第9話:イケブクロ~ニヒロ機構:2/5 | 魔人の記

第9話:イケブクロ~ニヒロ機構:2/5

★2/5話 人修羅v.s.悪魔召喚師★

>イケブクロのターミナルにて再開。

光介「よし、これでセーブもきっちりしたし、ゴズテンノウに会う準備は整ったな」

コダマ「コースケはけっこうMP減ってるけど、回復しなくていいのー?」

光介「あ、フォッグブレスを2回使ったからなあ…んじゃ、回復の泉でしっかり回復させて行こうか」

カハク「先に回復してからセーブした方がよかったんじゃない?」

光介「そうだな、二度手間だけど…お前たちはHPもMPも満タンだし、ちょっと行ってくるよ」

コダマ「はーい」

>フィフス・バベルは回復の泉に行き、全快になってターミナルに戻った。

光介「よし、これでセーブし直して…と」

>セーブしました。

光介「じゃあ行こう!マントラ軍本営の中は敵が出てくるけど、そんなに強くないからがんばりすぎなくていいからね」

コダマ「わかったー」

カハク「そっか。んじゃあたしもムダにプロミネンス使わないようにしていくわ」

ウィルオウィスプ「ウォレ ゼーイン タタキノメス!」

ピシャーチャ「…(ざわざわと楽しそうにしている)」

>扉を開け、マントラ軍本営・入口があるフロアに来た。

光介「…!」

>王国のメノラーの炎が、激しく揺れている…

光介「まさか…?」

コダマ「火、ゆれてるよー?」

カハク「確か、マタドールの時もそうだったわよね…ってことは、ここに魔人がいるの?」

光介「いや、次の魔人はだいそうじょうのはずだけど、まだタイミングが早すぎるはず…」

ウィルオウィスプ「ココデ ヒ ユレテル ッテコトハ ココニ マジン イル? ウルィ?」

光介「そうだ。メノラーの炎が揺れるってことは、このフロアのどこかに別のメノラーを持った誰かがいるってこと…でも、だいそうじょうはこんな場所にはいない!」

カハク「じゃあ、どういうことなのよ?」

光介「…そうか、このタイミングで来るのか…」

カハク「…?」

コダマ「あのマネカタさん、何か言ってるよー」

>コダマは、階段の前にいるマネカタの話を聞いた。

マネカタ「銃刀法違反でした」

ウィルオウィスプ「ジュートーホー?」

光介「…」

マネカタ「学生の方でした」

光介「…やはり、そうか!」

カハク「なんなの?ひとりで納得しないでよ」

光介「マントラ軍本営・入口前に、誰かがいる…そいつは、魔人とは違うけど、魔人並みにやっかいなヤツだ」

コダマ「魔人じゃないけど魔人なみ?」

ウィルオウィスプ「ツヨイ ッテ コトカ?」

光介「ああ。さすがにここは俺も油断ができない…」

カハク「それ、トールの時も言ってたじゃない」

光介「それ以上にだ! アイツとついに戦うことになるのか…!」

コダマ「コースケ、いつになくマジだよー」

ウィルオウィスプ「ウォレ モエテキタ ゾ」

カハク「そう。コースケがそこまでマジになるってことは、あたしもマジにならなきゃね…!」

光介「お前たちはいつもの戦い方でいい。戦闘の順に言うと、コダマは真空刃、カハクはプロミネンス、ウィルオウィスプは気合いを込めた九十九針でいい」

コダマ「コースケは、フォッグブレス?」

光介「ああ。ヤツはそれを無効化できるが、絶対に無効化するとも限らない。フォッグブレス2回で、限界まで命中&回避力を下げておくよ」

カハク「そいつ、一体どこにいるの? ちょっと見たかぎりではいないみたいだけど…」

光介「入口だ。そこまで行かないと会えない。俺は物理に強いマガタマ『カムド』を装備して…と」

>フィフス・バベルは、マガタマをカムドに付け替えた。

光介「これでいい。みんな、準備はいいか?」

コダマ「いーよー」

カハク「問題ないわ」

