第8話:アマラ深界・第1カルパ~イケブクロ:2/5(4周目) | 魔人の記

第8話:アマラ深界・第1カルパ~イケブクロ:2/5(4周目)

★2/5話 亀裂★

>ゾウシガヤ霊園。
そこには墓石がたくさんある。

光介「ここは、もともとから墓場だったみたいだけど…」

>霊園の内部には、泥が捨てられている場所がある。
その泥は、人の姿に見えなくもない…

光介「…」

ウィルオウィスプ「コースケ ドウシタ? チョット カナシソウ」

光介「ああ、この泥たちを見てたら、なんとなく…な」

ウィルオウィスプ「ドロ? コースケ ドロニ トラウマ?」

光介「泥自体にはトラウマなんてないけど…まあ、いずれわかるさ。さあ、ここを出てイケブクロに向かおう」

コダマ「…」

カハク「…なにか、感じるわ…」

コダマ「え?カハクはこの泥に何か感じるの?」

カハク「うん…はっきりとはわからないけど、なにか…」

コダマ「ふーん…でも今はコースケが先に行こうとしてるし、いっしょに行こうよ」

カハク「そうね」

>カハクは、泥をしばらく見つめた後でフィフス・バベルたちと合流した。

>ゾウシガヤ霊園からしばらく歩き、イケブクロへ。
その入り口前には、妖鬼オニがいる。

オニ「何だてめえ。見ねえ顔の悪魔だなあ」

光介「ど、どうも」

オニ「ここがマントラ軍の領地、イケブクロと知りつつ入り込んだのか?」

光介「ええ、実は…ちょっと用事がありまして」

オニ「……そうか。度胸はあるようだな」

コダマ「どーしてそれが、ドキョーあることになるのー?」

光介「いずれわかるよ」

オニ「だが、度胸だけじゃダメだ」

コダマ「ドキドキ…!」

オニ「ここじゃあ力の無いヤツは、くたばる必要があるんだよ!」

>妖鬼オニと戦闘開始!

