認知症の人がかなり増えている
というニュースをこの頃よく耳にします。
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二十何年も歯科医院やってれば
以前は”普通の人”だったのに
何年振りかの来院時
「あれ?なんだか変だわ、、」
って感じる場面の増える患者さんが何人か。
幸いにしてご家族が気づいていて
通院時付き添ってくれているんですが
毎日さぞかし大変だろう、、、と思います。
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或る患者さん(男性・70代)は
奥さんが「主人が痛いと言うもので、、、。」
と連れて見えたんですが
治療椅子に座ってもらって
「どこが気になりますか?」と問診しても
「イヤ~別に。」
、、、でも、もう一度確認してみると、
「このへんが、、、」と、右上の前歯のところを指さすので
、、、そこを見て(視診)しても、異常な所見は見当たらず
念のため、、、と触ってみる(触診)すると、
あら~、継続歯がグラグラじゃないの!
更に触って動かしてみると、
継続歯が抜けそう、、、でも一部つながってて
取れない!
歯根破折か、、、?
そこで初めてレントゲン検査をしてみます。
すると、、、
やっぱり根っこの途中から”折れてる”
「ここ、根っこが破折してますので、、、、
抜かないとダメですね。」 抜歯の説明をして
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次の来院日
「どうですか?」
、、、すると、患者さん本人は
「ここがねえ、、、(別の場所を指さし)何だかねえ、、。」
「噛むと痛いんですか?
お水が凍みますか?
モノが挟まりますか?
腫れてる感じですか?」
、、、などなど、聞いても、適切な言葉が見つからない様子。
「なんだか、ヘンな感じがするんですね?」
「そうそう、、、!」
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、、、で、奥さんに説明して抜歯する確認をとって
麻酔をして抜歯
抜いた歯 (継続歯と歯根の一部 & 残りの破折した歯根)
、、、を見せて、破折を確認してもらうと
「あら~、主人、差し歯なんかやってたのね!
知らなかった。」
、、、このケースですが
もしも歯科医院へ行かずに「何だか痛い」「変な感じがする」
というのを家族が聞き流してほっといたとしたら
いつの間にか差し歯(継続歯)は抜けて
知らない間に食道へ飲み込んでたり(誤飲)
もしも気管~肺の方へ行ってたら(誤嚥)⇒肺炎
大きさやタイミングによっては喉(のど)に詰まって⇒窒息
根っこだけ残って歯肉の炎症⇒出血、腫脹、疼痛
、、ってことになったかも。
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認知症の患者さんは
歯科的問題を抱えていても
本人の自覚に乏しく、訴えもはっきりせず
周囲も気づきにくいものです。
加えて、認知機能のみならず身体機能も
徐々に低下していくので
歯みがき、ブクブクうがい、口腔清掃も儘(まま)ならなくなると
齲蝕(うしょく)=むし歯、 歯周病,
ひいては 誤嚥性肺炎の
進行リスクがどんどん増加していきます。
ご家族付き添いのもとに
ぜひ、定期的に歯科を受診し
適切な歯科治療と口腔ケアを!