小屋に泊まると大抵は、知りあった人に、
どこから来て、明日はどこまで行くのか聞きますよね。
同じ部屋になった(自分達より)おじさんおばさんに聞くと、
朝、前橋を出発して、松本経由で、今朝登って来て、
明日は槍ヶ岳に登った後、南岳まで行くと。
(気のせいか、なぜか前橋の人と出会う確率が高い気がしてならないです。)
それに比べると、自分達(この時も相方を連れまわしてました)は…
知る度に自分の小ささが見えてくる。
そんな思いにかられながらも、
まずは目の前の目標に立つ。
一歩ずつ行くしかないと。
翌朝も夜が明けきらぬうちから行動開始。
蒼い朝です。
静かに始まる一日。
そして、そのいつかの日がやってきました。
寝ぼけた頭では、そんなことにも気が付いていないのですが。
これが槍ヶ岳なのでしょうか…
そうは思えないのですけれど。
眼前に現れた、大きくえぐられたU字谷。
この谷は氷河に削られてできたもの。
地球の歴史さえ感じながら、
徐々にではありますが、
標高を上げて行きます。
水俣乗越への分岐点。
ここが槍沢大曲。
ここを右に上がって行く人たちがいました。
その先は稜線へとつながっていると思いますが、
一気に登ることになるので、
自分達は順当に直進します。
朝食代わりのお弁当。
ガレ場の下で休憩してましたけど、
今思えば、そんなところ、落石要注意ですね。
日が高くなるとともに、
山に掛かったガスが晴れて行きます。
期待が膨らまずにはいられません。
振り返ると歩いてきた所が見えています。
ここまで来たんだと、自信につながり、
それがまた力に変わります。
先が見えないから辛いのか?
先が見えないから楽なのか?
ただ、そこには着実に近づいているはずです。
雲がグングン上って、そして消えて行きます。
ここが天狗原の分岐点。
帰りのルートは、そちらを通る考えでしたが、
その時は懸命で、そんなことにも気が付いていませんでした。
槍は見えんかえ~
そろそろ見えても良いのでは?
そう思いながら、上を仰ぎ仰ぎ(あえぎあえぎ)登ります。
絶好の登山日和になってきました。
青も緑もクッキリと。
でも、実際は登ることに必死になって、
景色を楽しむ余裕なんてなかったかもしれません。
登れど登れど槍は見えず。
「もう少し行くと槍が見えるから頑張って」と、
すれ違う人が励ましてくれます。
もうすぐ、そこに、それはあるのでしょうか?
ここがグリーンバンドあたりでしょうか。
だいぶ登ってきたはずですが…
空は青、山は緑、
少し石が白いですが…
と思っていると、
おおっ、あれかっ?
あれが目指していた槍の穂先かっ!?
ん~、ちょっと、思ってたほど尖ってないなぁ~