カハク「なんなの?いきなり戦闘!?」

光介「ああ。でも何も問題ない!いつも通り、コダマの真空刃とカハクのプロミネンスで片付けてやってくれ!」

ウィルオウィスプ「ウォレハ?」

光介「多分、お前まで順番回らないから、心配しなくていいよ」

>オニは倒れた…

光介「…な?」

ウィルオウィスプ「ホントダ! エラソウ ナノニ ヨワッチィ!」

カハク「一体何なのよ。ケンカふっかけてきて、弱すぎるって…」

コダマ「ボクも、ドキドキして損した気分ー」

光介「そう言うなよ。イケブクロっていうのは、そういう街なんだっていうのはわかっただろ?」

コダマ「弱いヤツがいばりまくる街ってこと?」

光介「ははは、お前も厳しいな。そうじゃなくて、力が全ての街ってことさ。さあ、早速本営ビルに行こう」

コダマ「ホンエイってよくわかんないけど、はーい」

カハク「お店にはいかないの?」

光介「オカマネカタに会いたいっていうなら、向かうけど…別に今は買い物する必要もないからね」

カハク「そ、それならさっさとホンエイに行きましょ!」

光介「…わかりやすいな」

ウィルオウィスプ「ウォレモ ホンエイ イクゾ!」

>そして一行は、マントラ軍本営ビルの前に到着した。

カハク「…ん?」

コダマ「あれ?ヒーホー君じゃない?」

>本営前には、ジャックフロストのヒーホー君がいた。

光介「シブヤぶりだなあ。お金が貯まって、修行の旅に出てるところなんだろう」

コダマ「ヒーホー君!」

ヒーホー君「ヒーホー! マガタマ買ってくれたおにーさんたちホ」

光介「こんな場所で、何やってるんだい?」

ヒーホー君「オイラ、あの偉大なキングを目指して、マントラ軍に入門しに来たホ!」

コダマ「へー、すごいね!ここで修行するつもりなんだね!」

ヒーホー君「………」

コダマ「どしたのー?」

ヒーホー君「でも、怖くて中に入れないホ~。……炎も熱いホ」

>本営ビル前には、変わった形の柱があり、火がたかれている。

カハク「なによ、こんな火くらいで熱がってたら、修行どころじゃないわよ?」

ヒーホー君「わかってるホ。もうちょっとガマンして熱さになれたら、ちゃんと中に入るホ」

光介「そっか。それじゃ俺たちが先に入っちゃうけど…いいかい?」

ヒーホー君「もちろんだホ。それじゃ、気をつけるホー」

カハク「大丈夫なのかしら、あの子…仲魔もいないみたいだけど」

光介「最高に最強なキングを目指してるんだから、仲魔にしようとか考えない方がヒーホー君のためなのかもね。それじゃ、本営の中に入ろう」

>扉の先から声が聞こえる……

声「……なんだよ貴様っ!」

ウィルオウィスプ「オゥ?」

声「俺は何にも……」

コダマ「なんだか、取り込み中みたいだよー?」

声「………」

>声は聞こえなくなった。

光介「だからってほっとくわけにはいかない。あの声は勇だ。俺の友だちなんだよ」

コダマ「えっ、そうなの?」

ウィルオウィスプ「ソレナラ イソゲ! コースケ!」

>マントラ軍本営に入りますか?

光介「ああ。入ろう」

>本営の中。
そこには、火がたかれた柱が何本もある。

カハク「コースケ、あそこ!」

>前方には、勇と鬼神トールがいた。
トールの身長は大きく、勇の倍以上ある。

>だが、勇は果敢にもトールに突っかかっていた。

勇「なっ…なんだよ貴様っ!!」

コダマ「あのでっかいの、ダレ?」

光介「あれはトールだな。マントラ軍のナンバー2だ」

カハク「すっごい大きさね…でも、軍って普通、わざわざナンバー2がこんな入り口まで出てくるもんなの?」

光介「勇は人間だからな、マントラ軍でも珍しいんだろう。だから手下がトールに判断を仰いだってところなんだろうけど…」

勇「オッ…俺は何にもしてねえっての!!」

>そう言った勇は、こちらを振り返った。
フィフス・バベルたちを見て、驚く。

勇「また……!?」

>しかしその一瞬後、彼は気付いた。

勇「オ、オマエ…、光介か…!?」

光介「ああ。早くこっちに来るんだ、勇!」

勇「た、助けてくれっ! こんなトコで油売ってるヒマはねえんだ!」

>後ろでトールがハンマーを振り上げる。

カハク「えぇっ!?」

コダマ「早く逃げなよー!」

光介「勇!!」

勇「祐子先生が……っ!!」

>そう言うと同時にトールに殴られ、横の柱に叩き付けられる。

勇「ぐ…」

光介「くそ!」

コダマ「コースケ!助けないと!」

光介「残念ながら、今の俺たちにはトールに向かって行っても、勝てる見込みがない…!」

カハク「なによそれ!だからトモダチを放っておくっていうの!?」

光介「そうじゃない!そうじゃない、けど…!」

>トールは、倒れた勇に近付き、手をかざす…

勇「……!?」

>勇の体が不自然にけいれんする。

>トールは勇からマガツヒを搾り取り、意識を奪った。

カハク「うそ…!」

コダマ「死んじゃった、の…!?」

光介「そうじゃない…意識をなくしただけだ…」

>トールはこちらを見た。
そして言う。

トール「見かけぬ悪魔だな?」

光介「…」

カハク「なによ!さっき大地下道で、仲魔について偉そうに語ったばかりじゃない!なのに、トモダチ助けられないなんて…人修羅が聞いてあきれるわ!」

コダマ「カハクー、それ言いすぎだよー」

カハク「アンタはだまってて! コースケはウソツキよ! トモダチのことなんか大事に思ってないんだわ!」

トール「このマントラに足を踏み入れし者は全て、我が裁きを受けてもらう」

カハク「だから、あたしたちのことだってホントは大事に思ってない! コースケはウソツキなのよ!」

コダマ「カハク、だから言いすぎだってー」

光介「いい、コダマ…勇を助けられなかったことは、事実なんだから」

トール「そいつを捕まえておけ!」

>その声と共に、妖獣ヌエたちがわらわらと現れた…

光介「くそ、ヌエくらいなら俺1人でもなんとか倒せるけど…トールはさすがに今は無理だ。まだ、スキルもレベルも弱い俺には…すまない、勇」

コダマ「…コースケ、そんなに落ち込まないでよー」

ウィルオウィスプ「…」

>そして、フィフス・バベルたちは捕まってしまった。

>3/5話へ続く…


→ト書きの目次へ