第10話:ニヒロ機構~イケブクロ2:1/5 | 魔人の記

第10話:ニヒロ機構~イケブクロ2:1/5

★1/5話 グルグル通路の先へ★

>前回の続き。

>ニヒロ機構・中枢で再会したヒジリは、マントラ軍のニヒロ襲撃は失敗したとフィフス・バベルたちに告げた。

>地下2階にある中枢は、完膚なきまでに破壊されたにもかかわらず、である。

ヒジリ「アマラ経路を通ってきたせいで、何とか見抜けた……マガツヒの流れが妙だ」

カハク「マガツヒの流れ…?」

ヒジリ「実に巧みに似せてあるが……恐らくここは、中枢じゃない」

光介「……」

ヒジリ「この建物のどこかに、本当の中枢部があるはずだ……氷川の奴も、きっとそこにいる」

>その時、中枢全体を震動が襲った。
破壊されるほどのものではないが、その余震とも思えるレベルの揺れではあった。

ヒジリ「チッ……そろそろヤバイか………」

光介「そうみたい…ですね」

ヒジリ「マントラ軍の騒ぎが静まりつつある。ここから先は、いっそう危険になるだろう」

光介「はい。覚悟してます」

ヒジリ「氷川のツラは拝んでやりたいが……俺じゃ、命が幾つあっても足りん。ここらで引き返すしかなさそうだ」

>ヒジリはまたこちらを見る。

ヒジリ「途中、先に進めない通路があったろ? 回転して進入させないようにしてたやつだ」

ウィルオウィスプ「グルグル!」

コダマ「あれ、目が回りそうだったよねー」

ヒジリ「そいつのロックを、さっき解除した。もう先へ進めるはずだ」

カハク「ここから、本当の中枢ってのにワープできないの?」

光介「それは無理じゃないかな。ここはもう壊されてるからね…」

ヒジリ「俺に出来るのは、これくらいだからな」

カハク「そう。結局、あたしたちが進んでいくしかないのね」

光介「納得できないかもしれないけど、自分たちで進むことで得られるものもある…俺はそう思うよ」

カハク「あたしもなんとなくそう思うけど…まだ納得できないのは、あたしがコドモだからかしら?」

光介「さあ、それは俺にはわからないな」

ヒジリ「……氷川とどう向かい合うかは、お前に任せる」

ウィルオウィスプ「カハク コドモジャ ナイゾ!」

コダマ「そうだよー。ボクらの中で、一番いろいろ考えてるじゃないかー」

光介「お前たち、話が終わりだと気付いたら、いきなりしゃべり出したなあ」

ヒジリ「ここまで来たんだ。悔いだけは残すなよ……じゃあな」

>フィフス・バベルたちは中枢から出された。

光介「さて、と…」

ウィルオウィスプ「コースケ ソッチ グルグルノ トコ!」

光介「さっきヒジリさんが言ってたろ? ここはもうグルグルしてないんだよ」

>フィフス・バベルは、安定しない通路への扉を開ける。

ウィルオウィスプ「ウォ?」

コダマ「止まってるー」

>通路は安定している。
ヒジリの言う通り、通ることが可能になっているようだ。

カハク「ここを通って、地下15階まで行くのね」

光介「ああ。その代わり、氷川のところへ行くには、4つのキーラっていうものが必要になるんだ」

コダマ「キーラ?」

ウィルオウィスプ「キラキラ?」

カハク「それ、ここに来るまでにオニから聞いたわ。オニは『ガセネタだったか?』って言ってたけど」

光介「うん。その情報はガセじゃないってことも話したよな? これからは、それを集めていくことになるんだ」

カハク「氷川っていうのがニヒロのボスなんでしょ? ってことは、そいつの所に行くのに必要なキーラってのも…」

コダマ「誰かが守ってそうだよねー」

光介「その通り。ここにある仕掛けを突破して、キーラを守るボスたちを倒していかなきゃいけないんだけど…」

>フィフス・バベルたちは通路の突き当たり、扉のところまでやってきた。

>扉の向こうから、強い妖気を感じる。

カハク「早速なの?」

光介「キーラその1、早速手に入れるぞ!」

コダマ「どんなヤツが持ってるのかなー?」

ウィルオウィスプ「ウォレ サックリ サシノメス!」

>フィフス・バベルは扉を開けた。

>そこは広間になっており、4つの台座が見えている。

コダマ「んー?」

>その近くには、妖魔コッパテングと夜魔インキュバスがいた。

コッパテング「……マントラ軍のアホども、まんまとダマされやがった」

コダマ「チビテングくんだ! アマラ深界にもいたね」

光介「第1カルパに出てきたな。まあ、もちろんあっちにいたヤツとは違う個体なんだけど…」

カハク「何か話してるわね」

コッパテング「中枢部がニセモノとも知らずに、襲撃した気になるんだからな」

インキュバス「力、力って、知恵が足りなくていけないねえ」