ウィルオウィスプ「イツデモ コイ!」

光介「…よし、ピシャーチャは移動用の魔法専門だから、休んでくれてていいからな」

ピシャーチャ「…(ざわざわとうなずいた)」

光介「いくぞ…!」

>フィフス・バベルたちは、本営入口へと向かった。

光介「…?」

>入口付近には、何かがいる。
気配を感じて、フィフス・バベルがそちらを見ると…

光介「…!」

>緑色の悪魔が、物陰からそっとこちらを見ている。

>と、いきなり顔が引っ込んだ。

光介「!」

>そしてゆっくりと、緑色の悪魔が物陰から出てきた。
右手には、小さなブーメランを持っている。

光介「やはり、か…モコイさん!」

コダマ「モコイさん?」

カハク「な、なんだか…カワイイ、かも…」

ウィルオウィスプ「ウォレノ ヨソウヲ コエル ウゴキ…!」

>モコイさんは、妙な音を立てながらぶるぶるるんと震えた!

モコイさん「なんだかとってもダークネス。ボク、ボルテクス界デビューしたッスよ」

コダマ「あ、そーいえば悪魔全書で見たことない悪魔だー」

カハク「そういえばそうね。あたしも、全書の仲魔たちからいろんなもの買ったことあるけど…この悪魔は見たことないわ」

光介「この世界にはいないことになってるからな…」

>モコイさんは、楽しそうに言葉を続ける。

モコイさん「ウヒッ、デビルサマナークズノハライドウ対人修羅…それってイケてる?」

ウィルオウィスプ「デビ…ル?」

コダマ「サマナー?」

カハク「くずのは、らいどう?」

光介「ああ。デビルサマナー葛葉ライドウ…今までで最強の相手だ!」

>モコイさんはこちらから向かって右側を見る。
その視線の先には…

光介「…!」

コダマ「階段のところに、誰かいるねー」

カハク「…ねこちゃんもいるわ」

>黒いマントを来た、学生服の美少年。そして黒猫。
それこそが、デビルサマナー 十四代目葛葉ライドウだった。

ライドウ「………」

>風にはためくマント。
それは、首元以外全てボタンが外されている。

光介「悪魔を封じる封魔管、剣、そして銃…隠すつもりもないってことか!」

>それは『彼』の覚悟を物語っている。

ウィルオウィスプ「コヤツ… デキル!」

>かたわらにいる黒猫・ゴウトが、不意に口を開いた。

ゴウト「……人修羅とやら」

カハク「!」

コダマ「ねこちゃんがしゃべったよ!?」

光介「お前らだってしゃべるだろ…それよりも、すぐに戦闘だぞ、気を付けてくれ!」

ゴウト「まずはその力を見極めさせてもらうぞ!」

>ゴウトの声と共に、ライドウは剣を抜きつつ階段を駆け上がる!
そして階段を上がり切り、臨戦態勢をとった!

>悪魔召喚師・十四代目葛葉ライドウと戦闘開始!

光介「行くぞ!作戦はさっき話した通りだ!おちゃらけられる余裕は、全然ないからな!」

コダマ「わかったー!んじゃボクはしんくうはー」

カハク「あたしはプロミネンス!」

ウィルオウィスプ「ウォレ キアイコメテ アイツ サス!」

>フィフス・バベルたちは戦う!
ライドウに大ダメージを与えた!

>そしてライドウに行動が移る。

ゴウト「ライドウ、まずは慎重にな。間違っても殺すなよ?」

>その直後、ゴウトは続けて言った。

ゴウト「ライドウ、少し力を抜きすぎではないか?」

コダマ「あれ?」

光介「あれ…?」

カハク「力を抜きすぎって、まだあたしたちに攻撃なんてしてないわよ?」

光介「それだけこっちが、1ターン目に大ダメージを与えたってことなんだろう。どちらにしろ攻撃が来る!気を付けろっ!」

ゴウト「人修羅め、なかなかやる……」

ライドウ「…!」

>ライドウの挑発!
ゴウトが学生帽の上に乗り、こちらに向かって叫ぶ!

ゴウト「シギャァァ!!」

>フィフス・バベルたちの攻撃力が2段階上がり、防御力が2段階下がった!

