初めて「ハイアングル式」を見た衝撃。赤毛のレッド・バスチェンが死去 | 生きているだけで十分 宍倉清則のいまのキモチ

初めて「ハイアングル式」を見た衝撃。赤毛のレッド・バスチェンが死去

「赤毛の悪魔」レッド・バスチェン(敬称略)が8月11日(現地時間)、81歳で亡くなった。長くアルツハイマー病をわずらっていたらしい。


私はこの人には思い入れがある。どんな技でも初めて見たときの「衝撃」というのは忘れない。私がプロレスを見始めたとき、アトミックドロップという技は後ろから腹部に両腕を回して、持ち上げて、片ヒザにお尻を落とす。これが基本だ。馬場さんが得意にしていた。だから、大型選手が使うという認識。


昭和43年9月、日本プロレスの「ダイヤモンド・シリーズ」に初来日した。キラー・カール・コックスとマッドドッグ・バションという大物2人が来日したので、バスチェンは中堅というカンジ。


ところが、開幕戦のタッグマッチで猪木さんから1本を取ってしまう。そんなに大きくないバスチェンが猪木さんのバックを取って、持ち上げようとした。あっ、アトミックドロップだ、と思った。


驚きはそこからだ。バスチェンは自分の顔より高い位置まで猪木さんを持ち上げ、さらに対角線を歩き、勢いよく叩きつけたのだ。「ハイアングル式」の技を見たのはこのときが初めてだった。


ハイアングル・アトミックドロップ。人間はこんなことができるのか! 私は小学校6年生だったが、このときの光景は昨日のことのように覚えている。これをやってのけたのがバスチェンである。これだけはぜひ知ってほしい。


このシリーズでは若いバディ・モレノ(山本小鉄さんのライバル!)と組んで、大木&吉村のアジアタッグに福山で挑戦し、敗れた。


ご冥福をお祈りします。まだ続編があります。