能登 宏さん(ギター、ヴォーカル)とぼん子さん(パーカッション)によるボサノバ・ユニット、NBボッサの演奏が始まった。
私はボサノバについて、それほど専門的な知識を持ってはいないが、能登さんの歌と演奏は、本格派と言って差し支えないように思う。
素人の私が言うのもおかしいが、新潟におけるボサノバの第一人者と言っていいのではないだろうか。
能登さんはジョアン・ジルベルトをこよなく愛しておられ、この日もジョアン・ジルベルトの曲を中心に、他にもミルトン・ナシメントやアントニオ・カルロス・ジョビンなどをやってくれた。
パーカッションのぼん子さんは、本名を熊林明子さんといい、実は3人目の「ぼん子さん」なのだそうだ。
NBボッサに参加するパーカッション奏者は代々女性で、必ず「ぼん子」を名乗ることになっている。
熊林さんは“ぼん子さん3号”で、他にも“1号”、“2号”のぼん子さんがいるとのこと。
能登さんのソフトなギターとヴォーカルに、女性ならではの決して自己主張の強くないパーカッションのリズムが上手く融合して、心地よい音楽空間が構築されていた。
一度、歴代の“ぼん子さん”が勢ぞろいしたところを見てみたくなった。
午後5時から喫茶マキで、おなじみ佐藤弥生さん、真紀さんと佐藤文孝トリオのLIVEが始まるので、名残惜しいが早めに店を出た。
途中、新潟国際情報大学の前まで来た私は、ふと思い出して、中へ入ってみた。この時間、たしか韓国のバンドが演奏していたはずだ。
はるばる韓国からやってきた若者5人のバンド、ジョンフムbandが、ちょうど「スゥィングしなけりゃ意味がない」をやっていた。元気いっぱいで素晴らしいスゥィングぶりだ。
それが最後の曲だったのだが、終わると客席から一斉にアンコールの要求が。椅子に座って演奏していたギターのファン・ミョンフムさんは、腰を浮かせかけて、その要求に驚いたように、嬉しそうな表情を浮かべた。
さっそくヴォーカルのジョン・ミンギョンさん、ベースギターのミン・キョンファンさん、ドラムスのイ・インスさんがファンさんのところへ集まってきて、アンコール曲の相談を始めた。ピアノのイ・キヒュンさんだけはピアノの前に座ったままだったように思う。
やがてすぐに相談はまとまり、キヒュンさんにも相談の結果が伝えられて、アンコール曲の演奏が始まった。
私は不覚にも、ジョンフムbandがアンコールでやった曲が何だったか、一夜明けた今、忘れてしまった。だが素晴らしくハッピーな演奏だったのは間違いない。
すべての演奏が終わって、ずっとサングラスをしたままピアノを弾いていたイ・キヒュンさんが、ジョンさんの肩に片手を乗せて、ジョンさんに先導されながらゆっくりと歩いてきた。この人は盲目だったのだ。
私は、お隣の国からやって来たこの5人の若者たちに惜しみない拍手を送りたい。どうかまた、新潟においでください。
少し遅くなったが、喫茶マキでMAKI & YAYOI with 佐藤文孝トリオの演奏を堪能。
ヴォーカルの女性二人に、ピアノの佐藤文孝さん、ベースの長野賢一さん、ドラムスの目黒与志男さん。相変わらず息の合った流石なパフォーマンス。
今や新潟ではトップクラスの人気と言って過言ではないだろう。