>さらにライドウのブギウギ!
銃を抜き、コダマを狙う!

コダマ「あ。ボクねらってるー」

光介「コダマっ!」

>銃弾が発射され、コダマに襲い掛かる!
食らえば、複数回の物理ダメージだ!

コダマ「えへへー」

>しかしコダマは避けた!
ライドウの行動は終わる。

光介「よく避けたな、コダマ!」

コダマ「コースケが2回フォッグブレスかけてくれてたからだよー。無効化されなくてよかったね」

光介「ああ。挑発のおかげでこっちの防御力は2段階下がってるが、攻撃力は2段階上がってる!今がチャンスだぞ!」

>フィフス・バベルは、コダマに順番を回す。

コダマ「やっぱりボクって、しーんくうはー」

>コダマの真空刃!
単体衝撃特大ダメージ!

>ライドウの様子が変わった。

光介「もしかして、苦しんでるのか!? よし、カハク!お前が決めてやれっ!」

カハク「わかったわ! あたしの炎、しっかりと食らいなさいっ!」

>カハクのプロミネンス!
火炎大ダメージが2回当たり、ライドウを退けた…

光介「よしッ!!」

カハク「キャハッ!やったぁ♪」

コダマ「すごいねカハク★コースケは今までで最強だって言ってたけど、2ターンで倒したね!」

カハク「アンタの真空刃がすごかったのもあるのよ!アンタもすごいわ、コダマ!」

ウィルオウィスプ「ウォ、ウォレ… ミセバ ナカッタ…」

光介「いや、ライドウが誰に攻撃するかわからない以上、見せ場がないとは言い切れないぞ。今回は結果的にこうなったけど、もしかしたらお前がトドメを刺してたかもしれない」

