ねぎ抜き | 生きているだけで十分 宍倉清則のいまのキモチ

ねぎ抜き

ねぎが嫌いです。玉ねぎ、長ねぎ。死ぬほど嫌い。もし、ねぎをたっぷり食べないと、お前は死ぬとなったら、どうしようか、と本気で悩む。


麺類、味噌汁のねぎが特にダメ。でも、ハンバーグは細かいし、平気。スパゲティも割と平気。当然、そばを注文するときは「ねぎ抜きで」と言います。でも、それを言うのもイヤなもんで。ちょっとした自己嫌悪。


そんなイヤな気持ちで、はっきりと「ねぎ抜きでお願いします」と言ったにもかかわらず、立ち食いとかだと、入れられてしまうことがままある。


「ねぎ抜きで」「ハイ、わかりました」と返事しているにもかかわらず。「ねぎ抜きって、言ったじゃない!」と怒るオレ。「あっ、ごめんなさい」。すると、中には、そこから箸で取れるねぎだけ取って「ハイ、どうぞ」と。それが平気なら、最初から「ねぎ抜き」なんて言わないって。こっちは1つでも入っている状態がダメなんだから。


ま、たいていの場合、最初から作り直してくれますが。だから、ねぎを入れた箱が見える場合はずっと目を離さない。現実に「ねぎ抜き」と言ったのに、忘れて、入れようとする場合が多いからだ。入れようとする寸前に「あっ、ねぎ、いらない!」と言って、間一髪、セーフ。


先日はこんなことがあった。ねぎを入れてきたので「ねぎ抜きって…」「あっ、そうだ、そうだ」と言って、作り直したはいいが、また入れてしまった。後ろには行列ができているし、もう文句を言うのもあきらめて、そのまま一口もつけずに、返却口へ。いまのところ、対策はこれしかない。


でも、そこまでひどいと、二度と入らないですね。最近は「ねぎ抜き」というのが聞き取りにくいようで「ねぎ、ナシ」と言ったほうがいいみたい。そのほうが伝わる。


さすがに近所のそば屋さんは知られているので、いまは何も言わなくても、大丈夫。困るのは定食についてくる味噌汁。ねぎが入っている場合が多いし、そばのようにあとから入れるわけじゃないから「ねぎ抜き」は通用しない。最初から入っているから。その場合は口をつけない。


「味噌汁は、ねぎ、入ってますよね?」と聞くこともあるが、たいていは「入ってますね」「じゃあ、いいです」で終わり。残すしかない。でも、たまあにあとから入れるところもあって「じゃあ、入れませんから」と言ってくれる場合もあり。よかった。


中にはねぎが入っていない味噌汁もあって、内心「よかった」。おなじみ、私が大好きな、神保町の天ぷら「いもや」さんのしじみ汁は入っていない。


ぜいたくだ! と怒られてしまえば、それまで。ねぎの場合「どかせばいい」という問題ではないので、やっかいなんです。いったん入ったら、風味が残るので。


被災地での「炊き出し」を見ると、ラーメンや豚汁が多く、ねぎが入っている。こんなところで「ねぎ抜き」なんて、言えないしなあ。ああ、自己嫌悪になってきた。でも、結構、立ち食いそば屋では、ほかにも「ねぎ抜き」と言っている人はいる。よかった…って、そういう問題じゃないか。


さあ、月曜日は印刷所。出前でそばを頼む。出前は紙に書くので、私は赤ペンで「ねぎ抜き」。100%、入れてくることはない。っていうか、向こうもわかっているみたい。このきつねそばはねぎ抜きだって。


深夜2時48分。今度は福岡県筑後、熊本で震度3。日本はどうなっているんだ!