に
   なってきたように思うでしょう
  ●記録を伸ばしながら、ここまで登ってきた山を降りて、また登ってくる大変さを思い
   記録更新を喜びに変えて、自分を褒めながら自分に言い聞かせるのです
   「1ヶ月の記録を達成したら、いつでも吸おうと思えば吸えるじゃないか」
  ●そうやって自分を励まして1ヶ月達成したら
   「いつでも吸おうと思えば吸って良いんだから、2ヶ月達成してから考えよう」
   「2ヶ月も記録を達成した自分は凄い! やれるじゃないか」と自信を持つことです
  ●たばこを止めることは辛いけど、記録を更新し続ける自分に確信を持つことが大切!
  ●数ヶ月になると「吸いたい」と思う気持ちは瞬間的なものになってきます
  ●その瞬間だけ「1年を達成するまで頑張るぞ」と強く自分に言い聞かせるだけでOK
   その瞬間以外の時間は殆んどたばこを思い描くことが減っていきます
  ●記録を次々に塗り替えていくことで、禁煙じゃなく「休煙状態」が続いていきます
  ●禁煙=生涯吸えない寂しさを ⇒ 休煙記録保持者=いつでも吸える・・に変えること


  禁煙から休煙期間記録更新に目標を定めて挑戦するのがコツ


こんな医師のアドバイスを忠実に実行して、俺は3年以上記録更新をし続けているんだよ
そう言って社長さんは笑いました。

私は、社長さんの笑顔が、本当にまぶしく感じられ、ぜひ社長さんの3年の記録に挑戦したい
そう思ったのです。


                そして私が社長の3年に
                挑戦することになった
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