JJです。


ちょっと時間があいてしまいましたが・・・・
短期集中連載♪

第31回 日本アフェレシス学会 学術大会 シンポジウム特集です。


シンポジウムのテーマは、

「拡張型心筋症―基礎研究から治験まで―」(講演りスト)


11月5日(金)に発表が予定されている7つの講演の中で、

次にご紹介するのは、


「拡張型心筋症による治療抵抗性心不全患者に対する

 免疫吸着療法」です。


講演内容を、JJ流の超訳でご紹介しますと・・・(原文は下方に掲載)

【現状】

日本の心臓移植待機者:170名(2010/9/30)

 内7割(110名)が心筋症。拡張型心筋症は、92名

・原因不明といわれる拡張型心筋症だが、患者の約85%から、

 心筋を攻撃する自己抗体が検出される。

 中でもβ1 アドレナリン受容体、・ムスカリンM2 受容体、・トロポニンI、・NaKATPase といった

 一部の自己抗体が、拡張型心筋症の悪化に影響することが証明されてきた。

・内服治療の効果がでない場合、

 免疫吸着によってこれらの抗心筋自己抗体を除去する治療法が期待されている。


【ドイツと日本の違い】

・拡張型心筋症に対する免疫吸着療法は、ドイツが先行している。

 ドイツでは、ヒツジ抗ヒト免疫グロブリン抗体あるいはプロテインA のカラム(吸着装置)が

 使われているが、

 *抗心筋自己抗体と一緒に、他の免疫グロブリン(IgG)も多く除去されてしまうため、

  感染症に感染する可能性が高くなる。よって、IgGの補充が必要。

 *カラムに抗ヒト免疫グロブリン抗体を用いているため、抗原性が発現する可能性がある

 *心筋を攻撃するとされる自己抗体IgG3サブクラスを効率的に除去できない

 といった問題点があった。


 日本ではトリプトファンのカラム(吸着装置)を使うことで、上記の問題解決を狙っている。

 *心筋を攻撃するとされる自己抗体IgG3サブクラスを効率的に除去でき(選択性がよい)

 *選択制がよいので他のIgGを除去する率が低く、結果、免疫グロブリンの補充が不要

 *抗ヒト免疫グロブリン抗体を用いたカラムでないため、抗原性発現の可能性が低い


【治療実績】

2006 年1月以降、16 例のDCM例に免疫吸着療法を実施。

BNP

 752±156 pg/ml-->432±96 pgml に低下した(p=0.016)。


6 分間歩行距離

 334±39m -->360±30m(p=0.01)。

3 ヵ月後の左室駆出率EF

 18±2%-->21±2% (p=0.039)。


一回の吸着療法による全IgG 除去率

 30±2% (IgG3 の除去率が最も高率であった=選択制が高かった)

【結論】

免疫吸着療法による自己抗体除去はDCM による治療抵抗性心不全例に有効性が期待される治療戦略である。有効例の検出方法や吸着プロトコールの確立が今後の課題である。



****以下、日本アフェレシス学会学術大会プログラム 原文より抜粋 ***



「拡張型心筋症による治療抵抗性心不全患者に対する免疫吸着療法」

心筋症はわが国の心移植登録患者の約8 割を占める予後不良の難病である。心移植待機患者の多くを占める拡張型心筋症(DCM)の85% に何らかの抗心筋自己抗体が検出される。
これらのうち、
・β1 アドレナリン受容体、
・ムスカリンM2 受容体、
・トロポニンI、
・NaKATPase に対する抗体など、いくつかはDCM の進展・悪化に寄与することが明らかにされた。

薬物治療抵抗性の心不全に陥った場合の治療戦略の一つとして、免疫吸着によるこれらの自己抗体除去が期待される。

ドイツを中心にヒツジ抗ヒトポリクローナル抗体あるいはプロテインA カラムを用いた本治療法が行われており、心機能の改善と共にβ アドレナリン受容体に対する抗体価が低下することが報告されている。

われわれはDCM の病態に中心的な役割を果たすIgG3 サブクラスに特異性の高いトリプトファン・カラムを用いた臨床応用を開発中である。

2006 年1 月から現在までに16 例のDCM例に本治療を行った。

血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド濃度は752±156 pg/ml から432±96 pgml に低下した(p=0.016)。
6 分間歩行距離は334±39 m から360±30m に延長した(p=0.01)。
3 ヵ月後の左室駆出率は18±2% から21±2% に改善した(p=0.039)。
一回の吸着療法による全IgG 除去率は30±2% であったが、IgG3 の除去率が最も高率であった。

〔結論〕免疫吸着療法による自己抗体除去はDCM による治療抵抗性心不全例に有効性が期待される治療戦略である。有効例の検出方法や吸着プロトコールの確立が今後の課題である。


注意注意
この記事は、医療従事者ではない一般の一DCM患者が、自分の病気やその治療法について、あくまで個人的に調べて書いているものです。記事の内容には、間違いがあるかもしれませんし、保証もできません。治療法の選択は、あくまで各個人の責任において行ってください。ご理解をお願い申し上げます。