瞳の奥の秘密
2009年 スペイン=アルゼンチン 129分 「EL SECRETO DE SUS OJOS」
「ブエノスアイレスを震撼させた殺人事件から25年─未解決の謎を小説にする男に、封印された愛が甦る。」
ブエノスアイレス─刑事裁判所を引退したベンハミン(リカルド・ダリン)は、忘れ難いある事件を題材に小説を書き始める。それは、1974年に結婚間もない女性が殺害された残虐な事件だった。妻を奪われた銀行員の夫モラレスの深い愛情に突き動かされたベンハミンは、判事の制止を振り切り、犯人を捜し始める。そして、ようやく容疑者にたどり着くが・・・。あれから25年。タイプライターを前に自身の人生を振り返るベンハミンに、上司だったイレーネ(ソレダ・ビジャミル)の存在が鮮やかに甦る。いまだ過去に生きる自分と決別するために、彼は事件の裏側に潜む謎と、今も変わらぬイレーネへの想いに向き合うことを決意する。果たして、ベンハミンは失った歳月を取り戻すことが出来るだろうか?(チラシより)
2010年度アカデミー賞最優秀外国語映画賞受賞作品。
本国アルゼンチンでは、
アルゼンチン・アカデミー賞17部門にノミネートされ、
主要な賞を13部門獲得しているのでございます。
さて、この映画簡単に言えば、サスペンス風な恋愛映画
とでもいいましょうか。。。
25年前の殺人事件、主人公ベンハミンは容疑者を確保しながらも
真に不条理な理由で無罪放免とされる。。。
情報提供などで政府に協力する条件で容疑者が
釈放されることは珍しいことではなかったのですね。
当時のアルゼンチンの腐敗した政治の前に正義が勝ることは
無かったのであります。
相棒を殺され、
自らも命を脅かされることになる、なんとも理不尽なこと
彼はやむなくブエノスアイレスを去り、身を隠すことになるのです。
列車の前でイレーネと別れる間際の
彼の切なさと不甲斐無さの入り混じった表情。。。
ああ~、いらいらする~
まるで、小生自分のことのように胸が苦しくなりました。
言うなればこれが第1幕のエンディング。
それから25年後にベンハミンは、この未解決事件と自分の人生を
振り返るべく執筆し始めます。
身分も経歴も違うことで叶わぬ恋と思い諦めたイレーネとの再会、
無情にも容疑者釈放で心折れた無念の夫モラレスとの再会。
そこで明らかになっていく真実に愕然でございます。
言うなればこれが第2幕のエンディング。
そして、真実が明かされ、
25年の時を経て今、ベンハミンの抑えていた思いも開放されていく。
そして、ラストでは
イレーネとベンハミンの新しい人生が
静かに幕を開いていくのであります。
時系列は交錯していますが、とてもわかりやすく丁寧に
組み立てられています。
当時のアルゼンチンの司法制度や体制に予備知識があれば
もっとわかりやすく、楽しめたと思います。
2度観れば深い味わいが一段と増す映画やと思いました。
名作であります。。。