賃下げの仕方 | 人事評価のQ&A

賃下げの仕方

 経営環境の悪化により、賃金の切り下げを考えています。可能でしょうか。

 

 難しい問題ですね。次のように考えると良いでしょう。

 

● 就業規則(給与規定)の変更による賃金の切り下げについて

 

 労働契約法では、「労働者は及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。」(8条)とし、さらに「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」(9条本文)と不利益変更については、合意によることが原則になっています。

 

 しかし、「ただし、次条の場合は、この限りではない」と定め、合理性があれば不利益変更に反対の労働者にも効力を及ぼすとなっています。

 

 法では、「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他就業規則の変更に係る事情に照らして合理的であるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則の定めるところとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意した部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りではない。」(10条)となっています。

 

(第12条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。)

 

すなわち、周知と合理性が必要であり、合理性は次の5点で判断するということです。

 
① 労働者の受ける不利益の程度
② 労働条件の変更の必要性
③ 変更後の就業規則の内容の相当性
④ 労働組合等との交渉の状況
⑤ その他就業規則の変更に係る事情

 

● 就業規則や労働協約によらない場合の賃金の減額


 賃金は、一般的には会社と従業員との間の合意である労働契約ないし雇用契約、あるいは前述のように就業規則や労働協約によって決められています。

 
 従って、会社が、たとえ経営状況の悪化等を理由としても、就業規則や労働協約の変更手続を経ることなく、一方的に賃金を減額することは、従業員の同意がない限り、一般的にはできないものと考えられています。

 

合理性が認められたケースもありますので、こちらも ご覧ください。

 


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