失くしたもの | 宇都宮イサト

失くしたもの

人生、長く生きてくると何かしらたくさんあるようだ。

いつまでも歳をとらないと勝手に決めていたけど

やっぱり親は歳をとるんだな…

いつまでも長生きしてほしい。そんな私もいつの間にか歳をとっている。



いつも夏が来ると忘れられないことがある。

自分の至らなさから、失くしたものは思い出すたびつらい。


今の犬の前にもビーグルを飼っていた。

可愛くて可愛くてお風呂も一緒、布団も一緒で同じ枕に鼻と鼻をくっ付けて寝ていた。

手塩にかけて育てるってこういうことなのか。相手は犬だが

家族も同然、風邪をひけば医者に連れて行き、疲れていればマーサージをしてあげて

大好きなお散歩は夏でも冬でも犬のためなら喜んで、すべてが犬中心の生活だった。

動物と人間の信頼関係がアイ・コンタクトで意思が通じ合うたびに楽しかった。

そんな中でも避妊手術をさせた時は、人間の勝手で子供を産めない身体に

してしまったことにかなり罪悪感にさいなまれた。いまでも忘れない。

そんな可愛かった、いや溺愛してた愛犬ジュリを飼い主の不注意から亡くしてしまった。

ちょうど6年前の夏、まだ一才になったばかりだった。