ウィルオウィスプ「コースケ ソウイウ ナラ キット ソウイウコト! ウォレ ジシン モツ」

光介「しかし、ホントにお前たちは大したもんだよ…ライドウ相手に、ここまで一方的に戦えるなんてな」

ライドウ「……」

>ライドウは、剣を鞘に収めた。
それとほぼ同時に、ゴウトが口を開く。

ゴウト「ライドウが認めるその力。やはり、なかなかのものだな…」

コダマ「びっくりしたでしょー?エヘヘ★」

ゴウト「人にあらず悪魔にあらず…故に人修羅、か…なるほどな」

コダマ「なんだよー、ボクたちだってがんばったんだぞー」

光介「コダマをほめてないんじゃなくて、俺たちみんなの力をほめてるってことだよ」

コダマ「そっかー。それならなっとく。くしし」

ゴウト「今、お前と戦ったこの男の名はライドウ。そして俺はゴウト。まあ、しがない探偵だ」

ウィルオウィスプ「ネコガ タンテイ? ウォレ ヨリ アタマイイ?」

光介「ゴウトは完全に猫、ってわけでもないからなあ…いろいろと複雑なんだよ、彼の出自も」

ウィルオウィスプ「ソウナノカ… コノ ネコニモ イロイロ アルンダナ」

カハク「だから話聞きなさいって、アンタたち」

ゴウト「ある老紳士の依頼で、お前の様子を探りに来たんだが…」

>ゴウトはちらりとライドウを見る。

ゴウト「ライドウ、お前の言う通りになったな?」

コダマ「そーいえば、ライドウって人、全然しゃべらないねー?」

光介「きっと照れ屋さんなんだろう。そこはそっとしといてあげような」

ライドウ「………」

ゴウト「老人の思惑が気になる。少し調べて見る必要がありそうだ」

>ゴウトは、視線をライドウからフィフス・バベルへと戻した。

ゴウト「事と次第によっては、もう一度ライドウと手合わせするかもしれんぞ?」

ライドウ「………」

>ライドウは、ゴウトの目が離れた直後、ほんの少しだけ動いた。

カハク「…ん?」

光介「どうした?」

カハク「ライドウって人、ちょっとだけ首を横に振ったような…?」

光介「そうか?」

ライドウ「………」

>ライドウは、動いていない。
ただじっと、フィフス・バベルを見ている。

カハク「…もしかしたら、照れ屋じゃないって言いたかったのかも」

光介「そ、そうか?別にライドウが照れ屋でも照れ屋じゃなくても、どっちでもいいんだけどな…」

ゴウト「…それまではその命、大事にしておくのだな」

>ゴウトは話を終わらせ、背を向けて、去る。
その後をライドウがついて行った。

コダマ「あ、逃げたー」

光介「逃げてないってば。この場は退却した、っていうだけだよ」

ゴウト「ライドウ、これは一筋縄ではいかなそうだな? 気を引きしめて調査するとしよう」

>ゴウトの言葉にライドウはうなずき、フィフス・バベルたちの前から走り去って行った。

カハク「…で、結局なんだったの?」

光介「とりあえず、ライドウは俺たちの力を見るためだけにここに来たんだろうな。老紳士の依頼で来た、って言ってたけど…」

コダマ「ろーしんし?」

光介「アマラ深界の覗き穴で、車椅子に座ってるおじーさんがいただろ?」

コダマ「あ!あのおじーさんなの?」

光介「間違いないよ。その証拠に、メノラーが反応したからね…車椅子の老紳士は、ライドウにもメノラーを渡して俺と引き合わせるようにしたんだろうな」

カハク「なんでそんなこと…?」

光介「さあ、それは今はわからないし、多分これからもわからないよ」

カハク「どうして?」

光介「俺はもう、ライドウと会う気はないからさ」

コダマ「なんでなんでー?ねこちゃん、さっき『もう一度手合わせするかも』って言ってたよー?」

光介「ライドウは、アマラ深界の第3カルパにいるんだけど、彼がいる場所まで行く気が俺にないのさ…俺は今回、前とは違う世界を創るつもりだからね」

カハク「前…は、確か静寂の世界だったわよね?」

光介「ああ。でも今回は違う。どっちがいいとか比べられるものじゃないけど、違う世界を俺は目指すよ」

カハク「ふーん…よくわかんないけど、これからゴズテンノウに会いに行くっていうのは、変わらないんでしょ?」

光介「あ、そーいやそういう用事もあったな。それじゃ中に入ろうか」

コダマ「あれー?もしかしてコースケ、忘れてたのー?」

カハク「ライドウとかいう人と戦うのに夢中になってたのね。すぐに終わっちゃったけど」

ウィルオウィスプ「キット ソレダケ マジニ ナッテタ」

コダマ「そーなのかなー?」

カハク「あたしも、ウィルの言う通りだと思う。きっと、あたしたちを守るために、必死で作戦考えてたりしたんだわ」

コダマ「なんだか、オトナになったあとはコースケの肩持つねー」

カハク「そうじゃないわよ。今回だってコースケのフォッグブレスがなかったら、アンタ銃でボコボコにされてたかもしれないのよ? あれであたしたち、ダメージ受けないで済んだんだから」

コダマ「そーいえば…確か、トールとの戦いでもウィルが助けられたよねー?」

ウィル「ウォレモ コースケニ タスケラレタ。 ジオダイン チョクゲキ スルトコ ダッタ」

カハク「やっぱり、あたしたちだけじゃ最強にはなれないのよ。コースケがいて、作戦を考えて戦ってくれるからこそ最強になれるんだわ」

コダマ「それなら、コースケにもよしよししてあげなよー。さっきはイジワルしてたじゃないかー」

カハク「それとこれとは別よ。コースケをイジると楽しいから、ああいうふうに言ってみただけ」

コダマ「なるほどー。イジワルじゃなくて、イジってたんだねー」

ウィルオウィスプ「カハクモ コースケ スキ。 ウォレ チャント ワカッテタ」

コダマ「ウィルまでなんだよー。まるでボクだけ、コドモみたいじゃないかー」

光介「…おい、お前たち…中に入るぞ?」

コダマ「あ、はーい」

カハク「はいはい」

ウィルオウィスプ「ワカッタ」

>仲魔たちは、どこかニヤニヤしている。

光介「なにをみんなして、ちょっぴりニヤニヤしてるんだ?」

ピシャーチャ「…(ざわざわと楽しそうにしている)」

>3/5話へ続く…


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