コッパテング「………ん?」

>コッパテングはこちらに気付き、振り向いた。

コッパテング「誰だオマエ」

インキュバス「へえ……どこの悪魔か知らないけど、脳ミソ働くヤツもいるんだねえ」

カハク「あたし今、ふと思ったんだけど」

光介「ん?」

カハク「マントラ軍の連中も、グルグルの通路を見たはずよね? 近くに悪魔いたし」

光介「ああ、確かにヨモツイクサがすぐ近くにいたなあ。気にすることはないって言ってたけど」

カハク「なんで気にしなかったの? あれって、アヤシさ大爆発じゃない?」

コダマ「あ、確かにそうだねー」

ウィルオウィスプ「ウォレデモ アヤシイト オモウゾ!」

カハク「中枢を壊したから、もういいやって思っちゃったのかしら…」

光介「多分、そうなんだろうな。ゴズテンノウの命令でニヒロに攻め込んで、中枢壊したらもうOK!って思っちゃったんだろう」

カハク「なんか……バカよね」

光介「みんな、ゴズテンノウが怖くて従ってるような感じだから、さっさと終わらせてすぐに褒美がほしかったんじゃないのかな」

カハク「…そうなの? それにしても、あまりに何も考えてなさすぎよ」

コダマ「相変わらずカハクは厳しいね~♪」

ウィルオウィスプ「ナゼ コダマガ ウレシソウ…?」

光介「まあ、今はそれよりもこの悪魔たちの相手をしないとな。俺たちは結局、進んでいかなきゃならないんだから」

カハク「まあ、あたしとしてもぼんやりしてるなんてイヤだから、そうするけどね」

コダマ「ボクもー★」

ウィルオウィスプ「ウォ ウォレモ!」

インキュバス「どうせ、氷川総司令の首をとって、ハクをつけようって三下だろうよ」

コダマ「コースケ、サンシタってなにー?」

光介「ザコってことだろうね、きっと」

コダマ「えー! なんだよそれっ! ボク、イライラしちゃうぞー!」

コッパテング「ちょうどいい……マントラどもが余りに不甲斐無く、退屈を持て余していたところ」

カハク「あたしたちをザコだなんて、結構な自信なのね!」

コッパテング「せっかくのお客だ、丁重にあの世へご案内差し上げよう」

ウィルオウィスプ「ウォマエタチ コソ ウォレニ アンナイ サレロ!」

悪魔たち「死ねェェェェ!!」

>夜魔インキュバス、妖魔コッパテングと戦闘開始!

光介「よし、インキュバスは衝撃弱点だから、コダマは真空刃! 残ったコッパテングにはカハクのプロミネンスとウィルの九十九針…」

>フィフス・バベルは、悪魔の落とした「黄のキーラ」を手に入れた。

光介「…あれ?」

カハク「なによ、口ほどにもないわね」

コダマ「さっくり終わったよー」

ウィルオウィスプ「コースケ シジスル オソイ! モウ オワッタゾ」

光介「あ、あら…? まさかこんなに早いとは…」

カハク「で、それがキーラってヤツなのね」

光介「あ、ああ…これを合計4つ手に入れて、ここの中央にある台座にはめ込むんだよ」

コダマ「透き通ってるねー」

ウィルオウィスプ「ナンダカ キレイ ダゾ」

光介「コッパテングとインキュバスはあまりにさっくり倒せたけど…キーラは残り3つ必要だ。それももちろんボスたちが守ってるから、気を付けていこうな」

カハク「でも、あたしたちなら全然問題ないわよ。ね?」

コダマ「そうだよそうだよー」

光介「俺もそうは思うけど、油断すると何が起こるかわからないのがこの世界だからなあ…とにかくまずはセーブといこう」

>フィフス・バベルたちはターミナルへ行き、セーブした。

光介「よし、これでいい。今からニヒロ機構の中を探索していくけど、仕掛けも多いから今回はここで中断しよう」

カハク「そうなの? 一気に行けそうなのに」

光介「油断した気持ちを引き締めなきゃいけないし、それに…コダマに頼まれたみたらし団子も持ってこないといけないからね」

コダマ「あ! コースケ憶えててくれたー♪」

ウィルオウィスプ「ウワサノ ダンゴ ダナ」

光介「ああ。だからちょっと待っててくれ。団子手に入れたら、すぐに戻ってくるから」

コダマ「わかったー★ 楽しみにしてるからねー!」

カハク「つ、ついにみたらし団子っていうのが登場なのね…なんだかドキドキするわ」

ウィルオウィスプ「ウォレ モウ シンパイ シテナイゾ。コダマガ アンナニ ウレシガッテルカラ シンパイ ナイ!」

カハク「そうだと…いいんだけど」

光介「じゃ、ちょっと待たせるけど、ゴメンな」

コダマ「はーい♪ 早く帰ってきてねー」

>2/5話へ続く…


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